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リモートワークの組織で何を評価するのか?

「結果の質」重視の組織

 組織の中で行う「評価」は難しい。どうあれば良いのかと常々悩む観点で、それは昔から変わらないように思う。フルリモートワークの職場はさらに難しくなる。過程が物理的に見えなくなるので結果がすべてになる。結果だけで語りあう組織。理想ではあるが、相当なマッチョで一般化はしないだろうと思う。

 これは、ダニエル・キムの成功循環モデルにあてはめるならば「結果の質重視」というわけだ。

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 昔ながらの考え方では、過程と結果の両方が評価対象になる。「行動の質」と「結果の質」の両方が問われるイメージになる。つまり、

過程が見える環境:行動の質、結果の質が評価対象
過程が見えない環境:結果の質が評価対象

というシンプルな整理がまずある。結果重視な在り方はもっともだ。一方で、別のことを考えるのである。

組織としての評価と前提がズレる

 フルリモートワーク型組織の難しさには、会社法人という形態でやる意義があるのかどうかという問いに繋がるところがある。個々が結果を出せれば出せるほど、その傾向は強まる。早い話、個人で仕事ができるからだ。

 組織という「結集」を前提とする在り方を、なぜわざわざ取るのか?その組織で実現したい何かがあり、その実現のためには複数人の力が必要となる。だから一人ではなく、個々の個人商店の寄せ集めでもなく、チームという「協働」を選択する。ゆえに、

環境として分断している→「結果の質」重視
組織として協働の選択→「行動・思考・関係の質」が問われる 

という構造が見えてくる。

 ここで「結果の質」の重視だけで乗り越えられるのか?にぶつかることになる。もちろん、乗り越えられるとすればそもそも先の成功循環モデルなんて要らない。協働を選択するならば「関係の質」の重視は避けられない。というわけで、

組織としての評価軸:結果の質
組織として必要な前提:関係の質

ズレがある。このズレを「マッチョ」で乗り越えるのか(マッチョのみに組織参加を絞る)、それとも別の手段を講じるのか?

360度評価への期待

 私自身は「360度評価」が成り立つのか懐疑的だったし、今もまだ仮説でしかない。ただ、分断環境でこそ関係の質を高めるためには「360度評価」は一つ鍵になるかもしれない。

 お互いの関係性に着目しその向上のための働きかけこそ増やしたい、つまり行為として評価しようとするならば、「評価を行う者」がそもそも変わらないといけないだろう。分断によって過程が見えなくなっている一人の「管理者による評価」ではなく。分断の中で協働を必要とし、その最中にいる者同士の「お互いによる評価」へ。

 ただし、360度評価を機能させるためには「協働のためにはどういう働きかけが望ましいのか」、そもそも「バスには適切な人が乗っているのか?」といった観点での整理と共通理解が必要だ。容易な解決策は、無い。

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