見出し画像

風ではなく強度に負けた 第三節 いわき対鹿児島

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは仙太郎です。

ハワイアンズスタジアムに行ってきました。行く途中は強風で電車が遅れるなど波乱万丈でしたが、30分遅れて到着。スタジアムは非常にコンパクト、専用スタジアムでとても見やすいスタジアムでした。ただ寒い、ただただ寒かった。強風だったこともありますが、さすが福島県、東北の寒さをなめてはいかんですね。

昨年10月に福島市に行ったときも風が強く、寒かった記憶がありますが、その比ではありませんでした。現地の方にとっては、問題ないのでしょうが、東京民としては寒かったですし、鹿児島から来られた方にはかなり寒さが応えたのではないでしょうか。体調を崩されていなければいいのですが。

それでは現地応援に行きました、アウェイで開催されましたいわきFC戦を振り返ります。

鹿児島の先発メンバーは前節と変わりなく、大島監督にとっては、これが今のベストメンバーということなんでしょう。

いわき対鹿児島ユナイテッド 先発メンバー

【鹿児島ユナイテッドFC】
試合としては内容的にも、結果としても、いわきのプレー強度の前に完敗でした。めちゃくちゃ高いプレー強度でした。
J3時代よりさらにパワーアップ!という感じです。

というわけで2年前の借りは返せず。昔からいわきのようなプレー強度の高い相手は苦手なのは間違いないのですが、開幕から二試合見てて、今年はいけそうかなと思ってましたが、なんともならんでした。

特に前半はいわきの強いプレス強度になすすべなしで、先制されて折り返します。正直0−1で終わってラッキーという感想でした。

前半20分 鹿児島 唯一の決定的チャンスの起点となったプレー。藤村、米澤、野嶽選手と少ないタッチのパス交換で、いわきの選手の野嶽選手に対するプレスが遅れ、フリーになり裏のスペースへ浮き球のパス。そこへ米澤選手が走り込みます。ただこの後はいわきのCB出てきて対応します
左からのセンタリングが右に流れるも、渡邉選手が拾いセンタリング。チャーリーが頭で合わせてボールはゴールの中へ、GKも反応できずゴールと思われた瞬間、いわきの大森選手がクリア。左右にボールが振られたのでボールウオッチャーになる選手が多いなか、ちゃんとゴール方向へ戻っているので間に合っています

強いプレス強度の相手には少ないタッチでボール動かし、プレスを回避する事が必要だったのですが、各駅停車か慌ててミスパスする場面が多く、2年前の屈辱のいわき戦を思い出してしまいました。

とは言え先週の岡山は前半、いわきを押し込んでましたからね。鹿児島ももう少し判断のスピードを上げないと、今後も守備強度の高い相手にやられます。

前からプレスに来るということは、相手のFWとDFラインの距離が開くことを意味します。つまり少ないタッチで相手のプレスをかわせると、そこに大きなスペースがあります。鹿児島の得点の場面がまさにそのケースでした。

それに少ないタッチ数で前プレスを無効化できると、逆に相手は前に出にくくなります。プレスをかわされて前進されるとピンチになりますし、プレスバックもしなければなりません。1回2回くらいならまだしも、さすがの運動量を誇るいわきの選手も試合を通じて、それを繰り返しするのは厳しくなります。

逆にプレス掛けてボールが取れると、これはいけると思ってさらにプレス強度が高くなります。この試合は完全に後者でした。
実際、この試合も同点に追いつく場面でプレスを剥がすと、その後はいわきのプレスが少し弱まり鹿児島ペースになりました

後半46分 鹿児島の同点の場面。バックパスに対して前から強烈にプレスを掛けるいわきに対して、岡本、戸根両選手がワンタッチパスでプレスを回避。下がってきた渡邉選手がボールを受ける。
この時、後ろ向きで戻る渡邉選手は三回首を振り後ろから来るいわきのプレスと空いているスペースを認知。プレスが来ているのがわかっていたので、ツータッチでサイドに張る五領選手へパス
いわきは押し上げが高くないので、五領選手が余裕を持って残っていた5バックの裏のスペースへパス。田中選手がそこに走り込む。中央でシュートをする藤村選手が走り込んで来ているのがわかる
田中選手がマイナスのパスを送り込み、藤村選手がシュート。これは一度GKに防がれるが、米澤選手が押し込んで鹿児島は同点に追いつく

