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安心できない勝利 J3 第19節 鳥取対鹿児島U

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは、仙太郎です。

このブログは表に出てくる減少だけを見るのではなく、その現象が起こる理由をサッカーの原理・原則に基づいてサポーターの皆さんに、わかりやすく理解いただけるように書こうとしています。というものやはりサポーターのみなさんがサッカーを理解し、いいプレーには称賛を、そうでないプレーには指摘をしないとクラブも選手も成長しないと思っているからです。サッカーって、わかりやすいスポーツではあるのですが、奥の深いスポーツなのでなので。なお選手のミスを指摘する部分もありますが、選手個人を責める気持ちは微塵もありませんのでご理解ください。それでは明治安田生命J3リーグ 第19節 鳥取対鹿児島ユナイテッドの試合を振り返りましょう。


まず試合前に驚いたのは、先発メンバーを6人も入れ替えたことです。次の週半ばに重要な試合がある場合を除いて、リーグ戦でここまで選手を入れ替えることは稀です。これについて上野監督は試合後のインタビューで、体を張った守備が欲しかったからと述べています。要するに高い強度の守備を90分間続けるためには、ある程度の体力が必要なので若手を起用したと判断しました。ただ6人入れ替えると試合中のコンビネーションとかが心配されましたが、試合中に見ていて、それを感じ場面はほとんどなかったですね。ということは先発メンバーと控えメンバーともにいい練習ができていると言うことです。

よくあることなのですが、先発メンバーと控えメンバーが完全に分かれてしまったりすると、コンディションの維持とか練習中の強度を保つのが難しくなったりすことも多いのですが、この日の試合を見ていると、コンビネーションもよくいい練習ができているのがわかります。

平均年齢が一気に若返ったのですが、これも上野監督は運動量を上げたかったことを理由に上げていました。さてこの判断がどう試合に出てくるのかが試合前の注目点でした。

でもCFWに山本選手を入れてきたのはびっくりしましたね。そしてきました二週連続で絶賛しました秋山選手が初先発です。シーズン途中の移籍なので、なかなかチームにフィットするのが難しいはずなのですが、まったく違和感がないところがすごいですよね。このレンタル移籍は鹿児島にとっても、秋山選手にとってもいい移籍だっただのではないでしょうか。秋山選手のプレースタイルが、鹿児島のプレースタイルにぴったりマッチしています。これって意外にないので、ほんとこの移籍は良かったと思います。

では得点シーンを中心に振り返ってみたいのですが、まずは鳥取の守備としてはミドルプレスでした。鹿児島の最終ラインに厳しいプレスをかけるというよりは、縦パスが入った時点でプレスを掛ける感じでした。ただ正直、中盤のプレスの強度が先週も盛岡ほど厳しくないので、鹿児島はボールを前進できますし、相手ゴール前にも迫れていました。その中で前半の31分に鹿児島の先制点が生まれます。

このときは中原選手のドリブルがキープレーでした。ペナルティエリア(以下PAと略)前でボールを受けた中原選手ですが、通常なら横にパスすると思います。彼はドリブラーではなくて、パスを出す人なので。ところがこの場面で意表をついて中原選手はドリブルでPA内に侵入してきます。これにより鳥取の選手が5人も中原選手に向かってきます。ここで中原選手は中にいた山本選手にパス。中央で1対1になった山本選手が反転しながらシュートします。そのシュートはブロックされますが、そのボールが右SBのフォゲッチ選手の前にこぼれてきて、ダイレクトシュート。これを相手GK田尻選手が弾いてそのままゴールに吸い込まれました。

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中原選手がドリブルで切れ込んだことにより5人をひきつけて山本選手にパス。ゴール前のバイタルゾーンに大きなスペースができていることがわかります。

横から来る浮き球をダイレクトでゴールマウス内に決めるのはかなり高度な難しい技術になります。しかもダイレクトとでシュートしたことにより、ボールにドライブがかかっていました。しかも芝は雨の影響で濡れていてスリッピーな状態です。なので鳥取のGK田尻選手もボールをキャッチにいくと、取りそこねると判断し、体で抑えようとしましたが、画面では分かりづらいのですがバウンドしたボールが少し変化し、体で抑えきれずにボールがゴールに入ってしまったと思われます。

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山本選手のシュートをブロックされたボールがフォゲッチ選手の前にこぼれてきます。PA外の大きなスペースがあり、相手選手の寄せが遅くなったことにより、フリーでシュートを打てています。

