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希望ある引き分け 第7節 鹿児島対宮崎

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。3失点して引分なのですが、ポジティブです。そんなわけで引き分けたホーム宮崎戦を振り返ります。

https://youtu.be/OQRj0xHvoaI

先週かららのスタメン変更は6人。大内、戸根、山口、ロメロ、山本、武が外れ、松山、広瀬、木村、端戸、福田、有田が入ります。先週後半に大活躍した端戸選手が先発で、期待を裏切らない活躍を見せてくれました。宮崎からの移籍してきた千布選手はベンチ外。プロの世界は厳しいですね。そして松山選手が移籍後初先発です。

鹿児島対宮崎スターティングメンバー

試合自体は、キックオフ直後にまたもや鹿児島が失点する悪夢のような展開でした。早い時間帯に失点するのは、今年何回目でしょうね。

宮崎の攻撃は自陣のPA近くでボールを奪取したところから始まります。自陣でボールを持った宮崎は迷うことなく、高い鹿児島のDFラインの後ろにボールを蹴り込みます。

そこでラインを下げるのが一瞬遅くなった岡本選手が下がりながらクリアを試みますがキックミス。ただボールは広瀬選手拾い、難を逃れたかに思えたのですが、宮崎の選手がプレスを掛けに来ていて広瀬選手はそのまま右にいた星選手にパスを出します。

ただ星選手は前から宮崎の選手がプレスを掛けに来ていたのが見えていたので、少し下がってスペースを作ってボールを受けようとしました。しかし後ろからプレッシャーを掛けられていた広瀬選手は星選手がポジションを修正する前にパスしてしまい、相手ボールになり失点します。

岡本選手が下がりながらボールをクリアしようとしている。もう少し早く下がっていれば確実にクリアできていた

ボールを失った後の広瀬選手の対応自体は悪くなかったと思います。PAまで下がってニアサイドのシュートコースを切っています。当然、ファーサイドは空いているのですが、そこは数的不利なカウンターの状況だったので仕方ありません。あとはGKを信じるしかありません。そこに宮崎の永田選手が右足でカーブを掛けてサイドネットに入れてゴールになりました。このシュートはカーブを掛けて巻きながらサイドネットに入っているので、見事なシュートでしたね。

この日のGKは今シーズン、初先発だったGKの松山選手でした。そんな彼が開始直後いきなりシュート打たれたので仕方ない部分はあるとは思いますが、もう少し前にポジションをとっていても良かったかと思います。またニアサイドは広瀬選手がコースを消していたので、あと1歩くらいファーよりに立っていても良かったと思います。ただ広瀬選手が股を開いていたので完全にニアが消せたわけではなかったですけどね。

前半1分の失点シーン。松山選手はもう少し前で、もう少し左にポジション(赤丸の部分)していれば防げていた可能性はある

こうしていきなり失点し試合序盤は宮崎ペースとなります。プレスを掛けてボールを奪取してカウンターという宮崎のゲームプラン通りの試合展開でした。

鹿児島のCB、特に岡本選手がボールを持ち上がろうとするのを宮崎のツートップが素早くスライドして防ぎ、なかなか鹿児島はボールを前進させることができません。そんな状況から鹿児島がボールを失い、素早くカウンターという完全に宮崎のペースでした。10分までにさらに二本のシュートを打たれています。

ただこの試合の鹿児島はこれまでとは一味違っていました。真ん中からボールが進まないので、サイドからボールを進めることに成功します。普通、相手が4-4-2だとサイドからボールを進めるのは難しいのですが、SBとウィング、中盤のコンビネーションでボールを徐々に進めていくことができるようになります。

そこで鍵になったのが端戸選手でした。4-4-2のブロックの攻略の鍵はライン間でボールを受けれるかどうかです。サイドでボールを回していれば相手はスライドするだけですから、守備組織は崩壊しません。でもライン間でボール受けられるとそれに対応するために、サイドが空きます。

端戸選手がMFとDFラインの間でポジションを取ると、宮崎は誰がマークすればいいのか悩む。前半18分の福田選手のシュートシーンでは、中原選手からパスを受けた端戸選手がサイドに逃げて、その開けたスペースに中原選手が入ってきてからのセンタリングでチャンスを作った

