レベルの高い相手に厳しい戦いは続く 第14節 愛媛対鹿児島
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。先週は横浜に快勝した鹿児島。今週は昨シーズンまでJ2にいた愛媛に対してアウェーで戦います。それでは試合を分析しましょう。
https://youtu.be/f5r5W8m0vX4
鹿児島のメンバーはいつもと同じ11人で、このうち7人は全試合先発しています。それでも途中交代したりしてコンディション的には大きな問題なく、ここまで来ています。コンディショニングコーチもいい仕事していますね。
愛媛はこの試合前までは、5勝4分け4敗。しかし開幕直後に三連敗していて、それを除けば5勝4分け1敗と首位に立っていてもおかしくない成績です。
愛媛はゾーンで守り、中央のスペースを消す守備陣形。なので鹿児島はなかなか中央で縦パスを入れられない状況でした。ただそうするとサイドの選手は必然的に空きます。CBから何度も左右のウィングの五領、米澤両選手にロングパスを通していました。
この現象は試合を通して継続していたので、鹿児島のサイドが空くのは事前に予想して準備していたと考えられます。しかしそこからの崩しが難しかったですね。その理由としては愛媛の選手の個人能力が高いことと愛媛の守備戦術にあります。
例えば左サイドで米澤選手が少し下がってボールを受けると、愛媛のSBがついてきます。当然元々SBがいたスペースが空きます。そこにSBの薩川選手が走り込むのですが、愛媛の中盤の選手がキッチリとついてきました。
薩川選手が1対1から縦に仕掛けると普通はスピードでぶっちぎれるのですが、愛媛の選手はついてきます。これはこれまでの試合ではあまり見られない光景でした。愛媛の選手はスピードも高く個人能力の高かったです。また暑いコンディションに関わらず後半でもプレスの強度が落ちることもなかったですし、運動量も減ることはありませんでした。
また右サイドで五領選手が単独、もしくはコンビネーションから何回か突破し、ゴールライン際からマイナスのパスを出すのですが、愛媛のCB二枚と逆サイドの右SBの3人はボールに寄らずに、ゴール前のスペースを守っているので、ことごとく跳ね返されていました。
非常にゾーンディフェンスが洗練されていましたね。なので相手PA内まではボールを運べてはいるのですが、最後の決定的な崩しがほとんどできていませんでした。
また愛媛のCBやゴールキックやパントキックでロングボールを蹴られることもありました。ただ鹿児島のCBの手前に蹴られると鹿児島のボランチの2人は、背も低いのでヘディングは強くありません。なのでその辺りへGKからパントキックを蹴られると、正直厳しいですね。
最初の失点シーンもGKのパントキックが中原選手が競り合いボールには触りますが、それが相手へのパスになり、ツータッチで左サイドにパスを出します。そこに鹿児島の右SBの星選手が素早く寄せますが、これもツータッチで裏のスペースへ浮き球のパスを出されます。そして星選手が寄せて空いたスペースに愛媛の選手が入って来ます。
だが中原選手はこの選手について行けず、そこからダイレクトでセンタリングされてヘディングシュートから失点しました。この時、愛媛の松田選手がニアに飛び込む動きをしたので、岡本選手が中に絞ってしまい近藤選手がフリーになり決められてしまいました。ただこの近藤選手のヘディングシュートはかなりクオリティの高いヘディングでしたね。白坂選手も手には当てたのですが、弾かれてしまいました。
もうひとつ敗戦の原因としては、愛媛のGK徳重選手のクオリティの高さがありました。白坂選手と同じくポジショニングが良く、シュートの時には準備が完了している。そのためシュートを打ってもよほどいいコースに行かないと決められない状況でした。サイズもあるので、鹿児島の選手はほとんどシュートコースがないように感じられたと思います。
もうひとつ徳重選手の優れているところは、ビルドアップに積極的に関与していることでした。鹿児島のプレスをかわす浮き球のパスも出せていましたので、彼のビルドアップは鹿児島を苦しめました。愛媛はCB2人とGKの3人でビルドアップを開始できます。残りの7人はボールより前でパスを受けられます。一方鹿児島は、白坂選手があまりビルドアップには関わりません。なので木村選手か中原選手が下がって来てビルドアップに絡むことが多くなります。特にこの日は相手FW二枚がCB2人にプレスを掛けるので、どうしても誰かが下がって来てボールを受けなければなりません。そうなると最終ライン3人+GKで4人でビルドアップを開始するので、ボールを受ける選手が1人少なくなり不利になります。この白坂選手のビルドアップ能力は更なる改善が必要になります。
