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勝ったけど負けた気分 第25節 鹿児島対熊本

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは、仙太郎です。

先週快勝からのホームでの首位熊本決戦でした。J3でポゼッション率が上位2チームの対戦となりました。ここで勝てなければ数字的にもJ2昇格がかなり厳しくなる鹿児島。一方の熊本は12戦負けなしと好調を維持しています。 

緊急事態宣言も明け、熊本からはたくさんのサポーターが来場し、試合前からいい雰囲気でした。やはりサッカーは観客がいないと盛り上がらないですよね。

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先発メンバーは予想通り、先週と同じです。先週あれだけ上手く機能したのですから、当然と言えば当然となります。しかしチームのエースである米澤選手を出場停止明けに関わらず、先発させないのは上野監督の決定はなかなかすごいですね。ただこれで誰も出場が決まっている選手はいないんだよと、選手には大きな刺激になると思います。トレーニングでがんばれば、誰もが試合出場のチャンスがあるという監督からのメッセージです。

実はこういうのはチームビルディング上、とても重要になります。サッカーって、試合に出ているメンバーだけが頑張れば勝てるものではなくて、ベンチ入りのメンバーや、さらにはメンバー外になった選手も頑張れないと不思議とチームって勝てないんです。トレーニングで頑張っても、先発メンバーが固定なら、先発メンバー以外はやる気がでなくても当然です。そうするとトレーニングで強度が下がったりして、トレーニングの質は下がることになります。

プロだからどんな時も真剣にやれと言われれば、その通りなんですが、彼らだって人間です。その当たりのマネージメントは監督には当然求められるのですが、上野監督はうまくやられているようです。得点した後にベンチに駆け寄る選手とベンチにいる選手が喜びを分かち合っているのを見ると、それがよくわかります。

先発メンバーは先週と同じでしたが、試合展開は先週とはまったく異なりました。これだからサッカーって難しいですよね。

先週とは違い鹿児島の攻撃はまったく機能しません。いつものように熊本は前からプレスを掛けに来るのですが、そのプレスの強度がとても高く鹿児島はなかなかボールを前に運べませんし、運んでも熊本の選手は瞬く間に戻ってくるので、最後の崩しができません。鹿児島のシュートはほとんどがPAの外からだったのがそれを象徴しています。

熊本の守備は、FWがCBにプレスを掛けてSBにボールを出させて、そこにサイドハーフの選手が長い距離を全力で走ってプレスを掛けます。しかもFWが走ってきて横からSBにプレスをかけ、サンドイッチにしますからSBは適当に前に蹴るしかない状況になります。

また鹿児島がボールを奪取しても、すぐに熊本の選手がプレスを掛けて取り替えされるので、熊本の攻撃が連続する苦しい展開が続きます。ただ普段、鹿児島は自分達のボール保持時に選手が前に上がったところをボールを奪われてカウンターから失点という場面が多いのですが、この日はボールが前に進まないので、ゴール前にはたくさん選手が残った状態でした。なので簡単に崩されることもありません。とくにウェズレー選手はこの日もヘディング無双で、ことごとく跳ね返していました。頼もしい限りです。

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ただし一度だけ決定的なチャンスを作られます。後半8分、プレスをかいくぐられてボールが前進し、ダイレクトパス(上図青矢印)で熊本の高橋選手が裏にスペース(上図赤丸)に抜け出します(上図黄色矢印)。このワンタッチのパスは見事で、予想できませんでした。ウェズレー選手はスピードはないので、追いつけません。これは先週の失点シーンに似ていました。ただウェズレー選手とヘンリー選手は諦めずに必死で追いかけてプレッシャーを掛け続けたので、この日の高橋選手のシュートはポストを僅かに外れ失点を免れました。

鹿児島は熊本のプレスを避けるため、ウェズレー選手やフォゲッチ選手が高い熊本のDFラインの裏を狙ってロングボールを蹴りますが、とにかく相手FWのプレスが速いので、余裕を持って蹴れなくて正確性を欠き、まったく脅威になりません。

