ひとりよがりからの脱却 - ミニはちみつバター塩パン
本番当日の土曜日、起床は朝7時。
木曜日の予行演習で、所要時間4時間弱だったことから逆算し、11時に仕上げるためには7時過ぎには作業をスタートする必要があったためだ。
本番って?予行演習ってなに?という方はこちらを。
そんなものいちいち読んでられるか!という方のために要約すると、
奥様が沖縄に旅行に来られている古くからのお友だちと土曜日に会うので、何かプレゼントになるものをということでパンを作るようにとの指示、家を出るのが12時前なので、それまでに袋詰めできる状態にしないといけない、大切な友人なので失敗は許さんぞ
ということで、予行演習を実施したというわけだ。
予行演習で確認できたことは、以下の通り。
1.作業に必要な時間は4時間弱
冒頭に書いた通りで、これを元に作業を開始すべき時間を決定。それでもハプニングなどが発生するリスクを考慮して、前日に材料や道具の準備をできるだけ行って、当日はすぐ作業にかかれるようにしておいた。
2.作業台には余計なものは置かない
パン生地をこねたり成形したりするには専用の作業台を使用する。
パン生地は、ひとかたまりの状態から作るパンの個数分に分割したらその作業台に置いておくのが通常なのだが、今回作った塩パンにはパン生地をめん棒で長く伸ばすという工程があり、作業台にパン生地を置いておくとめん棒を使う際にじゃまになってきれいな形に伸ばせないということが発覚。
本番当日は、まな板を用意して分割したパン生地はそこに逃すことにした。
さて、これで準備万端、あとは本番当日を迎えるのみ、と意欲に燃えていたところに恐るべき奥様の一言が。
もともと一口サイズにしてほしいという要望があり、参考にしたレシピの3分の2の分量で作っていたのだが、仕上がりサイズを見た奥様は、これでもまだ大きいというのだ。
今回の塩パンは、丸めたパン生地をしずく形にして、それをめん棒で長く伸ばしてはちみつバターを入れて巻き上げるという工程があるため、一つの生地量が少なくなればなるほど、成形は難しくなる。
しかし、奥様の指示は、神様の指示。
やるしかない。
同じ粉量で通常6個のところを10個作ることにした。つまり5分の3の大きさになる。
はたして、本番当日の首尾は・・・
前日に万端整えた準備のおかげで、気持ちの余裕も生まれて工程は順調に進行、作業台を整理したことで、パン生地の成形も思い通りになった。
さて、あとは袋に詰めるだけ、となったところで問題が発生。
パンの下側ははちみつバターが漏れ出て少しベタベタするので、クッキングペーパーを切ったものに包むことにしていたのだが、その肝心のクッキングペーパーがちょうど切れてしまうという事態に。
「あたし、買ってくる!」
神様だったはずの奥様が近所の100均にかけこみ、10センチ角のサイズに切られたお菓子用のシートを買って戻ってきてくれた。
予定時間は30分ほどオーバーしたが、奥様が家を出る時間にはなんとか袋詰めも完了。最後にドタバタあったが、緊張のパン作りは終了とあいなった。
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普段のパン作りでは、作ることに意義あり、食べるのは自分たち、なのでここまで真剣になることはなかったなあ、と改めて思った。
食べてもらいたい人がいて、その人にちょっとした喜びを感じてもらえれば、そういう気持ちがあると、一つひとつの行動に思いが込められて、それが完成度を上げていってくれる。
趣味でやっていてもそうなんだから、たくさんの人に、それもお金を頂戴して販売するパン屋さんだとなおさらそうなんだろう。それが”プロ”っていうことなのか。
お友だちとの懐かしい時間も終わり、家に戻っていた奥様に、くだんのお友達からLINEが届いた。
”パン好きだったからお土産うれしかったよ。主人と食べたけど、はちみつバターが練り込まれたパン生地がとてもおいしい!すごい!”
お友だちの旦那さんが作ったから、という”ゲタ”もはかせてもらってはいるだろうけれど、それにしても身に余るほどのほめことば。
ひとりよがりのモノ作りから脱却するカギは、思いと感謝なのかもしれない。