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解決しなければならない課題 第30節 福島対鹿児島

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。試合前日、昇格争いする藤枝が引き分け。何が何でも勝たなければならない試合でしたが、なかなか厳しい内容でした。試合を振り返りましょう。

試合は出場停止の薩川選手に変わり星選手が入り右SB。木出選手が左SBとして先発。米澤選手は多分怪我でベンチ外。五領選手が先発し右に、牛之濱選手が左に入り、岡本選手は2試合連続先発です。

福島対鹿児島 スターティングメンバー

前半は福島が鹿児島を圧倒します。15分までに3回も鹿児島ゴールに迫り、CKからはあわや失点という場面もありました。ところがサッカーは不思議なもので17分鹿児島にゴールが生まれます。

左サイドでボールを持った牛之濱選手から木出、星、木村、有田、ロメロ・フランク選手とワンタッチ、ツータッチとテンポよくボールが回り、最後は有田選手が滑りながらシュートして今シーズン15ゴール目をマークします。

星選手からパスを受けた木村選手が縦パスを入れる。星選手と木村選手が少ないタッチでパスをしたので相手の中盤の選手は前に出てきたがプレスが掛かっていない。前に出てきてできたスペースで有田選手がポストプレーでロメロ・フランク選手へパス。この時、福島のロメロ・フランク選手をマークしていた選手はマンマークでついていかずに後ろのスペースを守る判断をした。そのためゴール前で一瞬相手CBと2対1の数的有利な状況ができた。そのためCBは一瞬ロメロ・フランク選手と有田選手のどちらをマークするか躊躇する。それでロメロ・フランク選手から有田選手へパスを戻して、前にいたCBをかわしてスライディングしながらシュートしてゴール。

全く予想外の展開だったのですが、その後は福島がゲームを支配します。それでもなんとか前半を1−0で終わりそうな40分に同点に追いつかれてしまします。鹿児島の左サイドで木出選手と福島13番の田中選手が1対1でマッチアップ。そこを突破されてセンタリングからジャンピングヘッドで決められて同点で折り返します。高いジャンプからのヘディングなので決して簡単なシュートではなかったと思います。

センタリングされる場面、岡本選手が中途半端なポジションにいるので、それをカバーするために広瀬選手がニアサイドにより、さらにその後ろの星選手も中に絞り、大外のスペースが空きヘディングで決められた。

先週に引き続き失点に絡んでしまった木出選手ですが、これ以外では攻撃でも守備でもいいプレーを見せていたので、ほんと残念でした。競り合っているときに、ボールが顔に当たりそうなときに、顔を背けたら大嶽監督から逃げるなと大声で叱責されていましたね。CB出身の大嶽監督からすればボールを怖がって逃げる選手は大嫌いなはずなので、来週出場できるかどうかは微妙ですね。

先制点の場面。牛之濱選手からボールを受ける木出選手。見事にスペース真ん中へ絶妙のポジショニング。牛之濱選手からのパスが左足に出たので、星選手へパスしたが、右足に出ていればそのままパスを受けてシュートが打てる。簡単にできるプレーではない。木出選手が少ないプレー時間にも関わらず、決定的な仕事ができるのは、とてもクレバーなポジショニングができるからです。

後半は1−1になって福島の攻撃のペースが落ち、鹿児島が福島の5−3−2でできる中盤3人のサイドのスペースを効率よく使えるようになり、ボールが前進して攻める機会で増えました。特に先週リードされた試合での終盤で攻撃が機能しないと批判しましたが、今週は見違えるようで、87分から93分の間で6回も決定機を作れました。ただそれでも勝てない試合もあれば、機能していないけど試合終盤にゴールが決まり勝てる試合もあります。

後半84分の鹿児島の攻撃場面。写真左にいる端戸選手がドリブルしている。この時、左サイドに大きなスペースがあるのに圓道選手は中に入ってきている。これではわざわざ自分からマークされに来ているようなもの。SBが上がってきているなら、まだわかるがこの時点でSBはまだ低い位置にいた。なので本来、圓道選手は左のスペースで前を向いて受けて、1対1を仕掛けるべきだった。この試合、圓道選手がいい形でボールを受けるのが少なかったのは、こういったところに原因がありそうです。
89分の鹿児島のカウンターの場面で2対2の数的同数でビッグチャンスだったがシュートも打てずに終わった(最後相手選手のファールぽかったけど)。端戸選手がドリブルで持ち上がるが、この時有田選手は縦のスペースに抜けようとしている。でも端戸選手の位置から縦パスを出すのは難しいし、出ても有田選手はゴールを背にしてボールを受けざるを得ない。なのでこのときは右サイドに大きなスペースがあったので、右サイドに開くべきであった。それでも端戸選手がドリブルで向かってくるので、一人がマークに行き、もうひとりは裏のスペースをカバーしないといけないので、有田選手はフリーになれる。もし有田選手をマークに来れば、中に縦パスのコースができるので端戸選手からスルーパスをもられば決定的なチャンスになる。

