早く帰らせてください
今日は遠い拠点で早朝行事があるので5時半起き。
そのせいかどうかはわからないけれど、どうも体調のすぐれない1日だった。
それなのに、ここのところ続いている業務多忙は今日も私をはなしてくれず、仕事の目処がついたのは定時を2時間過ぎてのことだった。
事務所に残っているのは私と上司の部長二人だけ。
さてそろそろ帰ろうかと身支度を始めた時。
「彼女の状況はどうですか?」
少し問題を抱えている私の部下についてのヒアリングがはじまる。
ひとしきり現在の状況や私の見解を話して意見交換をする。
それで終わるかと思えば、関連会社とのあまり望ましくない関係や、販売低迷を受けて経営陣からの執拗な詰問など、でるわでるわ会社のグチ。
販売部門のトップとして毎日のように責められている姿を見ているので、ここは反論せずに聞いてあげたほうがいいだろうな、と、うんうん、そうですね、と傾聴を続ける。
ふと時計を見ると、帰ろうとしていた時からすでに30分以上たっている。
とはいえ、自分から「そろそろ帰りましょう」ともいいづらい状況だったので、早く話が終わってくれないかなと願いながら話を聞き続ける。
さて、と、上司がカバンを小脇に抱える。
「では、失礼しますね。
ねこのてさんも、体調良くないんだったら早く帰ってくださいね。」
いや、あんたや!あんたのせいで帰るのが帰るのが遅くなったんや!
という言葉を飲み込み、自分も帰り支度を始めるのだった。