鹿児島がプレス受けないで、ボール持つ時間がほとんどありません。
プレスかかってないと思っても次の瞬間、プレスかプレスバックされて余裕なく蹴る。余裕ないからパスの受け先でもプレス受けてボールロストの繰り返しでした。

たまにCBがボール持てても、強いプレスの記憶があるので、運べない。運ばずにパスすると、パスの受け先でプレスを受けボールロストするか、余裕のないパスしてボールをプレゼントしてしまう悪循環でした。

同点になってからはいわきのプレスが一時的に弱まり、鹿児島が攻勢する時間帯になる。後半53分、鹿児島の左サイドでいわきが圧縮してプレスを掛けるが、中央にいる渡邉選手へパスが通り、ミドルシュートを打つと見せかけて、米澤選手へのパス。残念ながらオフサイドになったが、見事な判断

実際に同点の場面は、ワンタッチかツータッチのプレーが続いています。
これを試合を通じてやりたかったのですが、いわきのプレスが厳しくてできなかった面もあることは認めます。

鹿児島はロングボールで前プレスを無効にすることも試みましたが、ロングボール蹴っても、相手のラインが低いのとコントロールがうまく、下がられてボールを回収されてしまう。向い風も一因ではあるがそれだけではなくて、高いDFラインの裏をつかれることが多い鹿児島もラインコントロールは見習いたい部分です。

押せ押せの鹿児島が後半55分の攻撃。野嶽選手が前を向いて仕掛けるふりをしてターン。後にいた藤村選手へパス。そのため珍しく藤村選手がスペースでフリーになってシュート。惜しくも枠を外すも、鹿児島ペースが続くがこの後ほんの一瞬の気の緩みから失点して流れを失ってしまう

前半、いわきはボール保持時、5トップにすることもあり、鹿児島4バックなので、前線にロングボールを蹴られたら不利な状況です。そこはベンチからの指示で修正して欲しいところでした。

前半鹿児島4-2-3-1なのでワントップでした。その為、いわきのCBにプレスかからず、そこから何回もサイドチェンジされてボールを前進されます。
これは明らかにデザインされたプレーで、ツートップにしてもう少しプレス掛けたかったですね。
鹿児島は4バックなので、どうしても逆サイドのスペースを空けてしまいます。そこをつかれたクレバーな戦術でした。

ただハーフタイムで監督から気合いを入れられたのか、後半は鹿児島もプレー強度上げて対抗します。そして同点とし、その後もしばらくはよかったのですが、セットプレーから失点。
リードされて鹿児島も反撃に転じますが、選手交代でいわきも守備強度を再び強化して、鹿児島の攻撃を防ぎつつ、カウンターから三点目を取り試合を終わらせました。

いわきの様なプレー強度の高い相手には水曜日のメンバーの方がいいかもですね。うまい、うまくないの前にプレー強度上げないと、現代サッカーでは試合になりません。彼らは千葉の高いプレー強度に負けてませんでした。
さて大島監督は来週の千葉戦のメンバー選考をどうするか注目ですね。

いわきの強烈な前プレスに対抗して、泉森選手からのロングボールで局面を打開しようとしますが、前からプレスを掛けても最終ラインの5人は残っているので、ウィングの選手へボールは収まらなかった

前半20分、チャーリーのヘディングシュートは決定的な場面でした。ただここもいわきの大森選手がギリギリでクリア。
ゴール前で左右に振られているので、普通だったらボールウォッチャーになってもおかしくないんですけど、ちゃんとゴール方向に移動してるんですよね。だからクリアできるし、偶然のプレーではないんです。
こういう小さいけど一つひとつのプレーの積み重ねが3-1という結果になっている事を忘れてはいけません。

いわきの2点目も実は鹿児島のスローインから始まっています。スローイン受ける藤村選手が準備ができてなくて相手ボールのスローインになり、前に投げられていわきの近藤選手が背負った状態から入れ替りそうになったのでファウルで止めてからのFKでした。一つ一つのプレーに意味があります。このスローインの場面はDAZNでは映ってませんでした。

鹿児島のサッカーはポジションの流動性高いが故に、相手はマークするのが難しいメリットはありますが、逆にどこに誰がいるかわからないので、味方の選手を探して判断に時間かかるデメリットもあります。

渡邉選手は相変わらず気の利くプレー多かったですね。
この試合はいわきのプレスが厳しくビルドアップが困難だったので、あまり前にポジションとらずに、下がってきてCBにパスコースを供給していました。ただその渡邉選手ですら、いわきのプレスに困ってましたから、プレス強度の高さが窺えます。

