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失敗事例から学ぶ障害者(障がい者)の転職・就職


新型コロナウイルス感染症の影響で雇用不安を抱く人が増えています。
不安感を拭い去りたいがために、いさみ足で転職活動をしてしまうと後悔することがあります。

記事を一読いただき、あらためて冷静に将来のプランニングをしてみましょう。

プランニングをする際に重要なことは『失敗から学ぶ』こと。
「反面教師」という言葉があります。悪い見本があると、そうなってはいけないという戒めの気持ちがはたらき、より良い振る舞いを学ぶことができるというものです。

障害者の転職や就職について考える時にも、失敗事例などに触れてみることで、個々に合わせた障害者の有益な仕事の見つけ方に気づけるかもしれません。

仕事が嫌になる時。障害者の退職理由と転職

「仕事をするのがつらい。職場に行くのがプレッシャー」
仕事をしている人の中で、重苦しい気持ちを抱えたまま働かざるを得ないというケースは珍しくありません。

誰もが経験したことがあるのではないでしょうか?

障害者雇用情報サイトが行ったアンケート調査で、多くの障害者が不満を抱えながら勤務する現状が浮き彫りになりました。

例えば、転職もしくは退職を考えはじめる時期として多いのは、就職後3カ月未満からです。特に精神障害者の方は、早期から何らかの悩みや不安を感じているようです。

そして実際に転職・退職をする時期は1年以内が3割。そのうちの46%は精神障害者で、身体障害者が18%でした。また精神障害者の約半数は、1年以内に離職しています。

では、どのような不安や悩みを抱え、何をきっかけに転職を考えるようになるのでしょうか?

理由は、障害そのものからくることによる「障害の発生・状態の変化・体調の悪化」が最も多い答えでした。

その次にくるのが「職場の人間関係」ですが、これら上位2つの理由が密接に絡み合って、転職・退職に至る場合もあるでしょう。人間関係が原因となり体調不良を伴うようになるのは、一般社員にもよく見られる傾向です。

今、ご自身が転職したいと思っているとしたら、それはなぜでしょうか?

「なんとなく今の職場が合わない」「もっと自分には違う面があるはずだ」「この会社にいても自分の良さを引き出してもらえない」など、あいまいな理由では、次の企業選びの軸となるものが見えてきません。

転職したい理由は、明確にすることが大切だと思います。

知っておきたい障害者の転職における失敗例

転職には大きな決断が必要です。働く場所を変えるというのは思い切りがいることですし、時間と労力を伴います。
いくつかの失敗例を参考に、より良い転職のあり方を考えてみましょう。

「就職先が決まった」という喜びの瞬間が、転職のゴールではありません。
実際に勤務を始めて前職より快適な環境であると実感できて、初めて転職成功と言えるのではないでしょうか。

内定をもらい「雇用条件を確認せずに入社した」という方がいます。
仕事の内容や給与、休暇、福利厚生などがよくわからないまま、あとで知って後悔するケースです。

前の仕事を辞めたことで収入がなくなり「条件的に満足しないまま次の仕事を始めた」という話も少なくありません。

転職活動の短期決戦は、良い結果につながりません。

働きながら転職活動を行うのがよいでしょう。
できれば数カ月〜半年はかかると考えて、今の仕事に支障をきたさないよう、面接のスケジュール管理にも配慮しましょう。

「入ってみたものの自分とは社風が合わない」というのも、よくある話です。社風や職場の雰囲気というのは、中に入ってみなければわかりづらい部分ではあります。
できれば会社見学などで、ある程度の様子が把握できると安心です。

「障害そのものに関するミスマッチ」が発生する場合もあります。
障害者が働く環境が整っていなかったり、複雑な業務になかなか慣れることができなかったりといったケースです。
事前に「できること」「できないこと」を具体的に申し出て、転職先がどのような対応をしてくれるのか、確認しておくのがよいでしょう。

転職で成功するためには情報に惑わされないこと

障害者の方は多くの場合、障害者枠で就職しています。
障害があることをあらかじめわかってもらった上での雇用形態であれば、オープンである分、理解が得られ差別的と感じるような対応をされることも少ないと言えるでしょう。

障害を隠して働くと、最初はよくても長い目で見た場合には無理を伴い、負担が増えるようになるでしょう。
また隠すことによって相手をとまどわせたり、誤解を生むような行き違いが起きないとも限りません。トラブルが発生した時に、不利な立場に追い込まれる懸念もあります。
勇気を持って、自分の障害などについてオープンにした就職活動や転職を行い、仕事に意欲的な姿勢を示し貫いてみましょう。

障害にもさまざまな種類があり、身体障害者と知的障害者に違いがあり、できること、できないことが異なります。誰かのことをうらやましく思ったり、うとましく感じたり、気が合わない人、言葉尻がきつい人もいるので人間関係には摩擦が生じます。

しかし、どのような職場でもいろんな人が働いているので、それぞれに経験や能力などについて違いがあり、人間関係にはストレスがついてまわります。

そして、こういったネガティブな情報はあっという間にインターネットなどで広がりますが、個人の主観的なコメントも多いので、すべてをうのみにしてしまうのはあまりおすすめできません。

障害者の就職や転職に関する情報はたくさんあります。
あふれる情報に惑わされることなく、個人の思いをもっと大切に、それぞれが持つ特性を生かす歩みができればと感じます。

障害を持つ人の就業をサポートする専門家によるフォローも視野に入れるとよいでしょう。

2018年には障害者のみを対象にした国家公務員試験が実施されるなど、各省庁でも人材確保の動きが急速に進んでいます。

一般企業の障害者枠などでも言えることですが、コミュニケーション能力が不得手な発達障害や精神障害の方は、面接を大変不安視しています。
面接する側の、障害についての知識が十分でない場合もあります。

自己分析をして自分の強みと弱み、得意と苦手、障害の特性を今一度見つめ直し、面接官にわかりやすく誤解のないように伝えるために整理してみましょう。

入社することはゴールではなく、スタートであり、現職は長期的なキャリアのいちプロセスでしかありません。

長いキャリアをやりがいと納得感をもち、進むためにはゴール設定と逆算したプランニングが欠かせません。

一人で悩むだけでなく、キャリアコンサルタントを活用したり、地域の相談窓口を活用したり、適切な情報を集めながら、キャリア構築の軸を明確に備えていきましょう。

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