マンガ『ギヴン』を読んで思うこと。


こんにちは。ぱらです。

最近買ったマンガを語らせてください!

こちら。

『ギヴン』(5巻まで読みました)

BLコミックですが、敬遠してほしくないです。一言では語り尽くせない心の機微がほんとーーうに丁寧に描かれていて素敵なんです。


例の如く【ざっくりあらすじ】

好きだったはずのギターも、おもしろかったはずのバスケも、くすんで見え始めたある日。
上ノ山は、壊れたギターを抱えた真冬と出会う。
ギターを修理してやったら、途端に懐かれるが、偶然聴いた真冬の歌が、上ノ山に刺さって――。
キヅナツキが描く、裸のオルタナティヴ・ラブ!
(公式サイトから引用)



※ここからはめちゃくちゃネタバレを含みます。特に3〜5巻。





主な登場人物は4人。

given(ギヴン)というバンドを組んでいます。

ボーカル:佐藤真冬
ぽわっとした雰囲気の高校生。壊れたギターを抱えて眠っていたところを立夏と出会う。立夏がギターを直してくれたことで彼に懐き、バンドを見学させてもらうところから話はスタート。


ギター:上ノ山立夏
真冬と同じ高校に通っている。ギターがその辺の大学生よりもめちゃくちゃ上手い。でも最近それがつまらない。真冬の歌を聞き、刺激を受けてバンドに誘う。


ベース:中山春樹
1番年上のみんなのお兄ちゃん。おだやかで優しいバランサー。秋彦のことが好きで、好きになってからずっと髪を伸ばしている。


ドラム:梶秋彦
大学では音楽科でヴァイオリンを専攻してる。1番音楽レンジが広い。顔は怖いけどとにかくモテる。プロのヴァイオリニストとして活躍する同居人の男アリ。


他にも真冬の幼なじみや、立夏の姉、秋彦の同居人、などが物語に彩りを添えます。
いや、というか今挙げた人たちは物語が進む上で超重要人物です。笑




人を好きになることは、肉を切り裂かれるような暴力だ。



これは秋彦の独白なのですが、すごく刺さる。

秋彦の初恋であり想い人に対する言葉なのですが、その人は皆様のご想像通り、同居人の男(雨月というお名前)なのです。

秋彦が、ヴァイオリンで生活をすることにまだ夢と自信を持っていたころ、出会ったのがその男。

ヴァイオリンで秋彦のずっと上を行く、いわば理想のような人。強烈に妬み、また強烈に憧れ、好きになってしまった。
雨月もまた秋彦の感情に触れ、恋をして、そして音楽の感覚が鈍ってしまった。

お互いを大事に思っているのに、お互いの存在が音楽の成長の邪魔をする、そんな関係性の2人。

そこで出てくるのが、この言葉。

男とか女とか関係なく、人を好きになるって、確かにこんな感情だよなぁ。綺麗事だけではすまない気持ちも出てくる。ただ好きで好きで、打算とか何も考えない恋の方がしんどいことが多い。相手を思う気持ちが強いほど、苦しい。

まさにそんな気持ちを思い出させてくれるような言葉でした。


しかし、秋彦はそんな気持ちを上手に処理できず、持て余していました。
雨月に別れを告げられ、それでも未練はある。ケンカしては他の女の子の家を渡り歩き、時間を置いてまた雨月の住む家に戻る、まさにヒモのような生活を送ってきた。


ある日決定的に雨月とモメた秋彦は、いままでは頼らないようにしていた春樹の好意を利用し、振った上で助けを求める。


このあたりは読んでいて辛かったです。春樹の気持ちを思うと…


春樹は本当に優しいので、行く当てのない秋彦を居候させてくれます。そんな居候生活の中、秋彦はギヴンとして、春樹と音楽をすることが、すごく楽しいことに気づいてしまったのです。


ものすごく好きだった人と一緒にいた時は辛かった音楽が、離れてみると今こんなにも楽しい。

ずっと目を背けてきたことに秋彦は気づきます。


ここ、しんどかった。気づいてしまえば、自分と相手が前に進むために別れを告げなければならない。
こんな思いやりのある気持ちで、別れを告げることってあるのかな。現実だったらもっと軽い気持ちで付き合って、軽い気持ちで別れてる気がする。こんな風に自分の感情に一本筋の通った恋を、してみたい、できるかな。なんてわたしは読みながらそんなことを考えてました。


結局秋彦は雨月に別れを告げて、ヒモ体質を改め真っ当な人間として生活してゆきます。あたらしい好きな人のために。つまり春樹のために。


春樹に想いを伝えるためには、春樹に見合う男にならねばならない、そんな想いから秋彦は変わります。ヴァイオリンも、ドラムも、真面目に取り組むように。


自分のダメ加減を理解して、変えるべく努力する秋彦がすごくピュアで、人間っぽく思えていいなあと思いました。
こんなクリーンな気持ちで人を好きになりたいな、と。今、性別や仕事内容や、色んな軸でカテゴライズされた要素を選んで、好きになれそうな人を探しているわたしがなんか嫌になりました。
カテゴリーはどうでもいいですよね。
もっと広い視野でいろんな人を見れるように、そして出会えるようになりたいと強く思いました。



BL系のマンガを最近読むのですが、人を好きになるピュアな気持ちみたいなものが、読んでてすごく考えさせられるなあと思っています。

そういう繊細な心の動きを、わたし自身大切にしたいなあと思うのです。



追記

映画観に行ってきました!あまりにも良かった…!
何が良かったってとにかく音響です。真冬のうたが、ギターがベースがドラムが、ほんとにライブハウスにいるような感覚でした。

ぶわあっと音が広がって、そもそもギヴンはアニメ9話の真冬のうたに涙を流して、そこから漫画を読んだくらいなので。とにかくめちゃくちゃ良いうたが聴けて本当に大満足でした!

1時間という短い時間だったので省かれてたーっと思うエピソードが無いわけではないですが、綺麗にまとまっていて、とくに秋彦と雨月との関係性がぐっとわかりやすく観れました。

これで1500円。とても贅沢な時間でした!



ところで話若干変わりますが、センチミリメンタルさんのキヅアト、サビの前の「キーン 」みたいな金属音のような音好きすぎる方居ませんか??

張り詰めた弦を弾く音のような気がして、なんだかすごくストーリー性を感じます。かつ、ふわふわしてた気分を、現実に引き戻してくれるような音の気もする。

わたしこのキーンが好きすぎて、幻聴が聞こえて来るレベルです。笑





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