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主導権を持つ鹿児島が解決しなければいけない課題 J3 第13節 岐阜対鹿児島U

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは。仙太郎です。

首位を走る岐阜との対戦で、勝って勢いをつけたいところでしたが、結果は0−1の敗戦でした。試合終了間際の失点で負けたわけですが、攻撃的でポゼッション率の高い鹿児島がどうして勝てないのか、そのひとつ理由がこの試合で現れたので振り返ってみましょう。

いつもなら試合開始から順に振り返るのですが、今日は失点のシーンを振り返ります。

失点は試合終了間際の87分に起こりました。鹿児島が途中交代で入ったFWのグスタヴォ選手に浮き球を入れたのですが、グスタヴォ選手がそれを収めることができずに、相手に奪われます。岐阜は奪ってすぐに浮き球をを入れ返します。

この時、鹿児島のDFラインは疲れもあったのか、押し上げることができていませんでした。当然、DFラインの前には広大なスペースがあり、そのスペースで途中交代でプレーしていた町田ブライト選手が浮き球を胸トラップで収めて前を向きます。そこから岐阜のFWの川西選手が鹿児島のDFラインの裏を狙い、そこにスルーパスが出ます。そしてそのパスを川西選手が右45度の角度から決めて決勝点を取りました。

川西選手はスルーパスを体を反転させながらダイレクトでシュートしたのですが、これ結構難しいんですよね。左側に引っ掛けやすいシュートです。鹿児島GKの大西選手はいいポジショニングをしていましたし、シュート前には動かないで我慢していました。ただ少しだけ前にポジションを取っていたかもしれません。前にポジションを取ると確かにシュートコースを狭めることができるのですが、シューターとの距離が近いので反応する時間が取れないんですよね。実際、この時大西選手はシュートに対して反応できていません。ただこのシュートは川西選手を褒めるしかない、すばらしいゴールでした。あそこしか決められないコースに打っています。さすがJ3のトップスコアラーです。

正直、オフサイドではなかったかという疑念は消えません。ただオフサイドと自分で決めつけてプレーを止めるのは良くないですよね。手を上げてオフサイドをアピールしつつも全力で戻らないといけません。そうすれば相手選手にもプレッシャーを掛けれます。それに川西選手は一度早く裏に抜けてしまい、オフサイドになったことを理解して、後ろに戻り直して再度裏に抜けているんですよね。この一度戻ることは誰でもできることではなく、川西選手の非凡さを表していると思います。

そもそも町田ブライト選手にパスが通ったときは岐阜の選手は二人、鹿児島は4人も選手がいたんです(ちなみに左SBの衛藤選手は戻りが遅かったのですが、八反田選手が戻り数的有利な状況でした)。つまり鹿児島が2人も数的有利な状況です。ではどうして失点してしまったのでしょう。

この時、町田ブライト選手にパスが通った時、CBのウェズレイ選手が前に出て対処します。ただ町田ブライト選手がボールを収めたのでウェズレイ選手が後ろに下がってしまうんです。これにより町田ブライト選手はフリーで鹿児島DFラインの前でドリブルを開始して、川西選手へパスをしています。この時、ウェズレイ選手がそのまま町田ブライト選手についていけば、こんなに簡単にパスを通されることもなかったと思います。

ウェズレイ選手は前に出たので、裏のスペースを消すために下がったのだと思うのですが、後ろにはカバーしている2人DFがいて川西選手をマークしていたので、この場面でウェズレイ選手は下がるよりも、そのまま町田ブライト選手についていき、自由にプレーさせてなければこの失点は防げていた可能性が高いと思います。もしくはウェズレイ選手がそのまま町田ブライト選手にハードに当たって、プレーを止めるかですね。あの場所であればファールになったとしても、脅威にはならなない位置でした。

またこの失点前にも鹿児島は岐阜のロングボールから決定的なピンチを迎えています。後半開始直後48分に鹿児島が攻め込んでいて、ボールを失います。この時、酒本選手がボールを奪い返そうとしますが、そのまま高い鹿児島のDFラインの裏にロングボールを入れられます。

そして、ウェズレイ選手は岐阜の山内選手にスピードで競り負け、ボールは岐阜の川西選手が収めます。そして川西選手には田辺選手がマークしました。ウェズレイ選手は最初そのまま山内選手を追いかけていますが、川西選手が一回ボールを止めて時間を稼ぎます。その間に山内選手はゴール前のスペースに走り込みます。この時ウェズレイ選手も山内選手を追いかけてゴール前のスペースに戻ればよかったのですが、川西選手が一瞬ボールを止めたので、そのカバーを優先してボールに向かって動いてしまいます。