強風ですが、確かに影響は合ったと思うのですが、後半少し風弱くなる場面も多く、試合を決定したほどの影響はなかったと思います。

61分 いわきの二点目の場面。ヘディングされた瞬間に泉森選手の両脚が宙に浮いている。これだと横に反応するのが遅れる。この後、地面に脚をついた後、右へ飛ぶが惜しくも手の先をかすめてゴール。もしこの時脚が付いていれば、防げていたかもしれない、

泉森選手に前に出て防いで欲しかったという声もありますが、開幕から二戦連続でミスから失点しているので、少し迷っているかもですね。ただGKはここを乗り越えないと成長できません。もちろんそこにはコーチの手助けは必要なのですが。

【いわきFC】
いわきは基本、全員が全力プレス、全力スライド、全力プレスバックで、とにかくサボる選手がいません。

いわきのプレーは迷いがないんですよね。ボール持ったら迷わず前に走る。ボール失ったらプレスかけて、抜かれたらプレスバック。
だから判断のスピードが速い。プレスもガンガン前にかけてくる。
鹿児島は寄せが速いので、判断の時間がなく苦しむ状況でした。

いわきのチャンスって、ほとんど鹿児島ボールから始まってるんですよね。
鹿児島ボールから強いプレスでボールを奪還して、即速攻。
このトランジションがいわきと強さの秘密です。

前半 いわきのビルドアップの場面。チャーリーのワントップなので3人のビルドアップにプレスが掛からず。鹿児島は4−2−3−1なのでボランチの横にスペースがあり、DFラインも四人なのでスライドが間に合わず、ボールを前進されることが多かった

全員で上がるのではなく、一定の人数は後に残しリスクケアをしていました。5バックなので、鹿児島のサイドチェンジが通らなかったり、GKからウィングの選手へのパスも難しかったです

前半33分 いわきの先制点の場面。いわきの選手が裏へ抜けようとし、西川選手もそこへパスを出そうとするが、野嶽選手がカバーしていることを見てキャンセル。
西川選手はターンして鹿児島の選手を二人引きつけてバックパス。そこから余裕を持ってセンタリングして、頭に合わせて先制ゴール。この時、田中選手の寄せが遅れていることも痛かった

いわきは基本ツートップでプレスを掛けるのですが、時には3トップにしてプレスを掛けて、鹿児島のビルドアップを困難に陥れます。
ただそうすると5バックである以上、2列目は二人しかいないので、その横のスペースが大きく、鹿児島がボールを持てるはずでした。
通常の5バックのチームだと、WBが前に出てきて対応するのですが、いわきはなんとこの2枚のMFの選手が全力でスライドして、鹿児島のスペースと時間を奪っていました。そうするとWB裏のスペースも使えないし、これも鹿児島に困難を与えていました。

いわきは前線のプレスを二人もしくは三人で掛けて来ました。そうすると5バックなので、どうしても2列目の守備の選手が足りなくなります。ところがいわきはその構造的弱点を中盤の選手の強力なスライドで解消。鹿児島を窮地に陥れます。通常他のクラブならWBの選手が前に出てきてプレス掛けるのですが、いわきのWBの選手はステイして鹿児島のウィングの選手をマークしていました

いわきの西川選手は素晴らしい選手でした。いわゆる違いの作れる選手です。前半のチャンスにはほとんど絡んでました。マーク外す動きも秀逸です。その彼が全力で守備をするのですから、現代サッカーを象徴するような素晴らしい選手でしたね。

いわきFWの近藤選手のポストプレーも秀逸でした。他の選手の押し上げが速いので、近藤選手がポストプレーしてパスされると、突破されてしまいます。それを防ごうと厳しく寄せると、その勢いを利用してターンします。
2点目はそのターンを止める為にファウルして、FKからの失点でした。

【総 評】
2年前と同じくかなり厳しくやられてしまいました。
ほとんど鹿児島の良さが出ませんでした。
最初の二試合を1勝1分けで乗り切ったので、J2のプレー強度になれるのが早かったなと思ってたのですが、それはとんでもない勘違いでルヴァンカップの千葉とこのいわき戦を振り返るとやはりJ2のプレー強度はJ3とは比べものになりません。もちろん鹿児島自身も進化していることは間違いないのですが、J2で上位を目指すにはもっと成長していく必要があるなと痛感した試合となりました。

次の試合は、ホーム白波スタジアムでの千葉戦になります。
現地応援の方、応援よろしくお願いします。
来週も強い気持ちで応援しましょう。

We are challengers!
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?