端戸選手のすごいのは、最もプレッシャーに厳しいトップ下で、なおかつ全方位からプレスを掛けられているのにほとんどボールを失わないんですよね。実際彼は42本のパスを受けています。そしてパス成功数が36本。これはトップ下としては優れた数字ですよね。ちなみに先週のロメロフランク選手は出場時間が違いますがパスを受ける回数は10本台になります。

ポジショニングもいいですし、彼がいるおかげで鹿児島が徐々に勢いを取り戻してきます。そして前半の12分には振り向きざまのシュートがバーを叩きますし、直後の13分にはヘディングで宮崎ゴールを脅かします。

前半の20分を過ぎると宮崎のFWが鹿児島のCBへ掛けるプレスが弱まり、ドリブルで持ち上がれるようになります。そこでまた端戸選手ボールを受けられるので、その後は鹿児島の一方的なペースになります。ただ何度か決定的なチャンスを作りながらも得点は奪えず前半は0-1で折り返します。

ただ鹿児島のサッカー自体はとても良かったので、後半は逆転できると思いました。そして後半9分に端戸選手のヘディングゴールで同点に追いつきます。

後半18分のCKからの失点の場面。ニアポストはGKが絶対に防げないので、ゾーンで守るなら一人立てておきたい。ニアポスト近くにいる中原選手はボールに反応してがら空きの状態。これは松山選手の責任ではなくて、このポジショニングを指示している人の責任。
後半24分に木村選手がボールを奪われて失点するシーン。確かにボールを奪われたのは木村選手ではあるが、本来サポートしなければいけない中盤の選手がスペースにおらずパスが出せない状況。このスペースに誰かいれば、ボールを奪われることはなかった。この場合だと薩川選手が下がるのがよかった
後半24分の失点シーン。ゴール前で3対4の数的不利な状況でなおかつ岡本選手が外に行き過ぎてゴール前にフリーの宮崎選手がいるので木村選手は中へのパスコースを切りながら角度のないところへ誘導していて、この判断は間違っていない
シュートを打たれるシーン。角度が少ないところから打っているので本来はGKが止められる可能性が高い。この場合、足元を抜かれることはほとんどなく、決められるとしたらゴールの上になる。ワールドカップの日本対ドイツ戦の浅野選手がノイヤーの肩越しに決めたシュートがその例。松山選手の構えは上半身を下げすぎていて、手も下にあり足元を抜かれないようにしているのがわかる。もう少し上半身を上げて、あと一歩後ろにいるとシュートに反応できた可能性はある。ただ失点自体はポストに当たったボールが松山選手が出した手の甲に当たって入るというアンラッキーな面はあった
後半30分の鹿児島の追加点の場面。自分のマークを外し、裏のスペースへ走る星選手に浮き球のパスを出す山口選手。ボールの出し手と受け手の見事なコンビネーションでした

ところが後半18分と24分に立て続けに宮崎にゴールを奪われ1-3となります。普通ならこれで試合終了となるのですが、この日の鹿児島はとても出来がよく諦めません。

後半20分についに帰ってきた藤本選手と武選手を投入。さらに25分に今シーズン初登場。期待の圓道、山口選手を入れて追い上げます。

後半30分に薩川選手が得点し1点差に追い上げると、アディショナルタイムに武選手が初ゴールを決めて追いつきました。先週は最後の最後で追いつかれましたが、今週は最後の最後で追いつきました。開幕戦といい第2節といい前節といい、今年の鹿児島のサッカーは最後までわからない試合が多くて疲れますね。

鹿児島の2点目のシーン。藤本選手が空けたスペースに入ってくる薩川選手。なんで彼がここにいるかというとサイドは圓道選手が一人で突破できるので、中に入ってきたかな。このあと藤本選手が落としたボールをゴールする

引き分けに終わったのですが、鹿児島のサッカー自体はとても良かったと思います。今シーズン最高の出来と行っても良かったと思います。

後半35分に岡本選手が怪我をして交代した戸根選手。正直心の準備はできていなかったと思います。残り10分で負けているわけですから普通に考えたら攻撃的な選手を交代するはずです。この日だと恐らく渡邉選手が投入される予定だったと思います。ただ岡本選手が怪我したので急遽出場となりました。

