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長編小説『陽炎、稲妻、月の影』まとめ【完結済】

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記憶喪失の地縛霊と霊能力者の女子高生が、校内の心霊現象を解決していく物語です。
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#霊術

【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #1

第1話 揺らめきの邂逅――(1)  僅かに初夏の空気を含み始めた春風が、ふわりと廊下を吹き…

四十九院紙縞
6か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #8

第2話 延長線上の哀歌――(6) 「よう、戻ったぜ」  小脇に小さな箱を抱えたアサカゲさん…

四十九院紙縞
6か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #12

第2話 延長線上の哀歌――(10)  朝からいろいろとあったが、気を取り直し、放課後――…

四十九院紙縞
6か月前

【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #13

第2話 延長線上の哀歌――(11)  それから期日まで、ピアノの練習は滞りなく行われた。 …

四十九院紙縞
5か月前

【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #38

第5話 呻く雄風――(8) 「――三人とも下がって!!」  なににも触れられない俺では、三人…

四十九院紙縞
5か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #41

第5話 呻く雄風――(11)  ごうごうと唸りを上げる風の音で、俺は意識を取り戻した。  …

四十九院紙縞
4か月前
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【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #42

第5話 呻く雄風――(12)  とても幸福で温和な時間に浸っていたいところだが、いつまでもこうしているわけにもいかない。 「さてと。時間もあんまりないし、後片づけしよっか」 「は? 時間?」  疑問符を浮かべたアサカゲさんに、敢えて回答はせず、俺はついっと人差し指で円を描いた。  三年五組の教室で発生した風は、そこに居る三人を優しく抱え上げると、グラウンドへと運び出す。始めこそ悲鳴を上げられたが、害がないとわかるや否や、アトラクションに乗っているように楽しんでくれた。同時に