【短編小説】極端に影の薄い「私」が、並行世界から来た人間と、しがない喫茶店のマスターに救われる話
『透明人間はスパゲッティで孤独を癒やす』
物心がつく頃には、私は透明人間になっていた。
否、透明人間と言うと流石に語弊がある。
正確には、極端に影が薄い人間になっていた、だ。
一人で飲食店に行けば入店したことすら気づかれず席に案内されないことに始まり、やっとの思いで注文ができても、注文したものが出てくるまで通常の三倍は時間がかかる。
学校生活においては、とにかく出席しているという証明をするのが難しかった。なにもせずにいると、席に座っているにも関わらず、居ないことにさ