融解

頬の丘を虫の子どもたちが駆ける
何度も頬を拭って
嫌いだった
あの人のサングラスに
仕方のない理由があり
知ると簡単に心変わり
小さな物差しをへし折る
コレはボーダーラインだ
罪を背負ったままで
一跨ぎに飛び越えていた
あなたが好きだと言った
ふかふかした布団に
顔を伏せて動物のまね
ふーっはさめるのに
はーっはあたたかい
肌と肌の間に
挟んだ布を揉んで
とても心地よい
太古の記憶では
鳩尾の塊が熱を持つと取り出して
冷ましていたようだ
誰にも言えないコトは
あえて言語化しないでおこう
言葉にしたら意味を持ち
誰かに話したくなるのだ
こめかみのあたりで
生かさず殺さずに
見ないふり
知らないふりして
例えば

爪が青菜を啄む
踵から小川が流れ
皮膚の隙間に
春が訪れた
そんなコト

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