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オープン就労とクローズ就労。どちらがお得??

障害者は健常者より働く上で選択肢が多い。
一般的に選択肢が多いことは有利な事だが、オープン就労(いわゆる障害者枠)で働くか、クローズ就労(いわゆる一般枠)で働くかのケースにおいては少し異なります。

もちろん障害の度合いによりますが、障害者が就職・転職しようとする場合、大きく2つの選択肢に分かれています。
採用する側に特別な配慮を求めるオープン就労(障害者枠)か求めないクローズ就労(一般枠)かです。

障害はあっても、問題なく企業の求めるスキルをクリアできるのであれば、就職に障害者であることは関係ないでしょう。

障害者雇用促進法では、近年、障害者への差別禁止を徹底する改正がありました。障害があるだけで雇用しないのは違法となります。
広がる就職の可能性の中で、企業で設定している雇用の障害者枠と一般枠どちらに応募して働くことがお得なのかメリット・デメリットを検証してみましょう。

1.障害者枠と一般枠とは

企業には、積極的に障害者を雇用するように定められた法定雇用率があります。
企業(民間企業)の総従業員数に対する障害者の割合が2.2%(2021年4月からは2.3%へ上昇)と定められていて、従業員数45.5人であれば最低1人の障害者を雇用しなければいけません。

そのため、ある程度の規模の企業には雇用の障害者枠が設けられています。
まだまだ少ないのは事実ですが、本社で障害者を受け入れるための環境づくりがされている企業や、障害者の働きやすい障害者雇用専用の子会社を持つ企業もあります。

身体障害のほとんどは障害を公表するまでもなく理解されますが、軽度の知的障害、精神障害や発達障害は自ら告げなければ障害の有無はわかりません。

そのため、障害をオープンにしないで一般枠に応募しても、業務に支障なく仕事ができるのなら、就職後もあえて自分の障害を言う必要はありませんから、ごく普通に就職活動が可能になります。

2.オープン就労(障害者枠)のメリット・デメリット

障害者枠で就職するには、障害者手帳の取得が必要です。

障害者手帳には「身体障害者手帳」「療養手帳」「精神障害者保健福祉手帳」があり、発達障害のある人も「療養手帳」か「精神障害者保健福祉手帳」を取得すれば、障害者枠で就労することができます。

1)オープン就労(障害者枠)のメリット
障害者向けに求人を行っている企業は、障害者と共に働く意思があるため、働きやすい環境作りを少なからず心がけています。

適材適所の配属先で、業務の指導や生活のケアもあり、無理のない就業時間の設定など、体調の波や通院などにも配慮してもらえる可能性も適切な情報提供とコミュニケーションにより高くなります。

オープン就労(障害者枠)では、障害者向けのカリキュラムや就労規則、サポート体制など職場環境を整えようと努めるために業種や業務内容がマッチすれば働きやすいというのがメリットになります。

また、企業は障害者雇用に関する補助金を申請しているケースもあるので、採用ハードルは一般枠より低くなるでしょう。

2)オープン就労(障害者枠)のデメリット
残念ながら、デメリットも多く存在するのが現実です。
まず1つ目は障害者枠を設けている業種や企業が限られるため、求人選択の範囲が狭くなってしまうということがあります。
働き先の選択の幅が狭くなるので、希望する仕事に就くまでに長期間を要す、または妥協する必要があります。

2つ目は希望する就職先だったとしても、障害者だけの子会社だったり部署だったりと、人間関係が狭くなる可能性もあります。
また、時には異なる障害特性の方々が同じ部署で働くことを迫られるため、意思疎通の難易度が高くなり、一般枠で働くよりも精神的負荷が掛かってしまうことも考えられます。

3つ目は、本社でもっと責任のある部署で働きたい、年収を高めたいなどの希望があっても、入社後の努力や障害度合いにもよりますが、ハードルは高まってしまうという点があります。

日本にはまだまだ無意識の差別も存在しており、障害者雇用枠だからと言って全ての企業で配慮してもらえると前提に捉えるのは控えましょう。

面接を経て求職者側が見極めるという責任を意識しなければなりません。

3.クローズ就労(一般枠)のメリット・デメリット

1)クローズ就労(一般枠)のメリット
単純に求人数が増えるため、障害者枠と比較すると職種や企業の選択の幅は広がり、希望の仕事に就ける可能性が高まります。

また、学歴・経歴に合わせポジション適性があれば責任ある仕事にも就けるのため、働きがい・やりがいと共に収入の向上と安定に期待ができます。

2)クローズ就労(一般枠)のデメリット
ただし、就業時に職場に特別な配慮が必要な障害の場合は、専門的な技術や知識を持っている人に限られてしまい、クローズ就労(一般枠)でチャレンジできる人の数は多いわけではありません。

通常、一般枠では、軽度の障害であって、自分自身で障害特性をコントロールできることが条件ということを留意しておきましょう。

軽度の障害や精神障害、発達障害の場合、本人が障害者であることを公表しなければ周囲にはわからないので、障害によっての問題や働きづらさを職場の人に訴えることができません。
また定期的な通院が必要でも、その都度何かしら理由を設けて欠勤や時短を申請しないといけなくなってしまいます。

業務に差し支えなければ、障害を理由に退職を迫られることはありませんが、職場での環境面や人間関係の不具合に関しては普通のケースで判断されて職務の継続が難しいと判断されれば、配置換えや部署替えを迫られるケースも想定されます。

障害によって起こる不具合に対して周囲の理解がなければ、職場の人も自分自身も大きなストレスを抱えてしまい、人間関係がうまくいかずに働き続けることが難しくなる可能性も考えられます。

実際に離職率は障害者枠より一般枠で働く方が高くなっています。

オープン就労(一般枠)での就職にこだわるなら、自分の障害と向き合って、自分で自分の生活や状態をコントロールして、周囲との折り合いをつけることが必要です。
薬が必要であればきちんと服用して、主治医との連絡はしっかりとりましょう。
アドバイスを受け入れ、実行する姿勢が大切です。

3.障害者枠と一般枠どちらが得なのか

就職活動は障害の有無に関わらず、かなりの負担になります。

上記のメリット・デメリットを検討して自分に合った方を選ぶのがよいですが、選択の幅が広がるとはいえ、一般枠での就職活動は競争率が高く、選考難易度も上がります。
入社後も同様のハードルの中で働き続ける必要があります。

精神障害や発達障害の場合は、仕事のスキル自体は高いのに、人とのコミュニケーションが苦手な人が多く、面接がうまくできずに採用されないことが多いようです。
事前に、適切な治療やコミュニケーションスキルを上げるトレーニングなどを受けることもおすすめです。

いずれにしても、がんばって就職したのに、苦手なことをし続けることになって心身ともに疲労して離職してしまうようなことは避けましょう。

できれば、障害者に理解のある障害者枠で働くことが安心できるので望ましいと言いたいところですが、まだまだ受け入れ企業の設備的・精神的体制が整っていない企業も多く、自身の責任において見極めることが重要です。

一般枠でも障害に理解を示してくれる職場もあるので、周囲のサポートを得られれば、やりがいを持ち働くことが可能になるでしょう。

あなたにとって何が譲れない条件なのか?

3~5つの働くための絶対条件を設定したうえで、枠を絞らずに就職活動をしてみると、どの企業が適しているのか、どの働き方が適しているのかも徐々に見えてくるかもしれません。

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