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理想か現実か 難しい選択 第7節 水戸対鹿児島

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは仙太郎です。
私も現地で応援した水戸戦を振り返ります。
https://youtu.be/I_dnqFy4Sa8?si=viKvGZwtc9O28jqz

スターティングメンバーは、前節レッドカードで退場となった泉森選手と外山選手選手が出場停止。代わりに大野選手と野嶽選手が入り、FWは藤本選手の先発でした。

水戸対鹿児島 スターティングメンバー

【鹿児島ユナイテッドFC】
鹿児島、水戸、共にロングボール主体の攻撃で鹿児島らしくはなかった。
試合前に芝がボコボコで、いつもショートパス主体の攻撃が難しいと選手から申し出があり、大島監督が判断した結果の戦術だったそうです。

これが鹿児島らしくないのは藤村選手の談話通りですが、ずっと先制点を取られ続けていて、直近二試合は3失点と4失点しているので、チームとしてはリスクを冒さないことを選択しました。

前半16分 藤村選手がダイレクトで水戸のDFライン裏へパスを出した、鹿児島が狙っていた攻撃。この時点で藤本選手がスピードを活かして、水戸のCBの前に出ている。ただボールが想定より手前に落ちたので、CBが追いつくが藤本選手が個人技でボールを浮かしてかわしてダイレクトシュート。しかしGK春名選手にキャッチされる

鹿児島はビルドアップ時に二人のCBの時と山口選手が降りてくるときがあるが、相手がツートップなので、二人でビルドアップするときは、プレッシャーが掛かっていて、ロングボールが蹴るときも、効果的なボールを供給できてなかったので、常時三人でビルドアップした方が良かったと思います。

本当は一度バックパスして、相手を前におびき寄せてからロングボール蹴りたいとこだが、大野選手はロングキックの精度が高くないので、それも難しい事情もありました。

試合前に急遽、決めた戦術でしかも普段やりなれていなく、戦術を仕込めてもいないので、仕方がないとはいえ不完全燃焼な感じは否めませんでした。

前半29分 水戸のチャンスの場面。この時、右サイドに水戸のSB後藤田選手が完全にフリーでいる。この時は幸い山口選手がプレスバックしてボールを奪取。そこからカウンター発動。
パスを受けた田中選手がなんとセンターサークル手前から超ロングシュート。水戸GK春名選手が高いポジションを取っているのを認知して、ここからシュートを狙った。結果は春名選手が戻って防いだが、いくら相手GKが高い位置にいるとはいえ、ここからゴールマウスの中にボールを蹴るのはプロでも最高級に難度が高い。それを判断して実行する田中選手のクオリティの高さを証明した場面。

泉森選手の出場停止により先発した大野選手。
彼はロングボールの精度には問題があるものの、キャッチングはうまいし反応も速い。
ポジションも低すぎず、細かい修正ができるのも優れているところです。
サイズもあるし、ゴールを守る意味では優れたGKと言えます。
課題はボール保持時のポジションが低いのとキックの精度。
特にキックの精度は泉森選手とは大きく違うので、それが先発できない要因の一つではないかと思いました。

ただ私はGKはまず第一義的にゴールを守るのが仕事だと思っています。
理由はGKが試合結果を左右する重要なポジションで、決定的なシュートを止めれば、負ける試合を引き分けに、引き分けの試合を勝てるようにできます。なので強いチームにはいいGKが不可欠です。

それができた上で、足下の技術があればベストです。
しかしながら、そんなGKは世界的に見ても希少で、日本だとJ1に移籍してしまうので、無い物ねだりではなく、今いる選手でやるならどちらかを優先して起用するしかないでしょう。

そういう意味では、大島監督は攻撃面を重視して泉森選手を起用していると思います。ただ前回も話しましたが、泉森選手は現在メンタル的にも厳しいと思うので暫くは大野選手を起用した方がいいのではと思っています。泉森選手は将来のある若い選手ですからね。

