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本当にあった厭な話

基本的に幽霊とかの類いは信じてないんですが、そんな僕でも本当に説明のつかない、不思議な体験をしたことがあります。

これは本当にあった話で、はっきりとしたオチもないです。

特に脚色などもせず書いてあります。
長いので暇つぶしに読んでもらえたらと思います。


〈引っ越し〉



少し前の話です(具体的な年数を書くと特定されてしまう内容もあるので伏せます)。


僕と妻は結婚当初、妻の実家で暮らしていました。
しかし複雑な事情から、妻の実家を出ることになり、急遽アパートを探すことになりました。

その時の僕らは犬を飼っていたため、実家の近くでペット可のアパートないかなぁと探していたら、ぴったりの条件のアパートがすぐ見つかりました。

“ 新築、ペット可、メゾネット2階建の2階部、駐車場2台で家賃7.5万 ”

少し高いなと思いましたが条件に合うところがここしかなく、すぐに内見に行きました。
特に気になるところもなく、そこへ引っ越しすることに決まります。

新築のアパートは本当にきれいで、僕ら夫婦がその部屋への初めての入居者でした(その部屋以外はすべて埋まっていた)。

メゾネットなので、ドアを開けるとすぐに玄関、階段があり、上りきると右手にトイレ。

入り口は本当にこんな感じ

正面の扉を開けるとLDKになっていて、右奥に和室、左がキッチン、その奥に風呂場、左奥に寝室と広く、住みやすいなぁという印象でした。


〈入居後〉



入居して数日は特に何も無く、1週間ほど経ったころだったかと思います。

変なことが起こり始めました。

・寝室での異音(ラップ音)

・犬がしきりに階段を気にする

・寝室の外の竹藪からの足音(竹を踏む、掻くような音。ガサガサ、パキパキなど)


妻はそういったものにとても敏感で
「なにか気持ち悪い」
「外で誰かがウロウロしている」
「寝室に誰かいる」

としきりに言ってましたが、

僕は「新築だし、そんなもんいるわけない。外の音も木が風で揺れたり、家の中の音も湿気で木が伸縮してんだろ」
とか適当に言って、気にもしませんでした。


〈異臭〉



ある日の夕方、妻よりも早く仕事が終わり帰宅。

家のドアを開け、
階段を上がり、
テレビをつけ、
ソファに座り、
一息つく。

「そういえば小便我慢してたな…」とトイレへ行こうとリビングから階段室への扉を開ける・・・。
帰宅してからその間は約2分程度でした。


リビングから階段室への扉を開けると、帰ってきた時は全く何の臭いもしなかった階段室が、ドブ臭いというか生臭いような…とにかく酷い臭いがムワァと広がっていました。

「うわぁ…トイレの配管詰まったのかな」と、トイレの中を確認すると、トイレは普通に芳香剤の臭いしかしませんでした。

帰宅してから2分ほどで、酷い異臭が階段室全体に漂っていました
配管などはどこにもありません。

そうこうすると妻も帰宅し、酷い臭いをお互いに確認しました。

それから日によって酷く臭ったり、無臭の日があったり、原因が分らなかったので業者の方に来てもらったのですが、

「その臭いが出てないと分らない」

ということで結局解決しませんでした。

〈湿気〉



しばらくすると、前述したようなラップ音や臭いとともに、湿気の時期でもないのに寝室に異様な湿気が発生します。

毎日ひどい湿気で、まるで温室のよう。
当たり前のようにすくすくとカビが育っていきます。

湿気は家全体ではなく、寝室のみ。
カビの増殖はなぜか窓際だけでした。

窓側の壁の下部から始まり、一気に天井にまでカビは広がりました。
ありえないスピードで。

これも業者さんに見てもらいましたが、エアコンの除湿など、そういった対策をするしかないという返答でした。新築ですよ?

「下の階でも同じようなトラブルが起こっているんですか?」と確認したところ、異臭もカビもここだけだと言われました。なんで?


〈災難1〉



このアパートに越してからというもの、生活面でも本当に酷い目に合いました。

僕は某アミューズメント会社で接客をしていて、その頃は現場責任補佐みたいな立ち位置でした。

その日の開店前作業中、機械が不調だから見てほしいという依頼がありました。

その機械は「強力なモーターの駆動で革のベルトを高速で回す」という機械で、そこから普段はしない「カラカラ」という異音が確かに聞こえていました。

外してメンテナンスをし、取り付け直すも異音が治らず「何だろうな…」と動かしっぱなしで見つめていると、

なにやら下部のところに鋭利に飛び出ているものが「カラカラ」という音に合わせて揺れてるように見えました。

「これだな」と思い、手の届きづらいところにあった為、少し無理な体制で手をそこに突っ込み、異物に触れたと思った次の瞬間「バンッ!!!」と僕の手がそのモーターとベルトに巻き込まれました。