こんな強度の高いプレスは後半まで持たないだろうと思っていましたが、結果として後半まで彼らはプレスを掛け続けました。相当フィジカルコンディションがいい状態なので、熊本のフィジカルコーチはいい仕事してますね。

一方の熊本は鹿児島のプレスをワンタッチやツータッチのパスでかわしながら、ボールを前進させます。このあたりもよくトレーニングされているなという感じです。

失点17というずば抜けて少ない失点数もこの強度の高いプレスなら当然です。J3には守備はいいけど、攻撃がうまく機能しないチームが多いのですが、熊本は得点数も34点とリーグトップクラスです。首位なのも当然で、鹿児島も守備の強度などは見習う部分が多い思います。ただこの日は鹿児島も体を張って守っていたのと、攻撃に意外性がなかった(上記のたった1回を除いては)のでなんとか守れていました。

というわけで、ほとんどチャンスらしいチャンスがないまま試合終了の時間が近づいてきます。正直、これでは引き分けでも御の字だなという気持ちでした。

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ところが後半36分に後半開始からプレーしていた米澤選手が勝負を決めます。ヘンリー選手からの浮き球(上図黄色矢印)を後半途中からプレーする薗田選手が胸で横にいた中原選手にパス。これで右サイドに密集していた熊本の選手のプレス(7人が右サイドに密集してスペースを消していた)をかいくぐり相手PA前の大きなスペース(上図の赤丸)にボールを運びます(上図青矢印)。そして相手と1対1になっていた米澤選手(下図黄色丸)にパスをします。このパスが少しだけ後ろに来たことで、米澤選手はストップして、結果的に相手DFと距離が取れます。あとは得意の右足のシュートが相手に当たりコースが少し変わってゴールになりました。相手GKは反応できませんでした。

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ただここで問題が発生します。このシュートに先ほど見事な胸パスを決めた薗田選手が反応してしまったのです。正直オフサイドかどうかは微妙で(下図の赤丸が薗田選手で赤点線がオフサイドライン)、オフサイドと言われても仕方のないポジショニングだったと思います。主審と線審が相談し、その後熊本の選手が主審に抗議しますが、決定は覆らず鹿児島の得点は認められます。

この時、主審は熊本の選手に説明していましが、この内容が気になります。薗田選手はボールに触れておらず、GKも反応できていなかったので、オフサイドでないと判断したのか、でも明らかに薗田選手はプレーに関与していますので、熊本の選手からしたら納得できないですよね。なので憶測ですが、ラインズマンはオフサイドではないと判断したのだと思います。これジャッジリプレーでやって欲しいけど、J3じゃ取り扱ってくれないですよね。

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ただこの時も1対1だったはずの米澤選手がシュートを打つときには、熊本の選手が二人戻ってきていて1対3の状態(上図黄色丸)になっていました。とにかく熊本の守備意識の高さには唸らされましたね。米澤選手のシュートがゴールになったのは、かなり幸運だったと言わざるを得ません。

というわけで首位熊本に勝ったのですが、正直勝った気はしません。それでも勝ち点3は貴重です。押していても負けるときもあるし、この日のように試合を支配されていても勝つこともあります。これもまたサッカーなのです。

今日の勝利は全員の勝利と言うことも言えるでしょう。でも先週べた褒めした三宅選手はこの日も輝いていました。熊本のプレスが厳しいので、決定的なチャンスを作るまではいけませんでしたが、いいプレーを所々で見せてくれました。

勝ったとは言え熊本はさすが首位のチーム、12戦負けなしのチームだというのを感じさせてくれる試合でした。鹿児島よりは一枚も二枚も上手でした。と思い9月にやったアウェイゲームの観戦記を読み返すとこの試合とほぼ同じこと書いていました。

前半のポゼッション率は鹿児島 48%、熊本 52%と2週連続で上回られましたが、48%もボールを持っていたとは思えないほど、まったく攻撃は機能していませんでした。

シュート数もほぼ同じでしたが、鹿児島のシュートはPAの外からが多くいので、なかなか決めるのは難しいですよね。

それではまた来週アウェーの八戸戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」


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