試合を通じて鹿児島の守備には課題がありました。鹿児島は前からプレスをかけようと牛之濱、五領選手も相手最終ラインにプレスを掛けに行きますが、福島のCBはとても上手く、また低い位置からプレスを掛けに行くのでプレスがかかりません。

38分の同点への起点となったスローインにつながるプレー。牛之濱選手が前に出て生まれたスペースへパスを出されてボールが前進している。その結果、SBの木出選手が遅れて出てくるが、そのときにはもう福島は前を向いてボールを持っているので、木出選手が出てきて生まれたスペースにパスを出し、福島のチャンスになる。牛之濱選手は本来、赤点線丸の位置にいるべき。そうすればボールが前進することを阻止することができた。

すると前に出て空いたサイドのスペースでパスを受けられてフリーで前を向かれます。SBがそれを、これも低い位置からプレスに行くと、SB裏のスペースが空き、そこにFWの高橋選手等が流れて一気にボールが前進することが多々生まれました。これを五領、牛之濱選手の全力プレスバックでなんとかするというのが鹿児島なんですけど、全力で戻らなければならなくなり体力を消耗しますし、前に選手がいなくなるのでクリアボールも拾えず、守備の時間が長くなります。

これは先週の分析でも指摘しましたが、前からプレス掛けてもほとんどボール取れてなかったので、前プレスは有田、ロメロ・フランク選手の二人に任せて、4−4−2でミドルブロック作って守らないと、今後の試合でも必ず失点すると思います。実際、これまで(あまりなかったけど)4−4−2でミドルブロック作ったときが一番守備が安定しています。そんなに難しい話ではなく、両ワイドの五領、牛之濱選手に前に行くなと言えばいいだけなんですけどね。実際有田、ロメロ・フランク選手の二人だけでプレスを掛けてボール取れる場面もありました。

もちろん時間を限定して前プレス掛けてもいいんですけど、その場合はほぼマンツーマンにしないと、今は前の4人だけがプレスに行って、それ以外は後ろで待っているので、その間に大きなスペースができます。そうではなくて全員ほぼマンツーマンで前からプレスを掛けていかないと前プレスはハマりません。

牛之濱選手が前プレスに行き、生まれた広大なスペースにパスを出されている。後ろの選手が前プレスについてきていない。

ただそうして超ハイプレスを掛けると当然、DFラインの裏には広大なスペースができて、相手がそこへロングボールを入れてくるので、そこを白坂選手がカバーしなければならないのですが、残念ながら以前にも指摘しましたが白坂選手はポジショニングが低いのでなかなかライン裏のボールを処理するのが上手くありません(この試合では珍しく1度だけ裏へのパスを処理していました)。

これは白坂選手を批判したいわけではありません。彼のシュートストップ能力とハイボール処理はJ3でもトップクラスだと思います。ただビルドアップとライン裏のスペース管理が苦手なのです。

あともう一つGKに高いポジションを取らせて、裏のスペースをケアさせるには監督の理解が必要です。高いポジションを取れば、シーズン中一度や二度は頭の上を抜かれたり、前に出たけどボールに触れず相手FWと入れ替わって失点することもあるでしょう。そこを監督が自分が指示したことだからGKには責任がないと言えるかどうかは、GKにとっては大きな違いです。

そういうわけで裏のスペースをカバーできる広瀬、岡本選手が必須になるわけですが、GKが処理できれば一番安心です。なので鹿児島の場合、超ハイプレスは戦術として使いづらく必然的にミドルブロックの4−4−2かもしくは、4−1−4−1にならざるを得ないのですが、今は4−3−3みたいになることが多く、中盤の3人のサイドのスペースを使われてしまい苦しんでいます。これをなんとかしないと次の試合でも失点すると思います。すると必然的に勝つためには2点以上が必要となります。これだと厳しいですよね。

次の試合は中原選手が出場停止になります。薩川選手は戻ってこれると思いますが、問題は米澤選手がどうかですよね。正直、彼がいないと攻撃力(と守備力も)が落ちるのでなんとか復帰を願いたいです。

それでは次の週末はホームの愛媛戦になります。
残り4試合。行くぞ鹿児島、J2へ!
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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