コンクリート診断士 2019年 記述解答例

【問1】

B部における変状の特徴として、床版下面が網目状のひび割れが発生しており、ひび割れ幅が顕著になっている。A部における変状の特徴として、上面鉄筋がさびを生じ腐食され膨張、そして断面欠損がみてとれる。このような変状が起こった主要因は、冬季の凍結防止剤の散布による塩害だと推定される。寒冷地であることと床版防水が未施工であり、塩化物イオンも1.2㎏/㎥以上となっていることから凍結防止剤の塩化物イオンが雨水と共に床版上面に浸透し、鉄筋が膨張したと考えられる。特にB部が劣化しているのは、縦断勾配によって塩化物イオンを含んだ雨水が下流側のB部にたまりやすいことや、6%の急勾配であり先の道路も急な右カーブであることから特に大型車のブレーキが作用して、劣化した床版をさらに輪荷重が多くかかることでせん断押し抜き破壊が進んだと推定できる。(360文字)

【問2】

塩化物イオン量が1.2㎏/㎥を超えている箇所においては、鉄筋が腐食している可能性が高く設計圧縮強度を満たせていないと推測されるため、コンクリートコアを削孔しコンクリートの圧縮強度を測定する必要がある。さらに、塩化物イオンによって中性化促進されていると考えられるため、フェノールフタレイン溶液を用いて中性化深さを測定する必要がある。③④においては、塩化物イオン量は基準値以下であるが、中性化深さや下部の目視打音点検を行い、劣化状況を把握する必要がある。また伸縮装置が排水型であるので、橋台部分も塩害を起こしている可能性があり、塩化物イオン量の測定が必要である。(278文字)

【問3】

A部およびB部においては、劣化期であると考えられるため、30年共用させるためには、補強が必要と考えられる。脆弱した箇所のコンクリートをウォータージェットによりはつりとり、鉄筋断面をケレンもしくは断面欠損が激しい場合は鉄筋を再配置してコンクリートを打設する必要がある。その際の鉄筋は、エポキシ樹脂で被覆している鉄筋を用いることで塩化物イオンを遮断することが望ましい。さらに、コンクリート表面に雨水が浸透しないように、防水工の施工が不可欠である。③④の劣化の程度によっては床版取替で補強も考えられる。2車線の対面通行であるので、一定期間通行止めにするもしくは片車線ずつを半断面施工で取替を行う必要がある。その際も防水工の設置そして延長床版を施工して、排水を土工部にすることも雨水の浸透を少なくすることができる。(352文字)(全989文字)

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