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負けるはずのない試合に負けた 第17節 鹿児島対相模原

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。先週、苦しみながらもホームで福島を下しホーム7連勝。今週もホームで相模原とのゲームです。なんと今回も5000人近いのサポーターが白波スタジアムに来ていただきました。直近5試合は0勝1分け4敗の相模原は決して調子のいい相手ではなく勝って首位キープと行きたかったところですが、試合を振り返りましょう。

https://youtu.be/Z14CTCZwcS8

先週の試合から井原、岡本、中原、牛之濱選手が外れ、広瀬、砂森、野嶽、ロメロ・フランク選手が先発します。新型コロナウィルス感染者もでており、先週の試合終盤に欠くことのできない中原選手と岡本選手を怪我で失い、本職のCBである井原選手とウェズレー選手もベンチ外で、左のCBのポジションにはなんと左SBの砂森選手を抜擢。誰が怪我で、誰が感染して、誰が戦術的に外されたのかはわかりませんが、とにかく大きくスタメンが変わり、チームの総合力が試される試合となりました。

両チームの先発メンバー

相模原の戦術は試合前の想定通り、ロングボールが主体でした。そこで気になるのが上背が低い砂森選手のCBなのですが、相模原のターゲットとなる32番 加藤選手には広瀬選手がマンツーマンで付き、しかも木村選手も体を寄せて自由にプレーをさせませんでした。

また相模原は簡単なパスミスも多く、決定的なピンチは前半17分のポストを叩いた時と、44分のロングスローからの水本選手のシュートくらいでした。

相模原は前からプレスを掛けることもなかったので、基本的に鹿児島がボールを保持して攻撃する時間が長くなります。実際前半15分までに鹿児島はチャンスを4回も作れていました。問題はここで決められなかったことなのですが、相模原はとにかく守備に人数を掛けてきます。

試合開始直後から、まるで1点リードして残り時間数分みたいにゴール前を人数掛けて守ります。その結果前に人がいないのでカウンター攻撃もできないのですが、とにかく失点を防ぐという戦術は徹底されていました。シュート10本対6本、CK12本対1本と圧倒的に押していたのですが、ここまで引いて守られるとさすがに得点するのは難しくなります。

これは相模原の薩川監督就任以来、8試合無失点試合がないのと、ここ5試合勝ち星がなく、アウェーで首位鹿児島相手の戦いだったことから選択した戦術でしょう。

前半20分の場面、五領選手がシュートの場面で相模原の選手が3人もゴール前に立ちはだかっている。それ以外にもGK含めて7人でゴール前を守っているので、この五領選手のシュートも、このあとの米澤選手のシュートも薩川選手のシュートもすべて体を張って防がれてしまう。

一方相模原の攻撃は前に人がいないので、流れの中からは組み立てられず、必然的に攻撃はセットプレーからのロングボール主体となります。相模原のGKの圍 謙太朗(かこい けんたろう)選手は190cmもあり、ゴールキックのキック力が半端なかったです。飛ぶときには鹿児島のPA近くまで飛ばすんですからね。しかもただ飛ばすだけではなくターゲットとなる加藤選手に正確に蹴っていたのも印象に残りました。センターサークル付近のフリーキックもGKが蹴っていました。これはなかなか見ることのない光景でした。ただ先ほども述べたように鹿児島は加藤選手に仕事はさせませんでした。

野嶽選手は本来赤点線丸の位置を守らなければならなかったが、縦にパスを出されて失点の起点となる

しかしです、後半80分に鹿児島は失点します。この失点シーンは、相手ゴールキックからの浮き球の応酬から始まり、相模原が右サイドでボール持ちます。この時、野嶽選手が寄せているのですが、縦のパスコースを切らずに横のパスコースを消しています。守備の原則は味方のゴールからアプローチするですから、この時前のパスコースを切っていればこの失点はなかったと思います。

藤本淳吾選手を縦にドリブルさせる様(黄色点線)に仕掛ける広瀬選手。しかし藤本淳吾選手はその意図とは逆に中にドリブル(黄色実線矢印)で持ち込む

つぎに相模原の浮田選手がこのパスをワンタッチで藤本淳吾選手に渡します。これでゴール前で2対2の数的同数です。この時広瀬選手は中に行かせないポジションを取っています。できるだけサイドにボールを持って行かせるセオリー通りのポジションです。ところがさすが藤本淳吾選手です。普通の選手なら縦が空いていれば縦にドリブルするのですが、あえて中に切り込んでいきます。当然広瀬選手も対応します。ここで藤本淳吾選手が安藤選手にパスをします。星選手が対応したのですが、星選手は中を切らずに縦のコースをキリに行きます。そこを安藤選手に切り替えされてシュートされて失点しました。

