見出し画像

書籍 「デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー」 で書いたこと

 2022年2月21日、発刊。

デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー
組織のデジタル化から、分断を乗り越えて組織変革にたどりつくまで

 タイトルのとおりDXがテーマとなっている。このnoteで時々触れているように、普段DXに挑む組織の支援を手掛けてきており、そこで得られてきた知見をまとめて、お届けするもの。全9章。

【本書の構成】
■第1部 デジタルトランスフォーメーション・ジャーニーを始める前に
 第1章 DX1周目の終わりに
 第2章 デジタルトランスフォーメーション・ジャーニーを描く
■第2部 業務のデジタル化
 第3章 コミュニケーションのトランスフォーメーション
 第4章 デジタル化の定着と展開
■第3部 スキルのトランスフォーメーション
 第5章 探索のケイパビリティの獲得
■第4部 ビジネスのトランスフォーメーション
 第6章 仮説検証とアジャイル開発
 第7章 垂直上の分断を越境する
■第5部 組織のトランスフォーメーション
 第8章 水平上の分断を越境する
 第9章 組織のジャーニーを続ける

 

 主題は、DXという名の組織変革、より具体的にはこれまで組織が育ててこれなかった「探索」という組織能力をいかにして獲得し、それをどのように組織の中で広げ、成果を出していくか。探索の組織能力とは「仮説検証」と「アジャイル」に他ならず、つまりこの本は実はアジャイルの本でもある。

 中核となるコンセプトは「アジャイルブリゲード」という組織構造であり、その実践のために書籍後半は紙幅を多く割いている。


 ただし、アジャイルブリゲードとは組織の中でいかに変化を起こしていくかという手立てであって、具体的に何を伝播させていくのかが問われることになる。
 ゆえに、6章で仮説検証とアジャイルについて、伝えていくべき「探索」のあり方そのものについて説明している。この領域についてのまとめ直しは正しいものを正しくつくる以来で、より分かりやすく受け止めてもらえるよう内容を整えた。

 想定している読者は、まさしくDXに取り組む現場やマネージャーである。ただし、いわゆるDX推進側だけではなく、既存事業の向上や新規事業の創出を手掛ける事業部側も手に取れるよう心がけたつもりだ。
 もっというと、DXかどうかその如何に依らず、組織に探索の方法を伝え実践していきたい方、その探索の背景にある「アジャイル」という考え方そのものを学び、適用していきたい人向けに作っている。

 今回の書籍は書き上げるまでにほぼ1年近くを要している。もっとも密度の高い期間は半年ほどであったが、それでも半年かかった。これまで書いた書籍の中で最も期間を要したと言ってよい。
 昼間は、顧客組織の渦中にあってDX支援の前線に立ち、夜や休日にこちらの執筆に時間をあてる。日中に考え、体感したことを、夜間にふりかえり、言語化していく。
 もちろんそれほど単純にインプットとアウトプットが直結しているわけではないが、「従軍記者」のメタファは少し近いかもしれない。ただし、後方の安全地帯から観察するような生ぬるいものではない。むしろ、誰よりも前線に立っているものだから、塹壕の中で手記をまとめたというイメージがより近いかもしれない。

 そんな著者の苦労を、もちろん読み手が慮る必要は全くない。ただ、一つ思うのは、何かに取り組み、取り組み、そして、取り組んだ後にまとめよう、というのは、多くの場合その時がやってくることはない、ということ。むしろ、渦中にあって、その中で学びを結晶化し、ほぼ即座に発信していくほうが、自分の身にも周囲にとっても幸いになるということだ。「学びの密度」を上げていこう。

 組織を変える旅の傍らに、ぜひ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?