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突然の監督退任後の勝利 J3 第8節 長野P対鹿児島U

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは。仙太郎です。

なんと試合2日前に、監督のアーサー・パパス監督が退任するニュースが飛び込んできて、驚くのなんのって。だってもともとこの鹿児島ユナイテッドの戦術ブログだってアーサー・パパス新監督が目指すポジショナルプレーを解き明かすのが目的で始めたようなものですからね。今後、どうすればいいんですか?しかしながら家庭の事情であれば仕方ありません。

嘆いてばかりもいられません。悲しんでいても試合はやってくるわけです。というわけで長野パルセイロ対鹿児島ユナイテッドの試合を振り返ってみましょう。

■監督変われば選手も変わる

臨時代行監督に就任したのが、大島ヘッドコーチです。試合2日前に監督代行を引き受けたわけですから、彼にできることはほとんどありません。とはいえ監督が変われば当然、先発メンバーも変わるわけです。そんな鹿児島の先発メンバーは下記のとおりでした。

GK 31 白坂 楓馬
DF 22 衛藤 幹弥
DF 3 ウェズレイ
DF 6 田辺 圭佑
DF 16 木出 雄斗
MF 35 中原 秀人
MF 21 八反田 康平
FW 11 五領 淳樹
MF 20 酒本 憲幸
FW 36 米澤 令衣
FW 17 萱沼 優聖

GKは先日の試合から先発していた白坂選手で変わりはありません。大きく変わったのはSBの木出選手が(多分)今季初先発です。これまでは不動の左SB 砂森選手でしたが、これは大抜擢ですね。あとは酒本憲幸選手が先発に戻ってきました。彼の今シーズンの先発は1試合だけだったと思うので、序列が変わったのでしょう。そして最近右のSBで先発していたフォゲッチ選手に変わり衛藤選手が先発に復帰しました。フォゲッチ選手はベンチにも入っていません。彼が先発から外されたのは(怪我でもなければ)、先日から話していますように幅が取れないからだと思います。幅をとってビルドアップするなら衛藤選手のほうが適しています。

■幅が取れて良い攻撃ができていた鹿児島

ワントップには萱沼選手で、右のWGは五領選手、左のWGは不動の米澤選手で、酒本選手がトップ下のようなポジションで攻撃に絡んできます。試合全体を通して、鹿児島ユナイテッドの不振の原因だった幅が取れない症候群がかなり解決していました。右は衛藤選手、左は木出選手が幅を取れていて、WGも米澤選手も五領選手も幅が取れていてました。そのためビルドアップはできていました。

さらに中盤に縦パスが入ったときに、長野がプレスを掛けてきますが、それをワンタッチパスでかわしてボールを前進させることができていました。かなりいい感じで前半を進めていきます。そんな前半28分に鹿児島が先制します。右SBの衛藤選手が幅を取りながらボールを受けて、FWの萱沼選手にロングパスを入れます。それを萱沼選手が競り勝ち、ボールを後ろのスペースに落とします。そのスペースに酒本選手が走り込みボールを拾います。それをヘディングのあとでターンして前方へ走り込んだ萱沼選手にヒールで落とします。それを萱沼選手が左サイドでフリーになっていた米澤選手にシンプルにツータッチでパス(このシンプルにパスしたのも良かったです。恐らくあとワンタッチかツータッチしてたら、得点は生まれていなかったと思います)。そして米澤選手が一対一からシュートが相手DFに当たりながらも、ゴールイン。

これは先日の戦術ブログで書きましたが、米澤選手が今の鹿児島の中では一番クオリティの高い選手であり、彼にフリーでボールをもたせることが一番得点する確率が高いので、それを意図して作るべきだと書きましたが、このシーンはまさにそれを実現していました。右サイドの衛藤選手が中央にいる萱沼選手に浮き球のパスをして、最終的に左サイドでフリーだった米澤選手にパスしてシュートです。この形が今の鹿児島が一番得点になる可能性が高いと思います。

ただこの日の鹿児島は、この逆のパターンもよく見られました。左サイドでボールを前進させておき、右サイドに張っている五領選手にパス。五領選手が1対1になる場面も複数回見られていい形の攻撃ができていました。ただ米澤選手にボールをもたせたときの方が決定的な場面を作れています。

決勝点になったCKも、この米澤選手へのパスから生まれています。相手のトラップミスにハイプレスをかけて奪ったボールを、左から中央に移動していた米澤選手へ決定的なパス。これを長野の選手がぎりぎりで蹴り出してのCKでした。このときも相手が足を投げ出さなければ米澤選手はゴールを決めていたと思います。

長野がCKから追いつきますが、その後鹿児島がすぐに突き放します。上記のように米澤選手へのパスをカットされて得たCKは逆サイドに流れたのですが、それを八反田選手が拾い、ファーストタッチで裏に受け出しセンタリング。それをウェズレイ選手が相手選手を左手で抑えて自分のスペースを作りながらワンタッチでゴールを決めました。ゴールを決めたウェズレイ選手の相手を抑える技術も素晴らしかったですが、八反田選手のワンタッチで裏に受けるプレーがこの得点を決定づけましたね。素晴らしいプレーでした。ただしこのプレーでウェズレイ選手が痛めてしまい、途中交代となります。大怪我でないことを願います。

長野の攻撃はここまで試合してきた相手の中では一番クオリティが高かったと思います。サイドチェンジを多用しスペースを上手く使われていました。今までのJ3のチームは守りを固めて、攻撃はカウンターか前線の選手の個人技で問題可決するタイプが多かったので、それほど怖い場面や選手はいなかったのですが、今回はかなり崩される場面も多かったですね。CKの一点で収まってよかったです。

■新先発メンバーも活躍

GKの白坂選手はビルドアップにも絡みつつ、ハイボールにも強いところを見せていました。GKはハイボール強いとDFが必要以上に下がらなくて、GKに任せられ安心感がでるので、そこも良かったです。

左SBに入った木出選手もオーバーラップやインナーラップを使い分けながら前に飛び出すプレーは良かったと思います。WGの選手がサイドに開いていれば、中のスペースが空くことも多いですからね。この上記のダイジェスト動画にもそのプレーが見られます。

ただ試合終盤にマイボールをきっちりポゼッションできずに、長野に連続攻撃をかけられたのは改善点になります。リードしているのですから確実にボールを保持しながら、相手が前に出て作られるスペースにボールを前進させて、できればシュート、それが無理ならサイドにボールを運びボールキープ、相手が戻ってきたらDFラインまでボールを下げてポゼッションができれば、これほど試合終盤に慌てる必要はなかったでしょう。正直勝てたのは相手がチャンスで得点を決められなかったのに助けられた面はあります。

とはいえ連敗の後の勝利ですから、一安心です。試合途中でウェズレイ選手や酒本選手が怪我で途中交代するなど今週末の試合に向けては不安点もありますが、チーム全体で乗り越えてほしいと思います。

それにしても突然監督が変わったのに、攻撃が回り始めて、勝ってしまうなんて、本当にサッカーって不思議ですね。

次は6月6日日曜日 ホームでの讃岐戦なります。

「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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