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そのMVPに2周目の世界は存在するのか

 とあるイベントの何かの拍子で、「MVPを市場にリリースすること」について話題になった。ちょっと何の話の流れだったのかは思い出せない(最初の質問が思い出せない...!)。

 私からは、MVPとはあくまで「学習のための手段」であるということを強調した。

 MVPがすなわち市場へのリリース対象というわけでもない。むしろ、市場に「最初の足跡を残す行為」(ある組織があるテーマであるアプリを世の中に問う、という行為)とは、その取り組み、文脈において「1回切り」なのである。

 その後「大幅アップデート」だろうが「正式リリース」だろうが、「ここからが俺たちの本気だ」とばかりに満を持して送り出すリリースは、何と表現したところで2回目以降の文脈 (2周目の世界) なのだ。

 この1回性の意味を理解した上で、市場とのコミュニケーションを行いたい。つまり、提供側はもとより検証のつもりでも、受け取り手は目に入るもの、手で触れるもの、それをそのままに評価する。それがMVPかどうかとか、検証かどうかなんて、利用者にとって知ったことではない。そこで烙印が押されて、本当に2回目以降のチャンスが残っているのか?

 こういう感じ取り方の違いが起こりうる可能性を織り込んだ上での、MVPリリース、2回目以降のリリースのストーリーが描けているかどうかが大事、という話をした。

 すると、「Googleなんかは頻繁に最初期から市場にリリースをしているが?」という疑問を頂いた。

「はい、そうですね、Googleと比べてよいのかを考えてみましょう。提供側としての信頼感が絶大な組織の取り組みと、果たして前提は一致するのだろうか。Googleさんは多少しくじっていても、信頼感が損なわれることはまずないだろうけども、みなさんの組織ではどうでしょうか。

 そういえば最近、とある会社さんがバーチャル旅行ツアーというサービスをお披露目していましたね。この段階ではMVPでして、これからが本格開発なのです!...というストーリーが果たして成り立つのかどうか。こういう例から、だいたい察しがつきませんかねえ。」

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