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成長なき敗戦 第29節 鹿児島対長野

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは、仙太郎です。

この日、試合後は引退する酒本選手のセレモニーが予定されていたので、勝利して開催したかったのですが、残念ながらそううまくはいきませんでした。


先発メンバーは、先週の驚きの菅沼選手のSBを本職の砂森選手のSBに変えた以外は変更なし。ただ内容的にはあまり良くなかったと思います。前からプレスを掛けてくる相手になかなかボールを前進させることができず、ボールを奪われてはカウンターされることが多かったですよね。それでは得点失点シーンを中心に振り返ってみましょう。

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前半15分にこの試合最初で最大のチャンスが訪れます。これは前にプレスを掛ける相手のDFラインの裏に走る三宅選手に対してフォゲッチ選手が浮き玉のパスを相手DFラインの裏に出します。これを受けた三宅選手は相手DFが追ってきたので、一度スローダウンして相手を引きつけます。その引きつけてできた裏のスペースに山本選手が走り込み、そこに三宅選手から絶妙なパスがでて山本選手がGKと1対1になりシュートを撃ちますが、相手GKのいいポジショニングもあり、右手一本で防がれてしまいます(下図の黄色点線丸内は3対2に数的不利な状態だが三宅選手が二人を引きつけたことにより山本選手は赤丸点線のスペースを使うことができた)。この三宅選手の溜めと、ドンピシャのスルーパスは見事でした。

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残念ながら鹿児島が相手を完全に崩せたのはこれが最初で最後だったと思います。たったの1回しか相手を崩せないというのでは、なかなか勝つのは難しいですよね。

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そして前半44分に長野に先制されます。これは鹿児島ボールを自陣で奪われてカウンターになる場面です。失点の始まりは、相手GKのパントキックを鹿児島の砂森選手が回収するところから始まります。砂森選手は一度ポゼッションを安定させようと、GK白坂選手にバックパスをします。白坂選手はそれを逆サイドに開いてたウェズレイ選手に展開します。ここまでは良かったのですが、ここで前にパスコースがなく一瞬ウェズレイ選手の判断が遅れます。すると長野のFWはウェズレイ選手にプレスを掛けます(上図黄色矢印)。結果としてウェズレイ選手はロングボールを苦しい状態から蹴るしかなく、ボールを受けに降りてきた山本選手がボールを収められず相手ボールになり、すぐにプレスを掛けたかったのですが、長野は素早くパス交換して、前線に浮き球のボールを送ります。

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これをサイドにクリアできればよかったのですが、中央にクリアしてしまい長野に拾われてしまいます。この時、攻撃のフェーズだったのでボランチの中原選手がCFの位置まで上がってしまい戻るのが遅れてしまいました。ただこの時、山本選手は後ろ向きでボールを受けて、しかも後ろからCBのプレスを強く受けていたので、このときは前に上がるより、後ろに下がってサポートしたほうが結果的には良かったと思います。結果として長野にDFラインの前の広大なスペース(上図赤点線丸)を与えてしまいます。

中原選手の戻りが遅くなり、相手の方が早くボールに反応し(上図黄色点線)、その後中原選手は素早く戻るもプレスを掛けきれずに多くスペースのある鹿児島の左サイドにパスを出されます。

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なので鹿児島のDFラインは下がらざるを得なかったのですが、下がってできたスペース(上図赤丸点線)を埋めなければならない田辺選手が戻りきれずに(本来黄色点線矢印の位置に戻るべき)、空いてしまったスペースを相手に使われてシュートされてしまいます。ダイレクトシュートだったので、白坂選手は右流れるパスに応じて、ご自身も右に移動していたので準備が遅れて、ニアサイドでシュートコースは狭かったのですが、防ぐことができませんでした。これは相手を褒めるしかないですね。

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前半終了間際の失点は痛かったのですが、それでも気を取り直して後半と思ったのですが、後半の16分に鹿児島のミスから追加点を与えてしまいます。田辺選手が左サイドでボールを受けたのですが、パスコースがないと判断して、バックパスを選択します。ところが藤原選手は田辺選手が前にボールを蹴ると思ったのでラインを上げようとして、前にポジションしてしまいます。田辺選手はバックパスしたかった(本来赤点線矢印へ)のですが、藤原選手には長野の選手二人がプレスを掛けようとしていた(上図黄色点線矢印)ので、藤原選手の足元にパスをすると取られると判断し、藤原選手が走る前(赤色矢印)にパスを出しました。ただ藤原選手はそれを予想できずにパスを受けられず、相手にボールを取られて失点しました。このときも白坂選手はいいポジショニングしていましたが、サイドネットに刺さるシュートを打たれたので、これも相手を褒めるしかありません。

この日は正直0−2になった時点で試合終了でした。ボールは前に運べないし、運んでも崩せない。ほとんどのシュートがPA外からのですから、得点するのは難しいですよね。唯一の例外は薗田選手がポストプレーから振り向きざまに放ったシュートでしたが、これはチームで崩したというより薗田選手の個人技でした。

後半14分から今年引退する酒本選手が登場しますが、流れを変えるまでには至りません。この酒本選手を投入した意図もわかりません。もちろん私も酒本選手のクリエイティブなプレーを見るのは大好きですが、最近はベンチ入りもしていなかった選手を負けている場面で投入する意図が理解できません。まさか最後のホームゲームだからというわけではないとは思いたいですけどね。

後半頭から三宅選手を交代させたのも理解が難しいですよね。今前線で一番クオリティが高い選手は三宅選手なわけで、この試合唯一のビッグチャンスを作ったのもその三宅選手です。選手起用に関してはチーム内の事情もあるし、詳しくはわからないので批判は避けてきましたが、この交代は疑問を感じました。

五領選手を入れるなら中村選手に交代して、三宅選手をいつものトップ下で起用したほうがよかったのではないかと考えました。そして後半も流れは変えられず2点取られた時点で負けたと感じさせるほど攻撃はうまくいっていなかったと思います。

この日の最大の見せ場は試合の後の酒本選手の引退セレモニーだったのは、なんとも皮肉なことでした。引退セレモニーを批判したいのではなくて、それくらい試合内容が良くなかったと感じました。

普通日々トレーニングを重ねてくると、徐々に戦術理解度が深まり、プレーが向上するものなのですが、10月から鹿児島のプレー内容が向上しているようには見えなんですよね。結果自体はそんなに悪いわけではありません(3勝2分4敗)。ただ定まらない選手起用も含めて、就任してから4ヶ月たつわけですから、完成とまでは行かなくても成長は見せてほしいと思います。

このままでは来シーズンも引き続き続投になった場合、心配になります。試合後のインタビューを聞いても、回答が抽象的なんですよね。日本人監督によくあることなんですが、具体的に試合を分析できていないのか、できていてもあえて言わないのかは、わかりませんがそこが不安で不満なところです。

これを書いているときに、なんと三宅選手と来シーズン契約しないと発表があり、かなり動揺して書いています。ただこれについては別の機会に書かせていただきたいと思います。それにしても試合結果といい、内容といい、試合後のニュースといい、気が滅入る話ばかりで落ち込みますね。

それでも空元気を出して締めくくります。
それではまた来週お会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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