びっくりしてズボッと手を引っこ抜くと、左手の半分以上が真っ白になっていて、擦れているような状態になっていました。

その時、不思議と痛みはなく「あ、この程度で済んだのか」とホッとして、機械を再起動。特に異音もなく、無事開店しました。

開店時、しばらく入り口で「おはようございます」とお出迎えの挨拶をしていると、左手が濡れているのが分かり、パパッと手を払うとボタボタボタボタッと透明な液体が信じられない量飛び散りました。

「え?」と左手を見ると、真っ白に擦れていたところはすべて皮が剥けていたらしく、透明な液体が表面を満たしていて、溢れ出た液体がボタボタと僕の動きに合わせて床に落ちていました。

気付かないうちから液が床に垂れ続けていたようで、僕の立っていた場所の床には水溜りが出来ていました。手をもう一度よく見てみるとプクゥと膨らんでいて、付けていた指輪で指が鬱血するほど腫れ上がっていました。

すぐに上司に報告し、病院へ。
お医者さん曰く真皮まであと少しだったらしく、そこまで削れていたら大量出血していて皮膚移植が必要になってましたと言われました。良かったねと。
結局完治するまで3ヶ月以上かかりました。

「いやいや!どう考えてもこれはお前の不注意だろ!」

そうです。僕の不注意ということになったし、当たり前にそうなんですが、僕は今でも手を入れる前に機械は止めていたと思っています。

危険な機械だなんて重々承知していたし、稼働中そんなとこに手を突っ込もうなんて誰も思いません。

はっきり止めたのを覚えているし、手を突っ込んでいる時も稼働音はしていなかったんです。

あくまで僕の中では。


〈災難2〉


これだけで終わりません。
深夜2時ごろに会社から自宅まで車で帰っていると、正面から右折車線に車が入ってくるのが見えました。

信号は青。
僕は直進だったので真っすぐに進むと、正面から右折車線に入ってきた車がスピードを落とさず、僕のほうに真っすぐ突っ込んできました。

まさかの出来事だったので咄嗟にハンドルを切るも避けきれず、対向車は僕の車の後部に激突。僕の車は衝撃で火花を散らしながらネズミ花火のように回転し、道の真ん中で停止。

ガシャーン

音のした方に振り向くと、ぶつかってきた車が道路脇のガードレールに突っ込んで停止してました。
僕の車を見ると、後部座席ごと丸々消滅していて、ハリウッド映画でしか見たことがないような状態に。

ぶつかってきた車の運転手は確実に死んだと思ったんですが、僕もそいつも無傷という奇跡が起きていて、車も保険で何とかなる予定でした。

翌日保険屋からの連絡で、車両保険の“新車特約の期間”が一昨日(事故の前日)に切れていたということを知り、絶望。

相手方の保険からはローンの残額分のみ保障という形で、僕は新たに車を買わなければならないという、10対0なのに被害者側が大マイナスのもらい事故でした。


〈検証〉


この他にも作業中に頭をぶつけて血だらけになる、人が足りず早出出勤したら駐車場で2件も事故が発生し対応に追われ、なぜか僕が始末書を書くはめになる...などなど
細かく言えばもっとあるんですが、あまりにも不幸が続くため、当時の上司に相談しました。