中原選手の意表をついたドリブル、山本選手の強引なシュート、フォゲッチ選手の高度なシュートが一体となった素晴らしいゴールでした。この得点は一見偶然フォゲッチ選手の前にボールがこぼれてきて得点になったように見えるのですが、そうではありません。

中原選手がドリブルで突入したことにより、相手選手は8人もPA内に戻る形になっています(上記写真参照)。そうすることによりPAの外には大きなスペースが生まれています。そこにチーム戦術として逆サイドで攻撃が組み立てられているときは中に絞るという約束をフォゲッチ選手が守ることにより生まれた必然的な得点でした。

もし中原選手がドリブルせずに、横パスすれば相手の選手は対応して前に出てくるので、シュートするのは難しかったと思います。

実は今の鹿児島に必要なのは、このドリブルで仕掛けることだと思います。どうしても鹿児島だとパスで崩すというイメージが強いのですが、相手ゴール前に行くと、相手もPA内に多くの選手を配置して、前回の盛岡戦みたいに得点をすることが難しくなります。強引でもドリブルで中に入ってくれば、相手はそれを止めるために、そのドリブルに多くの選手が集中しますので、結果的に他の選手が空いてきます。そういう意外性のあるプレーがないと鹿児島はポゼッション率は高いけど、点が取れない残念なチームになってしまいます。


そして追加点が後半50分のに生まれます。これは右サイドでボールを受けたフォゲッチ選手がボールを持ち上がります。そこにFWの山本選手がサポートに行きます。フォゲッチ選手は山本選手にパスをし、山本選手がポストプレーでフォゲッチ選手にボールを戻します。その時、フォゲッチ選手が相手DFラインとGKの間にスペースがあるのと逆サイドに米澤選手がいることを認知。そのスペースに速いグランダーのパスを入れて、逆サイドから詰めた米澤選手が合わせた追加点でした。

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ゴール前の一番守らなければならないスペースががら空きになっています。本来、鳥取のDFラインはペナルティスポットあたりまで下がる必要がありましたが、できておらず失点の大きな要因になりました。

このときのポイントは、鳥取DFのポジショニングにありました。フォゲッチ選手がリターンパスを受けたときの状況が上記の写真です。フォゲッチ選手の周りでは鳥取の選手のほうが数的に有利な状態です(しかも狭いスペースという守備有利の状況)。というか自陣ゴール前では数的有利な状況で守るのが当然なので、これは普通の状況なんですけどね。にもかかわらずフォゲッチ選手に正対している鳥取の選手はプレスをかけずに後ろに突破されることを恐れて下がっています。なのでフォゲッチ選手にはプレスがかかっていない状況です。ボールにプレスがかかっていないときには、DFラインは下げるのが原則です。ボールホルダーにプレスがかかっていないと基本どこにでもパスが出せるのですから、最も危険なゴール前のスペースを消すために、DFラインは下がらないといけません。ところが鳥取はボールにプレスを掛けなければならない状況なのに掛けず、下がらないといけなない状況で下がりませんでした。そしてその空いた大きなゴール前のスペースを使われて失点してしまいます。

もちろんそれを認知して判断したフォゲッチ選手と米澤選手が素晴らしいのは間違いありませんが、これは鳥取の大きなミスでしたね。

正直、この試合でいうと鳥取の守備の強度が低く、また攻撃のクオリティも高くありませんでした。先週も指摘した鹿児島の不用意なボールロストはこの試合でも何回も見られました。ただ前回の盛岡とは違い、鳥取の攻撃のクオリティは低かったので失点しなかっただけです。もちろん複数回ピンチがありましたが、そこは大西選手がファインセーブを連発して守ってくれました。守備の強度が低く、攻撃もだめとなると鳥取が下位に沈んでいるのも納得です(鳥取サポーターの皆さん、ごめんなさい)。

なのでこの試合に勝ったからといって以前から指摘している鹿児島の弱点が修正されたわけではありません。このままで行くと、相手のクオリティ次第で勝ったり負けたりしながら、中団を上下に行き来することになるでしょう。ポテンシャルがあるだけに、残念ですね。

先週、このブログで評価させていただいた秋山選手ですが、鹿児島ユナイテッド公式You Tubeでも取り上げられていました。この動画でも触れられていますが、秋山選手若いのにとても礼儀正しいらしいです。これでさらに高感度アップですね。こちらもぜひご覧ください。完全移籍してくれないかな(無理なのはわかっているけど)。

それではまた来週の岐阜戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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