訪問買取とクーリングオフ

 久しぶりの投稿になります(誰が待ってんねんっていう声が。。。)。

 先日,とある高齢者(私ではない,というか私は高齢者でない)の方が不要品整理で訪問買取をお願いしたあと,クーリングオフでちょっとしたトラブルがあったので,その注意喚起を。

 高齢者は「終活」の一環で整理した不要品について,あるいは高齢者でなくとも,日常生活でもう使わなくなった身の回り品等について,無駄に場所取りになるくらいなら,この際,買取業者に引き取ってもらって少しでもお金になればと考える人は少なくないだろう。この場合,買取業者の店舗に持ち込んで交渉することを考える人もいれば,最近,テレビCMや新聞折り込み・ポスティング広告紙で「出張費無料」「見積無料」「買取なしでもOK」等を謳い文句にしてる訪問買取を利用しようと考える人もいるだろう。特に後者の訪問買取については,家に来てくれるので荷物を運ぶ必要もなく,高齢者にとっては魅力的な方法に見える。

 で,この訪問買取,店舗買取と違って,クーリングオフの対象なのです。なので,一番目の注意事項として
  ①訪問買取業者による買取契約時にクーリングオフを確認
です。クーリングオフは書面交付による説明が法的義務なので(注1)),買取契約時に業者側から書面(例えば,買取契約書の裏面記載や別紙)で説明があるはずですが,もしなければ,おかしいと思って自分から確認した方がいいですし,業者が知らないようであれば怪しんで契約しないほうがいいかも知れません(売りたい気持ちが強ければ最終的には自己責任判断ですが)。
 二番目の注意事項は
  ②買取契約書には明細(品目,数量,金額記載)があることを確認
です。これは,例えば明細がなく単に「引き取り品 一式 〇×円」とかになっている場合,クーリングオフ後の返品確認ができません(注1)。また,クーリングオフ説明は書面交付ですが,その対象が買取契約書で明確になっていなければ,クーリングオフの有効期間(訪問買取の場合は買取契約をした日を含めて8日以内)は無効(先延ばし)になるとの話もあるようです(が,後で法律論なんて難しいことで揉めないよう,契約時に明細がなければ要求しておいた方が無難です)。
 三番目の注意事項は
  ③クーリングオフに係る費用は「全て」買取業者負担であることを確認
です。訪問買取の場合,先の「謳い文句」もあると,来てもらうのがタダなのに,やはりクーリングオフで返品をお願いするとなると,こっちが費用持たなくちゃだめなんだろうなぁと思ってしまうかもしれませんが,法律ではクーリングオフで対象となるもの(一部の物品(家具等)や買取金額(3000円未満)は対象外)は,消費者保護の観点で「全て」業者負担となってます(注1)。したがって,クーリングオフの説明で,買取業者から「返品時の配送は着払いとなる」とか「物品は保管倉庫(物流倉庫)まで引き取りにきてもらう」とかの説明があれば法律違反を指摘すべきです。
 四番目の注意事項は
  ④クーリングオフは買取業者に書面送付で申し出るのが間違いない
です。クーリングオフは,業者が承諾すれば電話(口頭連絡)でも成立するとの話がありますが,クーリングオフのガイドでは書面送付が原則となっています(注1)。この場合,買取業者にあらかじめ電話で連絡する必要もなく,クーリングオフの有効期間内に必着となるように,着日が記録される「特定記録郵便」で送れば間違いないです。クーリングオフを電話で申し出て相手が承諾しても,その後返品がなく,再度電話をしたら通話番号の受信拒否登録をされて連絡が取れないことになりかねないからです。
 最後,五番目の注意事項は
  ⑤クーリングオフで揉めたら「居住地」の消費生活センターに相談する
です(注2)。なお,①~④に気を付ければここまで行かないとは思います。

 さて,冒頭の「とある高齢者のトラブル」ですが,上記注意事項の②,③,④に関するものでした。②については「明細がなかった」,③については「倉庫まで引き取りに来てほしいと言われた」,④については「電話がつながらなくなった(受信拒否)」です。この買取業者,無名でもなんでもなく,最近,芸能人を使ってテレビCMやネットで積極的に宣伝してる名の知れた買取業者で,そんなところでも,②,③については法律違反(抵触),④についてはカスハラ対応なのか連絡手段断(通話番号受信拒否)という酷いものでした。最終的には「いろんな手段」をとって自己費用負担なく取り戻すことができたようです。

 老舗では少ないかもしれませんが,最近増えてきた「にわか」訪問買取業者は,法律の詳細を知らず,あるいは,知ってわざと酷い対応をしてるところが少なくないかもしれません。特に,ネット情報弱者であろう高齢者はターゲットにされるかもしれません。最近でも,クーリングオフの説明義務違反で逮捕者がでています(注3)。

 みなさんもお気をつけて。


(注1):訪問購入に係る特定商取引法ガイド参照
     https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorpurchases/

(注2):全国の消費生活センター
     https://www.kokusen.go.jp/map/index.html

(注3):産経新聞記事
     https://www.sankei.com/article/20240508-HCRFYLURQJKP5NKEEVSUHT73YM/






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