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1歳以上でB型肝炎ワクチンを打つべきか

B型肝炎ワクチンは現在1歳未満の赤ちゃんは全員が公費で接種できますが、いま1歳以上でまだ接種をしていない場合・・・小学生、中学生や高校生の年齢でも打つべきなのか迷うことは多いでしょう。

今からでも接種すべきでしょうか?

まずB型肝炎ワクチンはB型肝炎ウイルスを防ぐためのものです。

B型肝炎ウイルスはヒトの肝臓に感染して一過性の感染もしくは持続感染を引き起こします。(持続感染しているヒトをキャリアと呼びます。)

その持続感染から年月を経て肝硬変や肝臓がんを発症することがあり、

また一過性の感染でときに劇症肝炎というひどい肝炎を引き起こす場合があります。

劇症肝炎はその文字からも伝わってくるほど症状の強いもので、死亡率も高い肝炎です。

これらからB型肝炎ワクチンを接種する主な目的としてこれら肝臓がんや劇症肝炎など重い病気による死亡を防ぐことが挙げられます。

B型肝炎ウイルスはどのようにして感染するのでしょうか。

感染経路としては3つ挙げられます

①母子感染・・・B型肝炎ウイルスに感染している妊婦さんから、赤ちゃんへの感染です。妊婦さんには皆、子供を産む前にB型肝炎の検査がなされもし陽性であれば出生後すぐに予防策が取られます。

②性行為感染・・・体液を介して感染します。

③接触感染・・・血液の接触として医療従事者の針刺し事故や、覚せい剤の注射の回し打ちによる血液感染が有名ですが、日常的な接触でも稀に感染することがあるようです。例えば、手に傷があると血液など体液に触れる可能性があります。血液だけでなく、汗や涙、尿、唾液からも感染する可能性があります。

性行為や針刺し事故、覚せい剤による感染と聞くと、子供へのワクチン接種としてはピンと来ないかもしれませんが、

日本のキャリア数は約110~140万人と推測されており*、日常的な接触による感染も無視できないと考えられます。家族の中にキャリアの人がいる場合、密に接触するためリスクは高くなるでしょう。

世界では2億6000万人のキャリアがおり、アジアやアフリカにはキャリアが8%以上という地域もあります。**

今は自粛の影響で海外に行くことは控えられていますが、グローバル化が強調される現代では旅行や仕事で、キャリアが大勢いる地域に行く機会もあるのではないでしょうか。(そういう意味では大人ももちろん接種の意義があります)

1992年WHOとユニセフは全世界の全新生児にB型肝炎ワクチンを打つべきとしています。これをユニバーサルワクチネーション(universal vaccination)といます。**

2016年からB型肝炎は定期接種として公費で打つことができるようになりましたが、2016年以前に生まれたお子さんも、ユニバーサルワクチネーションで全員に接種すべきものですから今からでも接種をお勧めします。

接種は合計3回で、1回目を接種後約1ヶ月後に2回目、その約4〜5ヶ月後に3回目を接種します。

B型肝炎は時に命に関わる場合があること、また日常的な感染も時にはあることから接種をおすすめします。一度かかりつけの先生にご相談くださいね。

*小児感染症マニュアル2017 **海外渡航者のためのワクチンガイダンス2019











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