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必要なのは無難な正解でも、イマココの空気感でもない。

 会社の10年後のありたい姿を考えよう。
 こういうお題が与えられたとき、どう考えて、答えるか。長年組織に属していればできることも、できないことも十分分かってくる。もはや本人が意識できないレベルで、思考や判断の礎になっていたりする。
 だから、このお題には歴が浅い人たちで向き合ってこそ、期待が寄せられることになる。例えば、この春に新しく会社の門をくぐった人たちとかね。
 彼、彼女たちは、もちろん経験を積むのも専門性を身につけるのもこれからだ。だが、唯一と言って良い、優位性が彼、彼女たちにはある。それは、組織の当事者でありながら外から組織を眺められるという、「内であり、外でもある視座」だ。内と外という二項対立の狭間に居る。
 ところが、満をじして最初に出てくる回答とは、たいてい残念なものだ。外から組織を眺めて、無難にまとめるコンサルか、何となく組織のイマココの空気をつかんでまとめる内側の人たちと変わらない回答だったりする。仕方ないだろう、正解を答えるなら、そうなる。正しい答えだ。
 しかし、必要なのは正解ではない。不確実性だ
 無難な回答にも価値がある。それを踏み台にして、次を考えることができる。確実性の高いプランは、不確実な未来を想像するための逆向きのヒントになる。
 確実を不確実に寄せるためには? そこに個を織りまぜることだ。人間が一番非合理を生み出せる、不確実な変数だ。ただし、表層的な理解をなぞっても仕方ないので、より自分の中にある、我がままで、実現性を脇に置いた、願望を引っ張ってきて、妄想する。
 そんなの妄想まで戻ってしまって大丈夫なのか? 大丈夫。
 実現性、現実感について、フィードバックを寄せてくれる人たちは、うんとたくさん組織の内側にいる。それに、どうにもならなくなったときに戻る先のプランAは既にある。
 もとより答えなどない問いなのだ。チマチマと当てにいくのをやめて、自分たちのかけがえない時間を費やす仕事に、まだ見ぬ未来づくりを織り込もうじゃないか。
 なんてな(和久さん)

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