勝ったけど課題は多い J3 第5節 鹿児島U対宮崎
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは。仙太郎です。またもや先週はバイウィークになり、お休みだった鹿児島ユナイテッド。今週はお隣宮崎県のテゲバジャーロ宮崎(いつまでたっても覚えられないこの名前ww)との南九州ダービーです。試合前の宮崎は三連勝中で4位につけているので、鹿児島としては勝って上位進出を目指したいところです。
試合前の注目点は、酒本選手が先発しなかったこととフォゲッチ選手の初先発でした。酒本選手は前の試合でパスをインターセプトされることが多かったことを懸念したのでしょうか。これまで全試合右のサイドバックで先発していた衛藤選手がベンチ外とということは怪我かな?牛之濱選手もベンチ外ですね。
試合はいつものように宮崎のハイプレス対鹿児島のショートパスを使ったビルドアップという構図と思われましたが、宮崎はハイプレストというよりもミドルプレスでCBから縦パスが入った時にプレスにいってました。これはこの日の鹿児島は気温も高く、高い位置からプレスをかけると前戦の選手の体力に不安があるのと、高い位置からプレスをかけてかわされたときに、高いDFラインの裏を取られる危険があると判断したからではないでしょうか。宮崎も当然、過去の鹿児島の試合を見てDFラインの裏へパスをして一気に相手のPAに迫る鹿児島の攻撃を研究していると思われます。
前半の序盤は鹿児島が完全に試合をコントロールしていてました。SBが高い位置をとって幅も取れていましたし、ボールをスムーズに前進できていました。また中盤の真ん中にパスが入ると宮崎が激しくプレスにくるのですが、そこをワンタッチでSBの選手にパスして逃げられていて、SBが前を向いてボールを持てる場面を作れていました。ウィングの選手も幅を取れていました。
そんな状況の中、前半の3分に鹿児島が先制します。上記のように今回先発したSBのフォゲッチ選手が前を向いてボールを持ち、宮崎の高いDFラインの裏に浮き球のボールを送ります。宮崎のSBの選手が先に追いついていたのですが、パスに強い回転がかかっていてボールが予想外の動きをしたので、コントロールをミス。そこを野嶽選手がボールを奪いゴールライン深い位置からCFの萱沼選手にマイナスのパスをします。あと萱沼選手がワンタッチでコントロールして左足でシュートして先制します。宮崎の左SBの選手はスピード的に難があり、このあとも何回か裏を取られてピンチを招いていました。
この時、野嶽選手がボールを持ったときに宮崎のGKが前に出すぎていて萱沼選手のシュートに追いつけなかったのと、GKが前に出たことによりCBの選手がゴール前にカバーに入って本来CBがいるべきスペースに宮崎の選手が誰もいない状況、つまりゴール前でスペースが出来たことにより、そのスペースを萱沼選手がうまく使ったゴールでした。
こうして先取点の後もしばらくは、鹿児島が良い形で攻撃を出来ていましたし、決定的なチャンスも作れていたので、今日は何点取れるかわからんなと思っていたのですが、チャンスは作れても得点にはならずでした。ただ徐々に状況が変わってきます。ここで開幕戦の悪夢(2点先制するも3点取られて逆転負け)が思い出されてきます。
鹿児島のSBの選手が最終ラインでのビルドアップするために下がってきたり、サイドではなく中にポジションを取るようになってきたんですね。そうなるとビルドアップで幅が取れなくなり、ボールが前進しなくなります。宮崎の選手はとても運動量も多く献身的に守備をするので、鹿児島の選手が少ないタッチでボールを回せているうちはいいのですが、タッチ数が多くなるとすぐにプレスが来たり、プレスバックしてきたりで鹿児島はボールを前進することが難しくなってきました。
ただ宮崎は中盤でボールを奪って、そこからショートカウンターしたいのですが、FWの選手が二人ともポストプレータイプの選手なので高さは怖いのですが、縦に抜けるスピードがなく決定的なチャンスを作られることは稀でした。先々週に続いてここは鹿児島が相手チームに助けられた点です。宮崎にドリブラーがいなかったのも鹿児島には幸いでした。スペースがたくさんあったのでドリブルで仕掛けてこられたら、かなり嫌な状況でしたね。
鹿児島には前半36分にCBのウェズレー選手が怪我で途中交代したのは痛かったです。彼はヘディングも強いのでセットプレーでは大きな武器になりますし、対人の守備も強いので宮崎の大柄な長身FWと対峙するには欠かせない選手でした。また彼はビルドアップの場面で縦パスを入れる事もできるので、鹿児島のビルドアップでも大きな貢献をしていた選手なだけに怪我の具合が心配です。
画像を見ている限りだと筋肉系の怪我に見えました。多分肉離れかなんかでしょう。先週が休みだったのに肉離れするなんて、この2週間どんだけ厳しいトレーニングをしてきたんでしょうね。もちろんシーズン中に1週試合が抜けるのはあまりないことなので、そこで戦術系のトレーニングを多くしたいという気持ちはわかるのですが、この怪我は痛いですね。肉離れなら少なくとも2〜3週間は復帰に時間が必要ですから、鹿児島にとってはかなり厳しい状況です。交代で藤原選手が入りました。結果的に宮崎はあまり二人の高いFWを活かすようなボールを入れてこなかったり、そのボールの精度が良くなかったのでセットプレーも含めて守り切れました。
