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砂浜に砂を撒くようなことだから

さて

実行委員会を立ち上げて、何らか「まちづくり」のための活動を始めようとする。

社会人のメンバーは夕方以降か土日、祝祭日にしか活動できない。対して、お役所については、ウィークディの9時→5時(17時)が交渉の中心になる。大学生は、それなりにフレキシビレティに富んだ活動をすることができるが「就活」が始まれば活動を卒業していく。
専業主婦だという方もイマドキは稀な存在で、子育てがある家庭なら尚更、活動への参加は難しい。商店街の「自営」だとて、資金繰りなど、案外、彼らは多忙だ。

こうした状況で、実行委員会を立ち上げたリーダーは、砂浜に砂を撒くような「まちづくり」活動を継続していく。たぶん「兼業」は無理だろうな。専業を余儀なくされる。だって「みんな」の活動可能時間はバラバラで、だからこそ「扇のかなめ」はいつでも活動できる状態にないと、活動は進んでいかないでしょ。

(でも給料を払ってくれる人はいないんだ。リアルなところ、自分を投資して回収するしかないんだろうな)

だからこそ、みんなを集めてから始めるのではなく、ネット上への情報発信だけでもいいから「一人か、ふたり」で始めた方がいい。
自分が思い描く「まち」像をSNSで発信すること。同様に、自分がいいなと思う「まち」のsceneを写真などで発信すること。自分の描く「設計図」を公開すること。置いてくれる場所があるならZINEをつくてもいい。

(ZINEなら、ひとりでつくれれば印刷代は「数万円から」だからね)

「みんな」で取り組んでいくと、リーダーにとっては「活動」が重いものになっちゃうんだ。特に初動期に関してはね。

(仕事を進めるにも「集まらなくて済む」は便利なんだ)

ハイラインは、ニューヨーク市の鉄道ウェストサイド線の支線のうち、マンハッタン34丁目以南の高架貨物線のこと。1980年に最後の列車が走ってからは放置され、治安面からも90年代の後半には解体が決定、スポーツ施設などを中心にした周辺地区も含め再開発が行われる予定だった。

これを二人の若者が「公園化しようよ」と動き始めて、実際に「公園=ハイライン(HIGH LINE)」になり、今は年間440万人を超える利用者・観光客を集める人気の観光スポットになっている。

(さすがにメトロポリタン美術館の610万人には及ばないが、自由の女神は315万人。MOMAの250万人を上回る人々を集める)

彼らは「フレンズ・オブ・ザ・ハイライン」というグループを立ち上げ(実行委員会という大人数ではなく、最初は二人だ)、行政などの関係機関への交渉や、ノベルティをデザインし販売した。そのうち、仲間達が集まってきて、最後はニューヨーク市を動かした。

「みんな」を集めるのではなく、ひとりかふたりで走り始めるんだろうな。まずグループリーダーになってしまうより、あくまでもプレーヤーでいること。寝食を忘れることができることに真っ直ぐに取り組むこと。

「まちづくり」に限らず、実になる事業は、こうやってしか、始まっていかないのかもしれない。そう思っている。