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絶望の中の希望 第22節 鹿児島対今治

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。

前回対戦はアウェーで4対0の快勝。今治は三連勝で鹿児島戦を迎えましたが、コロナ感染のクラスタが発生し、前週のスタメンのうち3人しか先発しないと緊急事態。ベンチ入りメンバーも4人(ひとりはGKなので実質3人)だけという有様で、なにやら鹿児島有利な感じの試合前でした。しかしサッカーは何があるかわかりません。だから用心しなければならなかったのですが......。

鹿児島対今治のスターティングメンバー。今治は先週の先発メンバーを8人欠く緊急事態

対する鹿児島のメンバーはボランチの中原選手に代わり現役大学生の山口選手が大抜擢。他は先週と同じでした。そして待っていました米澤選手がベンチ入りする一方、圓道選手はベンチ外です。

序盤は一進一退が続きますが、先制点は前半なんと今治が取ります。失点のキッカケは星選手のボールロストでした。ただ今治は厳しいプレスを掛けてきていたので、そのプレッシャーに負けてトラップが大きくなりボールを失いました。ただこの時は広瀬選手がスライディングタックルをしてボールを一度はクリアしたのですが、そのボールが今治のCBに拾われ、ダイレクトで逆サイドでフリーになっていたインディオ選手にロングパスをします。ダイレクトでDFラインの裏にパスをさせた鹿児島DF陣は遅れを取り小野寺選手が慌ててインディオ選手に追いつきますが、切り替えしたインディオ選手が左足を一閃するとカーブのかかったシュートが左のサイドネットに突き刺さります。

鹿児島DF陣は裏を取られて、ゴールに向いて守備をする苦しい展開。そこからインディオ選手に先制点を決められます

このとき、小野寺選手はインディオ選手の左足のシュートコースを切るべきでした。もう試合が始まって20分も経っているのですからマッチアップするFWの利き足程度は頭にいれるべきですし、もし左足のシュートコースを着ればインディオ選手は縦に行くしかないので、そうすればシュートコースは狭まり白坂選手が止めることができたと思います。

縦のスペースを切りに行った小野寺選手。左利きのインディオ選手に対しては左足のシュートコースを切りたかった

そのわずか10分後の前半30分、今治が追加点を取ります。またもインディオ選手です。パクスピン選手からのアーリークロスにインディオ選手が頭で合わし、これまたサイドネットにゴールします。このときも鹿児島のDFはラインを下げるのが遅く、裏を取られています。

以前も何回か指摘したのですが、ボールホルダーがフリーな場合は、DFラインは下げるのが基本です。相手選手がフリーでボールを持てば、どこへでも自由にボールを蹴れるので、一番危険なDFラインの裏のスペースを消すのがセオリーです。1点目も2点目もそれができずに失点しました。

鹿児島DFラインの裏のスペースへのピンポイントの見事なクロス。そして倒れ込みながらも決めたインディオ選手のヘディングシュート

ただインディオ選手のヘディングシュートも見事でした。バランスを崩して倒れ込みながらも、見事なコントロールでした。

その後、鹿児島が前半30分に1点返します。山口選手の縦パスを受けたロメロ・フランク選手に今治の二人のCBがプレスをかけようと前に出てきたところを股抜きのパスで有田選手にパス。それを有田選手が余裕を持ってゴールを決めました。

山口選手からの縦パスを受けたロメロ・フランク選手に今治のCB二人がプレスを掛けに来て、その裏に大きなスペースができていて、そのスペースに走り込む有田選手

ところがです。その4分後にこれまたインディオ選手に決められてしまいました。これは広瀬選手と小野寺選手の連携ミスからボールを失い、こぼれ球をインディオ選手が拾いPA外からミドルシュートを決められてしまいました。このときの広瀬選手もやはりインディオ選手の左足のシュートコースを切れれば、失点は防げていたかもしれません。

こぼれ球を拾われたインディオ選手の前には大きなスペース。そこからのミドルシュートで3点目を決めて前半だけでハットトリックのインディオ選手。敵ながらあっぱれと言うしかありません

後半になると監督から指示があったのか、インディオ選手の左足を徹底的にマークしたので、抑えることはできました。

このあと40分にFKから小野寺選手が名誉挽回のヘディングシュートで1点を返して2対3で折り返します。これで1点差で後半に入るので、これからという後半52分に小野寺選手が自陣でボールを失い、そこから中川選手が独走し、鹿児島に止めを刺す4点目を決めました。

