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ドラマ「女と味噌汁」

「女と味噌汁」は1965(昭和40)年から1980(昭和55)年まで、年に数本のペースで製作されていたTVドラマ(TBS系列)。
原作は平岩弓枝さん。主演は先年亡くなられた池内淳子さんだった。小学生だったはずの僕は、なぜかこの番組が好きで、共演の長山藍子さんや結城美栄子さんにしても、今も、この番組に出ている彼女たちが一番好きだったりする。

池内さんは新宿十二社あたりの芸者さん。長山さん、結城さんも池内さんの妹分の芸者さんだ。池内さんは、いつか自分の小料理屋を持とうとお座敷の後に十二社池のほとりで、長山さんといっしょにライトバンで味噌汁とおにぎりの店を出している。

(今様にいえば「キッチン・カー」なのかな)

そんな、ライトバンのお店に、花柳界で出会った仲間たち、客筋として出会った男たちなどが、一時あたためられて家路につく…「女と味噌汁」は、そういう一話完結の物語。

大都会に行き交う人々が少しの悲しみや孤独感を抱えながらも、味噌汁やおにぎりのぬくもりに励まされたように生きていく…

つくづく、食事っていうのは、目に見える形で食器に盛られた食べ物、熱量としてのカロリーを食べているだけじゃなくて、つくってくれる人が、こちらに寄せてくれる「思いやり」を食べるものなんだと思う
だから、たった一杯の味噌汁に励まされるときもあるし、冷凍食品やコンビニ弁当だと、カロリー的には満たされても、満足感に乏しく、寂しい気持ちにさえなってしまう…そういうところがあるものなんだと思う。

組織的に運営されるチェーン店なレストランで供される料理は、袋に小分けされた部材をまるでプラモデルでもつくるように調理されるものばかり。
だからこそ待たなくても済むという部分もあるんだろうけれど、出てくる料理は、狸に化かされた「木の葉のお金」みたいなもの。つくっている人に罪があるわけではないけれど、飲食ビジネスは「思いやり」の部分を無視しなければビジネスにならず、そのシステムの中で食事をしようとする限りフィジカルな身体が欲しがるカロリー摂取に徹するしかない。

でもね。それじゃぁ、心は飢餓状態。だからビジネスなレストラン、飲食店、コンビニ食は、ホントは最終的に割高なものでもある。

安いお米でいいから自分でゴハン炊いて、安い魚の切り身でもいいからていねいに焼いて食べるだけでも、その方が実は満足感がある。

疲れちゃってそんな気にもなれないという人には商店街の個人店がお勧めだな。「孤独のグルメ」的な名店はまだまだあるし、人の手でつくられた料理は、やっぱり有難い。

そこで100円、200円高くても、食事は「気」から。ちょっと入りにくくても「獲って食われる」わけじゃなし。お手軽でも、コンビニ食やファストフードばかりだとフィジカルよりも先に心が痛んでしまう。

「女と味噌汁」

放送された全部の回の映像が残っていてCSなどでときどき再放送されているそう。機会があったら、ぜひ。

「食事は心の栄養」が見事に描かれた作品だ。

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