【長編小説】陽炎、稲妻、月の影 #11
第2話 延長線上の哀歌――(9)
「どういうことだ?」
「僕の母方が神社の家系なんだけど、母さんは大桃に嫁いできてる。それで今は父方の土地に住んでるんだけど、庭の隅に祠があるんだ。どっちもっていうのは、そういうこと」
「その祠、いつからあるかってわかるか?」
「確か、ひいおじいちゃんの代って言ってたような……? ひいおじいちゃんが会社の社長をしてたからって聞いた気がする。まあ、父さんの代で会社は潰れちゃったんだけどね。それで、ええと、これ、本当になんの為に訊いてきてるの?」