30.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 16
星星峡 2011年4月号 No.159 P36-42
明石はそんなことを力なく考えていた。
・・・・・、悪くない感触を得ていた。
*前後に空白行
これなら負けない。これなら俺だって。
*前後に空白行
なんという成熟、なんという音楽的スケールの大きさ、
構築する音楽のなんというレベルの高さ。・・・・・・
本当に、本当の、天才なんだ。
*前後に空白行
*るびなんですが、連載時になかったルビ
求道者 ぐどうしゃ と (きゅうどうしゃ との違い、文末に書きます。)
どうしてこんな人間が、この世には存在しているのだろう。
*前後に空白行
絶望で頭がいっぱいになる。文字通り、目の前が真っ暗
になった。
*前後に空白行
どうしてこんなふうに生まれなかったのだろう。・・・・・
・・・・どうして、どうして。
*前後に空白行
今日の一次審査が終わって、トイレはしばらくのあいだ
混んでいたが、もう波は引いていた。
今日の一次予選が終わって、トイレはしばらくの
あいだ混んでいたが、もう波は引いていた。
どうしよう、
*前に空白行
二十歳過ぎたらただの人。燃え尽き症候群。さんざん言われた単語が脳裡に蘇る。
*前後に空白行
もしかして、あの子たちはあたしがここにいると知って
いてわざとそんな話をしたのでは?・・・・・・・・・・
「ほら、いた」とくすくす笑われるのではないか。
*前後に空白行
出たくて出るんじゃない。あたしの意思じゃない。
*前後に空白行
だが、あれが「世間」なのだ。あれが現在の、あたしに
対する「世間」が抱いているイメージであり、感想なのだ。
*前後に空白行
「世間」は忘れてくれてなどいなかった。・・・・・・・
忘れていなかった。
*前後に空白行
さっき聞いた声がぐるぐると執拗に脳裏に蘇ってくる。
*前後に空白行
今になってみると、意地悪な口調よりも、あきれた様子
だったもう一人の女の子の口調のほうがこたえた。
確かに、無謀であきれた行為なのだ、今更のこのことコ
ンクールに参加するだなんて。聴衆の面前で、天才少女の
惨めな成れの果てを披露するなんて。あんな、キラ星のご
とく次々と現れる世界の天才たちに混ざって。
マサル・カルロスの姿が目に浮かんだ。
あの素晴らしいメフィスト・ワルツ。
ホテルの部屋に飛びこみ、ドアを閉め、亜夜はカードキ
ーを手にしたままドアに背を付けて呆然と立ち尽くしてい
た。
*前後に空白行
今になってみると、意地悪な口調よりも、あきれ
た様子だったもう一人の女の子の口調のほうがこた
えた。
確かに、無謀であきれた行為なのだ、今更のこの
ことコンクールに参加するだなんて。聴衆の面前で、
天才少女の惨めな成れの果てを披露するなんて。あ
んな、綺羅星のごとく次々と現れる世界の天才たち
に混ざって。
マサル・カルロスの姿が目に浮かんだ。
あの素晴らしいメフィスト・ワルツ。
ホテルの部屋に飛びこみ、ドアを閉め、亜夜はカードキ
ーを手にしたままドアに背を付けて呆然と立ち尽くしてい
た。
だから、コンクールなんか出たくなかったのに。
・・・・・・呪っていた。
*前後に空白行
出るのをやめてしまおうか。
*前後に空白行
ふとそんな考えが頭をかすめた。
*前後に空白行
が、さっき聞いた声が再び押し寄せてきた。
本当に出てくるのかしら。
またドタキャンしちやったりして。
*前後に空白行
全身にどっと冷や汗が噴き出してきた。
ステージの上に、「87 EIDEN AYA」と書かれ
た白いプレートがある。
・・・・・
笑い声が聞こえてくる。客席のそここで囁く声が。
*前後に空白行*
全身にどっと冷や汗が噴き出してきた。
ステージの上に、「88 EIDEN AYA」と書かれ
た白いプレートがある。
えー? なに? 棄権しちゃったの?
うっそー、楽しみにしてきたのに。栄伝亜夜。
また逃げちゃったんだよ。やっぱり怖くなっちゃったん
じゃない?
こないだまで会場で一次審査聴いてたのにねえ。
だからだよ、他のコンテスタントのレベルが高いのに恐
れをなして、出ないほうがいいって思ったんじゃないの。
前後に空白行
こないだまで会場で一次予選聴いてたのにねえ。
他の場面も目に浮かぶ。
前に空白行
駄目だ、あたしは帰れない。棄権することもできない。
前後に空白行
その瞬間、目に入ったのは、ベッドの上に広げてあっ
た、一次審査で着る、奏と選んだ鮮やかなブルーのドレス
だった。
その瞬間、目に入ったのは、ベッドの上に広げて
あった、一次予選で着る、奏と選んだ鮮やかなブル
ーのドレスだった。
本 P140-147
ふぅ、なんとか今日中に。
ではまず、
”きょうどうしゃ” と ”ぐどうしゃ”の違い
https://biz.trans-suite.jp/21825
仏教用語に意味が限定されるそうで。
審査と予選 またでてきましたね。
あと、意外なのは、連載で87が
「88 EIDEN AYA」
87はあきらかに間違いで、連載8回目で末広がり
で縁起がいい、とは言わないが・・・・
本ではP75ですね。
と、細かいことを突くのでなく、大幅に加筆・・・・
大幅をさがしたいですね。
さて、16回までつづきましたが、図書館からまだ郵送されて
こないので、ほんとしばらく間が空いちゃいますね。
催促の電話したほうがいいのかなぁ。こっちが住所間違えておしえてるとか・・・
いや、純粋に受付件数が多くて僕まで回ってこないだけとか。
ということで、しばらくはお休みします。と言って、蜜蜂と遠雷に関して何か書いちゃうかもね。
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