その瞬間、川西選手は山内選手にパスを出します。山内選手はGK大西選手と1対1になり決定的なチャンスを迎えますが、ここは大西選手が見事なセーブを見せて防ぎます。これは大西選手のビッグセーブでした。この時、川西選手が一瞬ボールを収めて時間を作ったプレーは見事でしたね。単純な点取り屋でないことが、このプレーひとつ見てもわかります。

この日の岐阜は自陣で守って、ボールを奪うと鹿児島のDFライン裏にボールを入れることを徹底していましたね。完全にやられました。それでも全体的には鹿児島が主導権を握っていました。ポゼッション率は鹿児島が上回っていたと思います。ただ先週に引き続き、完全に相手を崩していたわけではないですよね。

こういう試合展開になると、よく前半に点を決めればいいという意見もあるのですが、この日の鹿児島は先週に引き続き相手を完全に崩せていなくて、決定的なチャンスはひとつもなかったと思います。惜しいシュートは2回ほどあったのですが、相手のクリアボールが小さく、それが鹿児島の選手が拾ったのでシュート打てただけなんですね。

今の鹿児島は今日みたいな相手が引いて守った時にどう対応するか、相手のカウンターにどう対応するか、そして前プレスされた時にどうするか。これらの課題に対する解決策が見られません。大島監督代理にも解決策がないように見受けられます。あくまでもそう見えるということです。実際は鹿児島のトレーニングを見ていないのではっきりしたことは言えません。ただ試合を見る限り、もしトレーニングをしていたとしても、その成果を見ることはできませんでした。この課題を少しづつでも解決していかないと、最後まで真ん中くらいの順位を行ったり来たりすることになるでしょう。

選手の個人能力も高いですから、課題があってもそこそこは勝てると思います。ただし連勝して上位を狙うには、今の状態では難しいと思います。

上記の課題から今日は、岐阜戦で見られた相手のカウンターにどう対処するかの話をします。まず大前提としてウェズレイ選手はヘディングは強いしパスは出せます。もうひとりのCBである田辺選手は元ボランチですから、パスを出す能力は高いですが、ヘディングは強くない。そしてこの二人共スピードはあるとは言えないと思います。

どうしても鹿児島のように主導権を持って、攻撃していくチームの場合、プレーエリアは相手ゴールに近い位置が多くなります。当然、DFラインの裏には大きなスペースがあります。本来ならパスセンスがあって、ヘディングも強くて、スピードを兼ね備えていて、裏のスペースをカバーできるCBが欲しいところですが、残念ながらJ3ではそのようなCBを望むことはできないでしょう(もしそんなCBがいたら、J1でプレーしていると思います)。

問題はこのスペースにパスを出された時にどう対処するかです。CBふたりはスピードがないですから、ヨーイドンで走り出せば負けてしまいます。後半48分のシーンがそうですね。

ただDFラインを下げれば、その前にスペースができて、失点シーンのようになってしまいます。ただCBふたりがスピードがない以上、相手ボールになった場合、ラインを下げるしか方法がないと思います。ラインを下げたくないのであれば、ボールロストした瞬間に奪い返さないとダメですが、岐阜のようにもうパスを繋ぐことを放棄して、ボールを奪ってすぐに裏に蹴られると対応が難しくなります。また鹿児島の場合、流動的にポジションチェンジするので、どうしてもプレスがかからない場面が出てきてしまいます。

それに裏に抜けられると即、決定的なピンチですが、ラインの前であればまだ対処の方法があります。そしてラインを下げるだけではダメで、必要があればファールで止める必要があります。日本でこのようなことを言うと批判されるのは承知の上ですが、鹿児島のように攻撃型のチームは必要ならばファールで止めることをしなければ、結果は安定しないと思います。

試合の主導権は鹿児島のほうが持つことが多いですが、決定的なチャンスの数は少ないながら相手チームに与えることは許容しないといけないでしょう。問題はその数少ないピンチをどう守るかを考えなければいけません。もちろん、そのようなピンチを招かない方法を考えることも必要ですが、それでも一試合で数回は起こるであろうピンチをどう防ぐのかが、これからの鹿児島の対応のひとつのポイントになってくると思います。

失点シーンは鹿児島が数的有利だったので、ファールで止める必要はありませんが、あのような時にもし2対2のような状況であれば、ファールして止めることも選択肢になります。

ただJ3の場合、相手選手のクオリティもそれほど高くないので、決定的なピンチがあってもそれほど失点しないことも事実なので、鹿児島としてはかなり助けられている面はあると思います。今回は川西選手という非凡な選手に決められて、鹿児島の弱点が現れましたが、このようなシーンはこれまでも何回も現れています。

そこをどう改善していくかが、これからの鹿児島の成績を左右すると思います。

内容はいいけど勝てないはプロの世界ではありません。(攻撃の)内容はいいけど、(守備面で)課題があるから勝てないと具体的に課題を抽出してトレーニングしない限り、永遠に課題が解決することもないですよね。

「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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