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押しまくっても悔しい引き分け J3 第12節 鹿児島U対八戸


鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは。仙太郎です。

先週は久しぶりの勝利でした。今週、ホームに迎え撃つのは順位で鹿児島のひとつ上の八戸です。ここで勝てば、ひとつ順位を上げられるゲームでした(ただし鹿児島は一試合少ない状況ではありますが)。それでは試合を振り返ってみましょう。

先発メンバーに出場停止明けの酒本選手が戻ってきました。それ以外にメンバーには変更がありません。GKは引き続き大西選手。先週、トップ下だった五領選手が右のウィングに移って、酒本選手がトップ下に入ります。これは先々週と同じ布陣となります。

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八戸は先週の沼津と同じく前からガンガンプレスを掛けてくるのではなく、CBからパスが出てきたら、そのパスの受ける選手にプレスをかける、ミドルプレスの戦術を採用していました。ただこれは先週の沼津との試合でも触れましたが、これは鹿児島にとっては願ってもない状況です。

鹿児島のCB二人、ウェズレー選手と田辺選手は共に縦パスを入れる事ができる技術と戦術的理解力、そして勇気があります。だからこの二人にプレッシャーがかからないと鹿児島は比較的容易にボールを前進させることが出来ます。しかも八戸のディフェンスはマンツーマンでもなく、完全なゾーンでもないので、鹿児島の選手がサイドに開いていると中間のポジションをとってしまい、中のパスコースが空いている状況が多く見られました。そのパスコースに酒本選手や萱沼選手が降りてきてパスを受けて、一気に攻撃を加速させる現象が見られました。

またパパス監督時代にはSBが幅を取れない問題があったのですが、衛藤選手と野嶽選手はキッチリと幅を取れていて、ボールは比較的容易に前進していました。また右サイドからボールを前進させて、左サイドにサイドチェンジしたりと攻撃面では多彩なバリエーションが見られました。

また守備面でもボールを失った後に、すぐにプレスをかけて取り返せていましたので、八戸の攻撃も抑え込めていました。実際、前半のシュート数は鹿児島6本に対し八戸は0本でした。ただ八戸がミドルプレスの分、相手ゴール前には多くのスペースが残されておらず、そこからフィニッシュに持っていけず、完全に崩しきった場面は多くなかったです。崩したと思っても八戸はきちんとゴール前にDFの選手が残っており、シュートまで持って行くのが難しかったですね。

そうした状況の中でも鹿児島が決定的な場面を作りました。特に後半54分に相手にボールを奪われてカウンターを受ける場面で、米澤選手が猛然とボールホルダーに後ろからプレスをかけてボールを奪い取ります。ファールギリギリの強度の高いプレーでした。ボールを奪った米澤選手は、相手SBが上げようとしていた裏のスペースに縦パスを入れます。完全にフリーで抜け出した左SBの衛藤選手が右のアウトサイドでシューを打ちますが、これはポストに阻まれてゴールにはなりませんでした。ただこの時、相手GKの蔦選手は完全にセンタリングを予想しておりポジションを前にとって、ニアのポストはがら空きで完全に逆をとったプレーでした。それだけにこのチャンスを逃したのは鹿児島には痛かったですね。

米澤選手はこの時以外にも加速して相手にプレスをかけてボールを奪う場面が何回か見られました。彼はとてもスピードのある選手ですから、相手DFが少しトラップを大きくしてしまった時に、素早く寄せてボールを奪うことが出来ます。正直、上記のチャンスの場面、攻撃的な選手なら歩いて戻っても文句は言われないと思います。でもこのプレーができるから米澤選手は毎試合先発なんです。単純に点が取れるから先発ではないんです(もちろんそれも大きな要因のひとつですけど)。

八戸の攻撃をかわしていた鹿児島でしたが、90分を過ぎたアディショナルタイムになってから急に押され始めます。きっかけは自陣深いところからの八戸のロングスローでした。ロングスローはボールの回転や勢いがキックしたボールとは違うので、特にバウンドした時にタイミングを合わせるのが難しいんですよね。ヘディングしてもボールの勢いがないので、遠くまでクリアするのが難しく、相手に拾われてシュートされることも多く見られます。この時もロングスローからのこぼれ球をシュートされたりして決定的なピンチを迎えますが、これは相手のシュート精度の低さに助けられました。

また90分の相手のカウンターからのシュートは、大西選手が指先でコースを変えて難を逃れました。この時の大西選手のポジショニングは素晴らしく、相手がシュートを打つときには完全に準備の出来ている状況で、右でも左でもワンステップで移動してシュートを防げる体制を整えていました。本当に見事なセーブでした。このシュート、完全にインステップでボールの芯に当て、枠に飛んでいた素晴らしいシュートでした。それだけにこのセーブの価値が大きかったと思います。簡単に止められるシュートではありませんでした。

ただ鹿児島は90分間で相手のゴールを揺さぶることはできませんでした。米澤選手はなかなかフリーでボールを持たせてもらえず、八戸も鹿児島の中心選手である米澤選手を簡単に自由にはさせてくれませんよね。

鹿児島のビルドアップの部分はこの2試合は改善されてきています。ただこれは相手がミドルプレスで構えていてCBにプレスがかからなかったのが大きな要因だと思います。大きな声では言えませんがヒソヒソ、鹿児島は前からハイプレスを掛けられた方が嫌です。CBの二枚はボールを持てますし、フリーな状態であれば質の高いパスを出せます。実際、田辺選手は昨シーズンまでボランチで素晴らしいパスを出していましたからね。

前からプレスを掛けられるとパスの精度も落ちますし、ボールを奪われた時にショートカウンターを仕掛けられます。もちろんそうすると相手DFの裏には大きなスペースが出来て、そこに米澤選手や萱沼選手が抜け出すと即決定的なチャンスになるのですが、それは精度の高いロングパスを出さなければいけないですし、オフサイドにも気をつけなければいけないので、簡単ではありません。

ただこれから暑くなってくると、90分間前からプレスを掛けるのは体力的に厳しくなりますからね。暑くなってくるとボールポゼッション率の高い、鹿児島が有利になります(単純にそうとは言えない鹿児島の弱点もあるのですが、ここでは秘密にしておきます、相手チームサポも読んでいるかもしれないのでww)。

また後半から途中交代で入った中村選手、山本選手、山谷選手も活躍できていました。中村選手はいいパスを出していましたし、山谷選手は最後にミドルシュートを打ち、あわやという場面を作りました。そのシュートを相手GKが弾いたボールに対して山本選手が飛び込んでいきシュートしてました。こちらはポジティブな要因ですね。

押していながらもホームで引き分けに終わった鹿児島。数字的には八位ですし、ポゼッション率が高い割りには得点数は多くないですし、失点は多く、決していい状況ではありません。ただ鹿児島のサッカーは単純にサッカー好きの私が見ても楽しいです。だからプレーしている選手も楽しいと思います。このようなボールをキッチリとポゼッションしながら主体的に攻撃するクラブは多くはありません。J3では知っている限り鹿児島だけだと思います。だから楽しいのですが、同時にこれは完成させるのが難しいサッカーでもあります。

引き続き長い目ので見ていくしかないのだと思います。しばらくはストレスの多い日が続くかもですがww。

「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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