ゴール前で2対2と守備側が不利な状況だったので、ここはシュートコースを切りに行くよりも、できるだけゴールの確率を下げる(この場合は中を切り、縦に行かせて角度のないところからシュートさせる)プレー選択が求められる場面でした。

星選手は縦のコースを切りに行き、かわされて失点してしまう。さすがの白坂選手も防ぎきれず。

このシュートはカーブを掛けていて、サイドネットに刺さったので、さすがの白坂選手も触ることができませんでした。星選手も広瀬選手のように中をキリに行けば、縦に行くとシュートの角度がなくなるので、そうすれば白坂選手なら防ぐことができたと思います。

それ以外に気になったのは、相模原はCKの守備の時、ニアサイドにはゾーンの選手を置くのですが、それ以外はマンツーマンでした。なので鹿児島の選手がニアに走り出すとファーサイドにスペースができていたので、もう少しCKの時にこのファーのスペースを使えば良かったかと思います。

赤点線丸で相模原と1-1となる砂森選手。この時はミスするがシュートをしている。薩川選手がなにげにスペースに移動し、こぼれ球をシュート。ナイス判断です。

もうひとつが65分のカウンターの場面です。薩川選手が高速ドリブルで持ち上がるのですが、ここはできれば中にドリブルして欲しかった。そうすれば相模原はもっと危険な真ん中のスペースを守らなければならないのでサイドのスペースが空きます。そこに五領、ロメロ・フランク、米澤が走り込めば決定的なチャンスになったと思います。

サイドをドリブルする薩川選手。この時は縦にパス(赤点線矢印)を出して五領選手を走らせれば(青点線矢印)、相模原の選手はついていき(黄色点線矢印)、そうすれば逆サイドは2対1の数的有利(赤点線丸)だった。薩川選手はPAまでドリブルして星選手にパスを出すがオフサイド。ただ相模原の選手は諦めずに、4人の選手が追走してきている。最終的に薩川選手に追いつき、プレーの選択肢を狭めることに成功している。

引きまくっていた相模原なので、鹿児島が負けるはずのない試合でした。もちろんそんな試合で負けるのもサッカーであります。ただ上記の図を見てもわかるように、一度裏を取られても決して相模原の選手が諦めずに追いかけていたのは、素晴らしかったと思います。後半65分にもなると高温多湿の気候もあり、かなり疲労があると思いますが、この諦めない精神力が勝利を引き寄せたことは間違いありません。試合終盤に相模原の選手の多数が脚をつって倒れていましたが、これは時間稼ぎだけではなく、実際に走行距離が多く疲れていたからだと思います。

鹿児島の課題としては以前もお話ししましたが、リードされたときに攻め手がないことです。この試合もリードされたにも関わらず、最後の10分間で大きなチャンスは作れませんでした。もちろん絶対にロングボール使わないという戦術も認めますが、それならそれでちゃんとチャンスが作れるようにしたいところです。オプションとしてのウェズレー選手は置いておきたいところです。

リードしていても、リードされていても鹿児島は試合終盤のゲームの終わらせ方には課題があり、その部分を改善していかないとシーズン後半戦は厳しくなると思います。

7試合振りの出場、今シーズン2試合目の出場、しかも初めてのCB起用だった砂森選手ですが、初めてのCBとは思えないほど素晴らしかったと思います。相模原が引いていたので、それほど守備の機会は多くなかったのですが、ビルドアップの部分では想像以上に良かったと思います。岡本選手の全治3ヶ月で暗雲が垂れ込めていたのですが、これで少しは光が差してきたと思います。

ただ決勝点になった場面では砂森選手が思いっきり体を相模原のFW浮田選手に当ててはいるのですがヘディングで味方に繋がれましたし、その後浮田選手にワンタッチで藤本淳吾選手にパスをされて、失点しているのも事実なので、こういう展開にできるだけ持ち込ませないようにしないと苦しいでしょう。

岡本選手の全治3ヶ月の長期離脱を受けて、なかなか厳しい状況だと思います。資金的な課題もあり、補強するのはレンタル移籍以外では難しい感じです。となると他の選手が埋めていくしかないわけです。今まで出場機会のなかった選手にはチャンスです。今こそチーム全体の力を集結していきたいですよね。

この6試合で3勝3敗で一時の勢いがなくなっているのも事実です。試合見ているとシーズン序盤と違い相手に徹底的に研究されてマークされてきているのがわかります。それが故の無得点試合ですし、最近無失点試合がないのもそれが理由だと思います。

シーズン開幕直後からお話ししていましたが、メンバーを固定した方が、短期間でコンビネーションを組み上げられますし、チーム力は上がります。ただ長いシーズンを考えれば、けが人も出ますし、出場停止もありますし、新型コロナウィルス感染もあります。なので今後はチーム全員の力を集結して試合を戦っていきたいですよね。

それでは次のアウェー八戸戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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