勝敗の分水嶺 第21節 鹿児島対大分
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは仙太郎です。
前節、ホームで9試合ぶりに勝利した鹿児島ユナイテッドFC。
ホーム連戦で多くの大分サポーターが襲来した大分戦を振り返ります。
前節のリーグ戦からのスタメン変更は2人で、広瀬選手とチャーリーが外れ、戸根、藤本両選手が先発しました。
鹿児島ユナイテッドFC
序盤、鹿児島がGKやCBからのロングホールが多かったのは、カウンターを避けて前半は無失点で乗り切りたい、リスク管理の意味もあったかなと思います。
そしてもう一つの理由が、大分のDFラインを下げたいという意図もあり、また大分のCBがスピードがなく、ライン裏の対処に問題を抱えているようにも見えたのも狙いだったと思います。
ただGK泉森選手からのロングキックは、あまりつながりません。というのもGKへプレスが掛かった状態で蹴らされる場面が多く、正確に蹴られないように対応されていました。大分も泉森選手のロングホールを脅威に感じていて、彼がロングボールを蹴るときには、必ずひとりがプレスを掛ける約束事があるような感じでした。これは最近の対鹿児島の傾向ですね。
この日はCBの二人からもロングホールの供給があったのですが、こちらの方がGKが蹴るより短い距離なので正確性が高く、成功確率は高かったように思います。
それで鹿児島はボールの前進もできていましたが、大分のプレス強度が高く、ボールサイドに人を掛けてくるので、なかなかいい形でフィニッシュに持ち込めません。
ただ前半の途中から、相手DFラインを下げさせてできた大きなライン間のスペースを、鈴木、福田、野嶽選手と複数の選手が使えていました。ここで序盤にロングボールを使って、DFラインを押し下げてきた効果がでました。
そして、そこからあのレッドカードにつながるプレーが生まれます。
■試合の流れを変えたひとつのプレー
とはいえ前半は完全に大分のペースで、鹿児島は苦しみます。
しかしひとつのプレーがすべてをひっくり返します。
試合の流れを変えたのは野嶽選手のひとつのパスでした。
絶妙のライン間でパスを受けた野嶽選手がワンタッチで前を向き、ツータッチ目で裏のスペースへフリーランニングする藤本選手へパス。これが絶妙のパスでした。
CBは触れないけど、藤本選手の走るスペースへピタリとあう速度とコース。高いポジションを取るGKが、前に出て来られない最高のパスでした。
これをCBが後から藤本選手を倒してDOGSOで一発退場。
このパスがこの試合の流れを変えた決定的な瞬間でした。
ポジショニング、トラップ、パスのスピードとコース。すべて完璧なプレーでした。
野嶽選手は2点目のアシストとなる、鈴木選手のセンタリングの前も、激しく寄せてくる相手を見てワンタッチで裏のスペースへ走る鈴木選手へパス。このプレーが2点目の決定的なゴールにつながりました。
やはり彼はボールを持った時に、光り輝くボールプレイヤーですね。
この日は圓道選手が中に入れば外、圓道選手が外にはれば、中にポジションを取って、相手のディフェンスを翻弄していました。これまでは二人のポジションが被ることもあったのですが、そこも改善されています。
また本人も守備には課題があることを認識しているので、これからの成長が楽しみですね。
そして次の勝敗を分けたポイントが、退場者が出たあとすぐに鈴木選手のゴールが決まったことです。大分からすればひとり少なくなり、やることが明確になったわけで、0−0で時間が進めばOKで、逆にそうなると焦るのは鹿児島です。しかしこの先制点で立場が逆転しました。鹿児島は時間が進めば進むほど有利になり、ひとり少ない大分はどこかで攻撃に転じる必要が出てきます。
そしてこの日のもうひとつの勝因は前半を無失点で切り抜けたことでしょう。前半は完全に大分のペースで、鹿児島は25分までシュートがゼロでした。
攻撃では最後のフィニッシュに課題を抱えていましたが、鹿児島も全体的に守備への切り替えが早く、守備強度が高かったので、前半を無失点で終えられました。
特に鈴木選手は切り替えの意識が高く、守備面での貢献も大きかったと思います。
また鈴木選手は攻撃時も、ビルドアップではライン間で受け、ワンタッチでプレス剥がし、ゴール前では狭いスペースを認知して、フィニッシュに絡むことができるので、今の鹿児島にはなくてはならない存在です。
そして前半、無失点のもうひとりの立役者はGKの泉森選手です。14分の泉森選手のスーパーセーブがなくて、先制されていたらかなり難しい試合になったでしょう。
また後半も鹿児島の守備強度は高く、大分の攻撃を寸断してミスを誘発していました。
攻撃面でもひとり多いメリットを活かすべく、少ないタッチでボールを回せていたので、大分はプレスの掛けどころがなかったですし、ボールロストした瞬間にプレスを掛けられていたのも、よかったですね。
このあたりも、きちんとひとり多いという有利さを、選手全員で共有できていました。
大分トリニータ
大分は序盤はシンプルに鹿児島のDFライン裏を狙っていましたが、途中からショートパス主体に切り替え、中央の選手がボールを受けて、一度鹿児島の守備を中に集めてから、サイドに展開されるので、サイドでフリーな選手を作られて、センタリングされてピンチを作られていました。ワンタッチツータッチでのビルドアップも見事でした。
守備は基本ハイブロックで、守備の強度が高く鹿児島はなかなかいい形で攻撃できていませんでした。
GKのポジションも高く、ライン裏を狙っても易々とキャッチされ、鹿児島の攻撃を無効化していました。
ただひとり少なくなり混乱し失点した大分ですが、ハーフタイムできっちり修正してきます。
441でディフェンスし、ひとり少ないにも関わらず、鹿児島陣内に押し込める時間もありました。
後半70分までは鹿児島に追加点を許しませんでした。彼らは1点ビハインドでゲームを進め、セットプレーから得点し引き分けを狙おうとしていたと思います。ただ70分に追加点を奪われて、しかも審判にクレームを言い二枚目のイエローゴールドをもらい、さらにひとり退場し、この時点で試合は終わりました。
ただその後も二人少ないにも関わらず、諦めず前からプレスに行く姿は、好感が持てました。
普通二人も少なくて2点差なら、諦めて前からは行けないですよね。
結果的に鹿児島に決定的な3点目を奪われたのですが、素晴らしい姿勢だったと思います。
総 評
浅野監督になってから明らかに守備は改善されていて、前半に簡単に失点しないことが最近の好調の大きな要因です。それに加えて今日は前半は攻撃が上手くいかなかったのですが、意図を持った攻撃ができていて、そこから野嶽選手の素晴らしいプレーからのレッドカードがあり、試合の流れを完全にひっくり返したのは偶然ではありません。
これで直近の5試合を2勝3引き分けと、ついに降格圏から脱出しました。
とはいえ降格圏との差はたったの勝ち点1差。まだまだ油断はできません。
ただ11位の徳島との差も勝ち点差3と射程圏内に入ってきました。
混戦が続くJ2の残留争いですが、まだまだ高いテンションの試合が続きます。
次は今シーズン二度対戦し二勝している千葉とアウェイで戦います。
とはいえ二試合ともホーム白波での試合だったので油断はできません。
私も現地応援に行きますので、勝利を信じて一緒に応援しましょう。
We are challengers!
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」
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