きっとやさしい夢を見ている
子どもの頃、私はパセリの味を知らなかった。
彩りを添えるために皿に盛り付けられた、緑色の葉っぱ。あるいは、茎の細いブロッコリーのようなもの。そんな印象で、好きとか嫌いとかそんな話の以前に、そもそもパセリを食べるという発想がなかったのだ。
そんな折たまたま見聞きしたやり取りで、今も強烈に記憶に残っているものがある。
そこでは、とあるパセリ農家の方が「我が子だと思って大事に育てているからすごくかわいい」と言いながら紹介したパセリが、実は殆ど食べられることなく捨てられていると知ら