無失点で追われたことはポジティブではありますが、ライン裏を一発で突かれる場面もあり、先週の課題が解決されたかはまだわかりません。

ただその部分は選手達も練習したと言っていたので、今後に期待したいと思います。そんなに簡単にできるようにはならないと思うし、次はまた中三日での試合なので。

鹿児島が相手陣内に押し込んでいるときの大野選手のポジション。PAのすぐ外であまりポジションが高くない。そのためハーウェイラインとの距離があり、大きなスペースがあるのがわかる
水戸が押し込んでいるときの春名選手のポジション。PAとセンターサークルの間に位置している。大野選手より10〜15m高いポジション。そのためスペースがない。
さらに水戸のCK時の春名選手のポジション。なんとセンターサークル内にまで侵入している。ただ高いポジションを取っていると、田中選手のようなロングシュートに対応できないが、春名選手は優れた身体能力とステップでカバーできる現代的GKと言える。

この試合は、早めに福田選手、西堂選手を交代で入れてきました。
サイドで仕掛けて崩そうとする意図があったと思いますし、少なくとも右サイドの西堂選手は機能していました。福田選手はあまりいい形でボールを持てなかったのですが、守備時の貢献もあり、全体的には良かったと思います。

【水戸ホーリーホック】
基本的に鹿児島のビルドアップからボール奪取して、サイドチェンジして崩そうとする意図があったと試合後に話していました。

ただ鹿児島がいつもとは違いロングホール主体の攻撃を選択したため、前半に何回かサイドチェンジからのチャンスもありましたが、前線の選手のクオリティが横浜ほど高くないので、鹿児島も対応でき得点を奪うことはできませんでした。

前半30分 水戸の決定的チャンスの場面。水戸のDFからロングボールをDFライン裏に蹴られている。戸根選手が遅れていて、岡本選手はさらに遅れている
渡邉選手がスライディングで防ごうとしますが、キックフェイントを入れられて、シュートを打たれます。大野選手は前に出て適切なポジションを取っているので、ほとんどシュートコースがないと思われます。ただボールとの距離は近いので反応する時間は少ないのですが、見事な反応でシュートをセーブしました。シュートを打つ瞬間に完全に準備ができていることもわかります。戸根選手はカバーに走っていますが、岡本選手は間に合っていません

水戸のGK春名選手のポジション高いのに驚きました。
高ければなんでもいいわけではないですが、GKのポジションが高くないとDFのハイラインは厳しくなります。
彼は戻るときのステップも素晴らしく、田中選手の超ロングシュートも慌てることなく、胸とラップする余裕すらあった。敵ながらお見事でした。

【総 評】
正直面白い試合かと言われれば、そうではありませんでした。
ただ藤村選手が試合後に話していたとおり、この日は失点しないことを最優先にしたといわれているので、そこは割り切ってプレーしたのでしょう。

後半80分の水戸のチャンスの場面。鹿児島のビルドアップをインターセプトして、そこからのカウンター。落としたボールをシュートするが大野選手が見事なキャッチで防ぐ。ただ左と右サイドにはフリーの選手が二人いて、ここにパスを出されるとかなり危険な場面ではありました

ピッチコンディションが悪く、いつもの鹿児島のパスをつなぐサッカーが難しいと選手が判断したと大島監督も言われていました。選手も監督も葛藤があったと思います。

それが監督と選手の判断であれば、是非は問いません。
ただシーズンを通して、このようなプレーを続けるわけにはいきません。
理由は鹿児島は小さいけどテクニカルな選手が多いからです。

鹿児島にはパワーとスピードを重ね持つ外国人選手もいないわけですから、このようなプレーを続けると、持っている選手のタイプと違う戦術となるため、長期的には苦しくなると思います。

理想に死すのか、結果を見て現実的な対応をするのか、それはサッカーにおいて非常に難しい判断です。私はこのどちらが上で、どちらが下とかの評価はありません。

そもそも鹿児島はあまりロングホール主体の攻撃をしないので、戦術の引き出しを増やすためにこういう攻撃も仕込むことは相手の戦術に対応するための方法としてはいいと思います。

ロングホール主体の攻撃をするなら、試合終了間際にピッチに出ていたメンバーの方が、サイズもある選手が多いので、適していたかもしれません。セットプレーの守備強度も高そうです。ただこの試合は、試合前に急遽戦術を変更したようなので、仕方ないですけどね。

次は水曜日、ホーム白波スタジアムでの甲府戦となります。
強い強度の守備と前線の強力外国人選手が脅威です。
ただショートパスでのビルドアップ時にミスがあるので、そこからのショートカウンターと鹿児島と同じで高いDFラインの裏へのロングボールへの対応は上手くないので、ここは狙い目です。

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「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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