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DXを支援する上で最も最初に取り組むこと

 デジタルトランスフォーメーションを支援する上で、一番最初に取り組むこととは何か?

 此の1年、大小様々な組織のDXプロジェクト、活動に立ち会ったり、助言したり、伴走したりと多大な時間を費やしてきた。そこから見えたことが1つある。

 最新の事例や技術を調べあげること? いやいや。

 人と人の認識や理解の分断をどうやって繋ぐか、この一点。もっというと、組織および取り組みの中でどこに分断があるかを知ることから始める必要がある。

 認識や理解の分断は、職位の間にあることも、職種・役割の間にあることもある。部署の間にも、組織の内側と外側の間にも。世代間にもある可能性はあるし、プロパーとそうでない間にもあるかもしれない。

 組織の中での分断の可能性を挙げるのには、枚挙の暇がない。すべての境界に分断が起きていて、そのうちのいくつかは致命的な問題になっている場合もある。

 分断があるのは必然と言える。大きな組織ほど、お互いのミッションを分担して、仕事に取り組むことになる。分けることで、効率的あるいは現実的になる。組織が動いていく上で、分断は不可避だ。

 だから、分断を無くそうというのはナンセンスで、「どこにある分断がこれからの変革活動にとって致命的なボトルネックとなりうるか」が向き合うべき問い。ボトルネックは、動いていく。手を打てば、必ず他に移動する。それを追いかけていく。

 こうしたボトルネックは、組織の外側から支援する立場だからこそ見えるところもある。伴走とは、この動いていく課題を内部の人とともに粘り強く追う仕事になる。

 ただし、あくまで「問題のオーナー」は組織の中の人になる。勝手に解いてはいけない感覚がある。「問題を片づけておきました」では、次に生まれてくるボトルネックを組織として追いかけ回すケイパビリティが付いていかない。

 組織の問題は、勝手に外側の人間が解くべきものではない。こういう境地にたどり着いたとき、不意に「当事者研究」のことを思い出した。

 もとより、向き合う問題は容易ではない。ともに悩む、ようにありたい。

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