上司は

「原因は階段だな。塩を置いてみろ。」

「お清めみたいな?」

「いや、塩を置いて一晩経って、下が黒くなっていたらヤバいってことだ」

俺はもうヤバいんだけどなと思ったんですが、そういやそういうことは一切やっていなかったので早速やってみました。

家に一般的な塩がなかったため、クッキングソルトを使いました。

クッキングソルト

これ知っている方はわかると思いますが、めっちゃくちゃにサラサラなんです。普通の塩みたいに粒じゃなく、海岸の砂みたいな。三角に盛るのも難しいやつです。

僕も妻も

「さすがにこれは何もならんでしょ笑」と。

階段室に設置はしたものの普通の塩じゃないしなぁなんて思いながら床に就きました。

翌朝、トイレに行く際に階段室に置いた塩を見ると、黒くはなっておらず、昨日置いた状態のままでした。

「ですよね」と塩を触ってみると、ありえないくらいガチガチに固まっていました。昨日は三角形を保つのすら難しかったサラサラの塩が。

湿気では説明がつかないくらい。
水をかけたらすぐ溶けるような塩が、ガチガチに固まっている。

結果を上司に報告すると

「だろうな」と一言。

ですよね。


〈女の人いない〉


さすがに僕もこの事態の異常さを感じてきていた頃でした。
そして決定的なことが起こります。


僕は前述したように当時接客業をしていて、勤務もかなり不規則。
帰りがかなり遅くなる日もしばしばでした。

その日は夜中の3時過ぎに家に着き、いつものように

玄関を開け、
階段をあがり、
リビングへの扉を開け、
寝室の扉を開け、
当たり前に寝ている妻に「ただいま」と言いました。

すると寝ていたはずの妻が、
暗闇の中でムクッと上半身だけ起こして僕を指差し



「女の人いない」



言い終わると事切れたようにバタッと後ろに倒れ、また寝息を立てて眠り始めました。

深夜だったこともありとても怖くなって、その日は朝までずっと起きていました。

翌日、昨日の出来事をすぐに妻に聞くのも気が引けてしまい、寝ぼけてただけかなぁなんて思い、あまり考えないようにしていました。

1週間ほど経ち、気持ち悪さも薄れてきた辺りで妙に気になってきてしまい、覚えてないだろうなくらいの軽い感じで妻に聞いてみました。

「そういえばこの前の夜中、俺に『女の人いない』って言ったの覚えてる?」

「あ〜、覚えてるわ」

本当に寝ぼけているだけだと思っていたので、予想外の返答でした。


なぜあの時そんなことを言ったのか聞くと、

僕が帰ってくる5分前に夢を見ていたそうです。

その夢というのが、

僕が玄関を開け、
階段を上がり、
リビングへの扉を開け、
寝室の扉を開け、

「ただいま」

と寝ている妻に声をかける。

というもので、一連の流れを誰かが撮影したような
俯瞰した映像で見えていたそうです。


僕はその夢と全く同じ行動を5分後にしたのですが
ひとつだけ違っているところがありました。


妻の夢の中では

僕がドアを開けるとドアノブに手が2つ重なっていたそうで、

ひとつは僕の手、
もう一つは全く見たこともない、30〜40代くらいの女性だったそうで、2人で手を重ねてドアノブを捻り、玄関のドアを開けて入ってきたと。


その女性と重なるように玄関に入り、

階段を一緒に上がり、

一緒にリビングのドアを開け、

一緒に寝室のドアを開け、

妻に向かって2人で「ただいま」と言った。

知らない女性は妻と目が合うと、にっこりと微笑んだ

というのです。

それを聞いた僕はもう血の気が引いてしまって、さすがにまずいと思いその日からアパートを出ることを考え始めました。


〈エピローグ〉



その後これ以上大きなことは起こらなかったのですが、音や異臭、気配、カビなどには退去時まで悩まされました

これが僕の体験した話で、原因は未だにわかりません。

新居に引っ越してから一年後、妻と昔話をしている時に当時は気持ち悪くて話せなかった話をしてくれました。


〈後日談:モバゲーのコメント〉



当時モバゲーというものが流行っていて、その機能の一つに自分の日記のようなものを公開し、
それを見た他人がコメントしたり出来るんですが、そこに妻が「女の人いない」の話を書いたそうなんです。

ほとんどは

「こわーい」
「大丈夫?」
「そのアパートやばいよぉ」


のようなコメントばかりだったのですが、
ひとつだけとても気持ち悪いものがあったそうなんです。

知り合いでもなくフォロワーでもない、まったく見ず知らずのアカウントからのコメントにはこう書いてあったそうです。



「それは生霊の仕業です。

貴方の旦那さんは接客業か何か、多くの人と関わるような仕事をされてませんか?(妻の日記には僕の職業などは一切書いていない)

貴方が見た女性は実際に存在してます。
貴方の旦那さんも、その女性のことを見れば分るはずです。

また、その女性のことを貴方は知らないようですが、女性は貴方のことを知っています。

家も知っています。車も知っています。
犬を飼っていることも知っています。

その女性は貴方の旦那さんに強い思いを寄せています。

かなり強い思いがそういった状況を生み出しています。

非常に危険な状態なので、信頼できる方に相談し、すぐにでもお祓いをして下さい。

無事を祈ります。」(太字以外はほぼ原文まま)


実際にその女性の姿を見たことがあるのは妻だけなので、僕は未だにどんな女性だったのかは分りません。

もしかしたら店によく来ていた人かもしれないのですが、今となってはもう何もわからないです。

コメントを真に受けたとしても、その生霊と、アパートで起こっていた怪現象に繋がりは見つけられないんです。

様々なことが重なって、危険や死が近くにあった時期だったと今振り返って思います。

今でも幽霊などはあまり信じてないんですが「現実の事柄だけでは説明のつかないことはある」ということは、はっきり言えます。

長文を読んで頂きありがとうございました。

貴方の生活の上で、何かのご参考になれば幸いです。



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