鹿児島はこれまで開幕から13試合連続得点中でしたが、14試合目にして初の無得点試合で敗れました。愛媛の守備とGKを褒めるしかありません。
後半の終盤に愛媛が時間稼ぎをしていて批判されていましたが、それはサッカーのルールで許されているので、特に気にはなりませんでした。最後の鹿児島の右サイドでのフリーキックでの時間稼ぎはひどかったですが、審判はイエローカード提示していましたしね。
先々週、いわきは試合終盤に追加点を取りに行って、最後カウンター受けて追いつかれているので、ボールをキープするのはしかたないと思います。勝ち点いち差で昇格することもあれば、昇格を逃すこともあるのですから、かっこいいことばかりをいってられません。もちろんもう少しスマートにやる方法はあるとは思いますけどね。
それよりも鹿児島ボールの時に簡単なミスからボールを奪われていることの方が問題だと思います。ここを何とかしないと負けている試合ではなかなか厳しいですね。
今年の鹿児島は首位争いをしているので、負けたときのショックが昨年比3倍くらいあるので、他人のせいにしたくなる気持ちはわかりますが、それではチームの成長はありません。
鹿児島は今まであまり試合終盤までリードされる展開がなかったので、あまり気にはなりませんでしたが、このように相手にリードされて残り時間少なく引かれると、崩すことが難しくなります。なのでリードされているときは有田選手とロメロ・フランク選手を残し、ウェズレー選手を投入して高さというオプションを得て、ロングボールを蹴る選択肢を残しておくのもありだと思います。
愛媛は昨年まではJ2にいたのでまだJ2クラスの選手レベルを維持していると思われました。今までにない強さを感じましたね。
それでは続いて、試合のトピックスを振り返って見ましょう。
まず最初は27分の愛媛のカウンターです。
岡本選手と愛媛の選手が1対1となり絶体絶命のピンチでしたが、岡本選手が素晴らしい判断をして、飛び込まずに後ろに下がりながら、最後にシュートコースをキリながらシュートを打たせたので、シュートコースが限定されて白坂選手がナイスセーブできました。これは岡本選手の素晴らしい判断の賜物だと思います。できればその前で中原選手がファールして止めるしかなかったですね。
つぎは後半2分に鹿児島唯一の決定機が訪れます。愛媛のCBの2番鈴木選手が有田選手にマンツーマンでついていき(だが有田選手はスルー)、もう一人のCB37番の森下選手がロメロ・フランク選手についていて、そのロメロ・フランク選手がワンタッチで裏に走り抜けた米澤選手にパスをしまして、米澤選手がシュートしますが、枠を外れます。米澤選手のトラップが少し長くて後ろになってしまったので、難しいシュートとなりました。ただこの時、愛媛のGK 徳重選手のポジショニングが抜群で、コースギリギリでないと防がれていたと思います。
後半50分には鹿児島が決定的なピンチを迎えます。薩川選手のパスが相手に当たり愛媛ボールになりましたが、ここはいつものように白坂選手が安定のスーパーセーブで失点を防ぎます。シュート自体はダイレクトだったので、これに反応するのは難しいのですが、さすがは白坂選手でした。
追う鹿児島は後半59分、五領選手が1対1から突破してセンタリングするも、ゴール前はCBの二人とSBがキッチリと固めているので、なかなか最後のシュートまでいくことができません。
91分も右サイドを突破。こぼれ球を星選手がシュートするも愛媛のGK徳重選手のナイスセーブ。これも愛媛のCBが二人とSBがゴール前に残っていて、鹿児島も人数掛けていますがスペースがなく得点にはなりませんでした。
岐阜も愛媛も首位鹿児島との戦いを勝ち点6の価値があると、周到に準備をして、徹底的にマークをして試合に臨んでいます。なので鹿児島はこれからも厳しい戦いが続きます。
鹿児島も選手のクオリティは高いですが、同じように高いクオリティを持つ元J2勢相手には、それだけでは勝てません。
同じクオリティを持つチーム通しの試合は、やはり戦術がものをいいます。この試合に関しては愛媛の守備戦術が見事でした。
ここ3戦で2敗して、ただそれでも首位にいられるのは幸運です。
いわきが敗れたので、鹿児島は勝ち点1差で首位はキープできました。ただし勝ち点1差の中で4チームがひしめく大混戦。
一時は4位以下と勝ち点差が広がっていましたが、上位陣が敗れたことにより、またも混戦になりました。しかも鹿児島が先々週敗れた岐阜と今週敗れた愛媛が5位と7位と上位をうかがっています。激戦に拍車を掛けそうな気配です。
これからも気が抜けない試合が続きそうです。
それでは次の北九州戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」
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