撮影快調! 『東京でとって食べる生活・ドキュメンタリー』

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*このドキュメンタリー作品はトモ氏の東京でとって食べる生活のドキュメンタリー版です。

Text by 中川究矢(写真は 東京でとって食べる生活写真ACPAP より)

数年前から日本各地で狩りのドキュメンタリーを撮りたいと思っていた。しかし、お金がなかった。お金を集める為に何人か面白そうな猟師を見つけて企画書を書いて…というそこまでするお金がそもそもない。

東京に住んで20年。全てに制御されたシステマティックな生活への疑問は日々大きくなっていた。中でも食べ物。何故、スーパーには3種類の肉しか売っていないのか。それも、多くはぎゅうぎゅうの狭い環境で人工飼料を食べさせたり、ホルモン剤を打ったりして効率よく成長させた肉。野菜も春先や秋に山菜やキノコの種類が多少は増えるものの、年中同じようなラインナップ。たまに変わった山菜や馬肉、ヤギ肉などを食べに行く事はあってもそれは身近なものではなかった。子供の頃は時々は育てたり採ったりして来たものも食べていた。家に小さな庭があり、そこで毎年ジャガイモかサツマイモを育てていた。秋になると育ったイモを友達たちと一緒に収穫する。すごく楽しかったし、そうやって友達と一緒に掘り起こしたイモは美味しかった。近くに野山が豊富にあり、野いちごやツクシを取って食べたりしたし、食べないまでも色んな植物や生き物を日常的に捕まえたり観察していた。セミ、カブトムシ、クワガタ、蝶、カマキリ、ヘビ、モグラ、イタチ、等々。と言って子供の頃に戻りたい訳ではない。もっと大人として、この世界の本来の自然の世界にもう少し近づきたい。南方熊楠が感じていた宇宙に近づきたい。そういう思いは年々大きくなっていた。

そうしたある日、SNSを見ていたらアライグマの肉を調理して食べている投稿を目にした。その数日前、千葉の外房に撮影に行った時、地元の人にアライグマがよく現れて農家の人は食害に困っている、という話を聞いていたこともあってその投稿に俄然興味を持った。

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その人のブログを見に行くと興味深い記事で溢れていた。アライグマ、キジ、キジバト、スッポン、カミツキガメ、聞いたことのない数々の野草類、貝類、きのこ類。僕はそのブログを読みながら感動した。東京周辺でこんなにも色んなものを“とって食べる”事が出来るのかと。しかもブログのタイトルは東京でとって食べる生活。東京!!!これなら撮影に行ける!企画書書いて資金を出してくれる人を探して…なんてする必要もない!

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早速トモ氏と連絡を取り、新宿の喫茶店で打ち合わせをした。トモ氏は平日は都内の企業で働くITエンジニアだった。見た目もITエンジニアと言われて違和感のない現代的な青年である。その彼がアライグマやキジやカミツキガメを獲って捌いて食べているのか。メチャ面白いじゃないか。是非撮影させて欲しい、とお願いし、トモ氏にも快諾して頂き、この作品はスタートした。撮影するだけじゃなくて俺も東京でとって食べたい!

そうだ、東京を“撮って食べて”やる!!!

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(トモ氏と印旛沼産カミツキガメ)

視聴は配信まとめページからご覧ください。


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