中川選手は余裕で独走していたので、白坂選手はもう少し後ろにポジションを取って、時間を稼げれば小野寺選手と広瀬選手が追いつけていたかもしれません。

その後72分にCKから広瀬選手が後ろに下がりながらマークを外してヘディングで折り返したボールを米澤選手が押し込んで1点差です。まだ18分あるので試合の行方はわかりません。その後、鹿児島は今治ゴールを攻め立てますが、今治の体を張った守備で得点を奪えません。

ロスタイムの最後に米澤選手のセンタリングに山本選手が難しい体勢からヘディングシュートしますが、惜しくも枠をわずかに外れて万事休す。審判の試合終了のホイッスルが鳴り響きました。

というわけで4失点で負けたわけですが、内容的には絶望するほど酷いわけでもありません。負けた試合にも関わらず光り輝くプレーを見せてくれた選手もいます。それが渡邉選手です。これまで彼はサイドバックとして起用されることが多かったのですが、このブログでも評価は低かったです。でも今回始めて彼が中盤でプレーするところを見ましたが、本当にすごいプレーを連発していました。

彼のすごいところは、バックパスや横パスがほとんどなくて、常に縦パスや斜めのパスを狙っていたところです。だからボールが前進しますし前からプレスを掛ける今治の選手を置き去りにできます。

これまでも試合終盤にリードされ、引いて守られるとボールは前進しなくなり、ロングボールを蹴るしかないけど、前線には有田選手もロメロ・フランク選手もウェズレイ選手もいないなんてこともありました。だから負けているにも関わらず全然攻めきれずに、フラストレーションが溜まっていましが、今日は負けはしましたが4点目の失点後は、渡邉選手の素晴らしいつなぎで、鹿児島が怒涛の攻めを見せ1点差まで追い上げました。CK数が鹿児島の10本対今治3本なので、鹿児島がいかに押していたか、わかると思います。

試合終了直前の(渡邉選手からのパスからの)米澤選手のセンタリングを山本選手がヘディングしたシュートはほんと見事で、GKも見送るしかありませんでした。

ゴール中央にスペースがあったので、センタリングではなく、グラウンダーのパスでも面白かった試合終了直前のチャンス

なので来週は木村選手が出場停止ですが、なんの心配もしていません。渡邉選手がいれば大丈夫です。

現役大学生の山本選手もプロの選手に混じって、鹿児島の1点目につながる見事なパスを見せてくれました。今後が楽しみです。大学でのプレーとは守備の強度や判断の速度も違うのに何事もなくプレーしていたのがすごいですね。

なので負けはしましたが、全然気落ちする必要はありません。正直、今日のインディオ選手はすごかったですし、3得点のすべてがゴラッソと言って過言ではありません。彼は鹿児島戦まで19試合でたったの2得点(開幕から9試合で無得点)なのに、鹿児島戦でハットトリックですから、ちょっと驚くしかありません。もちろん鹿児島のミス絡みではあるのですが、ミスからボールを失いシュートされることはこれまでもありました。ただ相手選手がシュートを外していたから目立たなかっただけです。

4失点目も今治の中川選手が全力でボールを追いかけていたから、ボールを取られたわけです。その後のループシュートも見事でした。普通のシュートなら白坂選手がセーブできていたかもしれません。普通、後半8分であのボールを全力で追いかけることはありません。99%バックパスされて終わりです。でも1%の可能性を信じてゴールした今治の中川選手を褒めるしかありません。

コロナ感染のクラスタが発生したことにより、今まで試合出場機会のなかった選手たちがチャンスを逃したくない、掴みたいという強い気持ちが現れていたと思います。今治の警告が7枚もあったのも、その気持ちの現われだと思います。ファールが多いことは褒められたことではありませんが、守備の強度が高い相手とプレーするのはなかなか難しいです。ハットトリックを決めたインディオ選手は先週ベンチスタートで、2点目をアシストしたパク スビン選手なんて先週はベンチ外ですからね。

81分で二人交代するまでは、先発メンバーだけで戦っていたのに、走って鹿児島にプレスを掛けていました。控え選手が3人だけなのでケガのことも考えれば、代えたくても代えられなかったというのが本音なんでしょうけどもね。

今治は鹿児島の高いDFラインの裏を狙うパスが多かったので、スカウティングでそこが弱点だと考えて攻めていたのかもしれません。

3失点目もコンビネーションのミスからボールを失っています。小野寺選手はまだ加入して日が浅いですし、この日が先発3試合目です。まだまだ連携を深めるには時間が必要です。

小野寺選手は失点の責任を取る形で、途中交代してしまいました。通常CBは怪我でもしない限り途中交代しないですから、かなり屈辱的な交代だったと思います。

でも下を向かないで頑張って欲しいと思います。小野寺選手の力が必要なときがきっときます。

それでは来週は今治戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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