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日常生活を文化として愉しむ

井形慶子さんの著作「イギリス式 年収200万円でゆたかに暮らす」(講談社+α文庫)には、ハーバード大学出身なんだけれど単身用のテント担いでヒッチハイクに夜行バスという旅行スタイルのお友だちが登場します。

彼の貧乏旅行を可能にしているのは、彼の読解力なんでしょう。何気ない日常的な風景から、自分の目や耳でイベントを発見できる力量…実は、そのあたりが、彼がハーバード出身だという所以だと思います。

かつてはイングランドにも高度成長期みたいな時代があり、その時代に成り上がることができた一族には名門大学に行き、エリートになった人たちもいて、際にある程度の地位を得ることができたんだ。でも、エリートをやってみると、それはなかなかタフなことで、けっこう疲れちゃったんだと思います。一方、それなりの教養は身につけることができて「愉しみ」を自家発電できるようになっていた…

そういうことなんじゃないでしょうかね。

ホントはつまらない日常なんてどこにもないんですが、日常を楽しめるようになるためには「読解力」が要る…

でも、高度成長期を経て、この国でも、そういうことへの準備が整った人も出てきたっていう感じの時代なんじゃないでしょうか。大正から昭和初期に咲いたロウ・カルチャーの花は、戦争で徒花に終わっちゃいましたけど。

たぶん、のんびりと生活を文化として楽しむ一群の人々が顕在化していくのは、これからなんだと思います。