後半は特にフォゲッチ選手が中に入ってビルドアップに関わるようになったので、右からの攻撃ができなくなり、左サイドからの攻撃が主になりました。左からだけだとどうしてもスペースが狭くなるので、宮崎にボールを取られることも多くなりました。時々フォゲッチ選手が右サイドを持ち上がるとスペースがあるのでチャンスは作れていたんですけどね。それが継続して表れることはなかったですね。
SBが中に絞ることは一概に悪いというわけではありません。カウンター攻撃を未然に防ぐという意味では、そういうポジショニングもありです。ただ中盤で幅が取れなくなり、縦パス一辺倒だと宮崎も前へ前へプレスをかけやすくなり、実際そうだったので、後半鹿児島は苦しい時間帯も多くなりました。だから誰が幅を取るのかを決めておかないといけません。今回は相手のFWがCBに激しくプレスをかけてくる状況ではなかったので、SBがビルドアップに関わるよりもサイドで幅を取った方が良かったと思いますし、実際チャンスの時はそういう場面が多かったと思います。そうなると鹿児島のCB二人と宮崎のFW二人が数的同数になるのですが、激しくプレスに来ないならGKの大西選手がビルドアップに関われば良かったと思います。
それが散発的に出来てはいたのですが、いつも出来てなかったと思います。時々、右サイドからボールを持ち出せたときには、チャンスも作れていました。ただ宮崎の守備は素晴らしく追加点は奪えません。宮崎のスタッツ見てると6試合で6失点と決して守備が硬いというわけではないんですよね。この試合は良かったと言うことなんでしょうか。
フォゲッチ選手は以前も指摘した通り、ポジショニングに少し難があるように思います。もちろん中にポジショニングするのが監督の指示という可能性もあり、一概にポジショニングがいいとか悪いとかは言えません。練習内容も見てないですからね。ただそれ以外では裏を狙うパスを出したり、中盤の選手とのコンビネーションを見せたり、スピードで相手選手を抜き去ったりするプレーも見せてくれました。サイドを駆け上がってセンタリングするというタイプの選手ではありませんが、サイドバックながら組み立てに絡みながらプレーするタイプの選手で、今日の先発でもいいプレーを随所に見せていました。中に絞ってプレーするだけのクオリティも持ち合わせている選手なので、今後が楽しみですね。それにこの試合の終盤に足を痛めながらも相手GKにプレッシャーを掛けたあの姿には泣けますね。サッカーは技術も戦術も大事ですが、メンタルも大事ですからね。このプレーでフォゲッチ選手は鹿児島サポーターの心をわしづかみにしたのではないでしょうか。
宮崎も良い形でボールを奪えても、その後の攻撃のアイディア不足で決定的なチャンスを作れず、結局試合はそのまま1-0で終了しました。鹿児島は直近の4試合を2勝2分けで乗り切り、順位も6位にまで上げてきました。しかもまだ1試合少ないですからね。
リーグ戦序盤の鹿児島はいい形を作れていても、それを長く継続できなかったり、一度良い形が作れなくなるとそれを修正できないことが多いです。幸い相手チームの攻撃が淡泊なのに助けられていますが、悪い形でボールを奪われる事も多く、今後の上位対決を考えると楽観できるような状況ではないですよね。パパス監督になって一年目なので、そんなに簡単に新しい戦術がチームに浸透するということもないので、仕方ない面はあります。その状況でも6位につけているわけですから、悪い状況ではありません。今後は暑い季節になってくるので、主導権を持った戦い方ができる鹿児島には有利な状況です。ただ変な形でボールを奪われると、長い距離を走って戻らなければならないので疲労は増します。そうなると苦しいのは鹿児島になります。そこを徐々にでも改善できればいいなと思います。そう考えると守備面でもビルドアップに関わるという面でもGKの大西選手の負担は大きくなりそうです。
あと後半の終盤77分に投入されたルーキーの山本選手は良かったですね。ドリブルの切れもあるし、ゴール前のポジショニングも良かった。それに決定的なパスも出してました。若いので守備時の判断等にまだ課題があるのかもしれませんが、今後はぜひ使っていって欲しいと思います。彼の様なドリブラーがいると、今の鹿児島にとっては大きな武器になると思います。左には米澤選手もいますしね。
次はGWまっただ中の来週日曜に北国の盛岡まで遠征してのグルーじゃ盛岡戦になります。盛岡も現在2位につけているので、上位に勝ってさらに順位を上げていって欲しいと思います。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」
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