最後の同点ゴールの場面。戸根選手のヘディングから藤本選手が背中にDFを背負いながら浮き球のパスを裏のスペースに出し、そこに星選手が自身キャリア初ゴールを決めた。藤本選手がパスする前に星選手を確認しているのがわかる

ただこの戸根選手が活躍します。相手からのロングボールをヘディングで跳ね返しまくります。これは地味ですがとても重要なことです。もしヘディングしたボールが後ろに行けば宮崎のほうが有利になりますし、CKでも取られれば宮崎は休めますし、時間も消費できます。戸根選手はヘディング強かったですね

最後の同点の場面も藤本選手へのボールは、相手のゴールキックを戸根選手がヘディングで跳ね返したボールでした。これがなければ同点劇はなかったわけですから、戸根選手の活躍は地味ですた素晴らしかったと思います。

ポゼッション率も試合を通じて64%ありました。ある時間帯は70%近いボール保持率でした。ここまで高いと鹿児島のSB裏のスペースを使われることもありません。中盤にテクニカルだけど守備強度があまり高くない選手を揃える鹿児島としては理想的な展開だったと思います。特に守備強度の高い宮崎相手に、相手を圧倒できたのは素晴らしいかったと思います

確かに三失点はして引き分けたのですが、失点は単純なミスなので修正するのは比較的容易です。

岡本選手がドリブルで持ち上がれると9対8の数的有利な状況が作れる。またサイドでは4対4や3対2を作れる。4-4-2を攻略するにはCBのドリブル前進は必須のプレー

ただローテーションの必要性は理解していますが、5人も6人も代えるのは止めてほしいと思います。基本の選手の入れ替えは最低限にして、少人数を変えながら。今調子のいい選手を中心に使いながら、1人2人を交代させながらやっていくのがいいと思います。

プロなのでプレーする時間を獲得するのは、実力が全てであるべきだと思います。出場できない選手のモチベーションを上げるのは監督の仕事で、それはローテーションすることではありません。コミュニケーションを取りながら、練習でいい結果を残した選手を抜擢すれば、誰も文句は言わないでしょう。

もし来週、(ないとは思いますが)端戸選手が先発しなければ、彼はどうすればいいのか悩みますよね。また先週大活躍した渡邉選手が使われなかったのも(ベンチ入りはしていました)解せないですよね。最後岡本選手が怪我で交代したので、それがなければ使われていたとは思いますが。

端戸選手は怪我が多く、最近は体調万全なシーズンを過ごせていませんでした。しかし今年のキャンプは怪我もせずに、開幕を迎え、ついに90分間戦えるコンディションになりました。彼は間違いなく今後の鹿児島の中心となっていきます。

古巣対戦となった千布選手ですが、ベンチ外となりました。プロの世界なんで仕方ないとはいえ、レギュラーポジションの座を捨ててまで鹿児島へ移籍してきたわけですから、相当の決意があったと思います。

最後、テゲバサポが見送るところに千布選手が現れてサインや写真撮影に応じていましたが、少し顔が寂しそうでしたよね。ただ鹿児島の中盤の選手はクオリティがとても高いので、この中に割って入るのは並大抵のことではありません。

そして移籍後、初先発だった松山選手。開始後いきなり失点する厳しい試合の入りから三失点。すべてが彼の責任ではないですが、彼的にはこの試合、無失点という意気込みで臨んでいるはずですからメンタルはかなり厳しかったと思います。試合終了後、大内選手が彼を慰めていました。

GKは特殊なポジションでたった一人しかプレーできず、試合中の交代もまずありません。また一度先発GKが決まると、シーズン中に交代することも稀です。それでいて三人のGKはお互い切磋琢磨して練習しなければならないわけで、そういう意味では試合に出られないGKのメンタリティや振る舞いはとても重要になってきます。2021年出場機会の少なかった白坂選手が味方のゴールに自分のことのように喜んでいた姿を思い出します。そして彼は2022年すべての試合に先発し、マリノスへと帰っていきました。

松山選手のこの試合に賭ける意気込みがわかるだけに引き分けたとはいえ、三失点は厳しい結果となりました。しかし必ず次のチャンスが来るので、それを信じて練習を積み重ねてほしいと思います。

それでは次週は休みで、その次の週末はアウェイでの盛岡戦になります。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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