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【長文レビュー】『ファイナルファンタジー16』個人的スコアがこちら!「超良くもなく悪くもない」



『ファイナルファンタジー 16』

2023年6月22日(木)発売・AAAタイトル『ファイナルファンタジー16』をクリアしたのでレビューしていきます。(ネタバレ注意)

筆者は、多くの人がプレイするであろうストーリーフォーカスで主に進め、要所要所でアクションフォーカスに変えながらハイブリットでプレイしました。

クリア時間は30時間です。

結論から申し上げますと、79点→83点』です。
追記:やはり終わったあとの喪失感や、裏側を想像すると良く出来ていたプロットなので、+4点したいと思います笑


評価基準

自分は「ゲームとして総合的に評価」を行います。

  1. ストーリー、キャラクター

  2. ゲームシステム(ステータス、装備含め)

  3. FFシリーズである必要があったか


良かった点

まずは、評価基準通りにお伝えする前に、ザックリと「良かった点」「悪かった点」を紹介します。

  1. 『王道中世ファンタジー』:初心者でも分かりやすく作られている

  2. 『プロットが一本、筋を通っている』:中途半端に暗くしないストーリーで、終始暗さを守っている

  3. 『リアルタイムアクションゲーム』:スピード感があり、操作性も良い

  4. 『アクティブタイムロア』:随時物語を外読みで補填できる

  5. 『ロードが皆無』:ストーリー・演出・バトルを流れるように体験できる

悪かった点

  1. 『オリジナリティが無い』:王道中世ファンタジーに固執している

  2. 『中途半端』:プロットに対して、本編では過去回想などが少なく、プレイヤーがキャラに感情移入出来る要素が少ない

  3. 『テンポが良く、テンポが悪い』:流れるように進んでいたのが、合間合間で入るお使いで、テンポが急落する

  4. 『ストーリーの為に用意されたリアルタイムアクション』:文字通りストーリー体験が先行していて、ゲームとしての面白さが薄い

  5. 『外読み必須』:説明セリフが多い割に、更にアクティブタイムロアなどで浅い外堀を埋めなければならない

  6. 『カットシーンが異常』:ここ数作はカットシーンが多いことで有名だが、想像の8倍くらいカットシーン

  7. 『キャラに魅力が無い』:リアルで本物の「王道中世ファンタジー」を優先しているため、ストーリーを立てるキャラで構成されている

  8. 『リップシンクが雑』:カットシーン以外では、口パクのようになっている

  9. 『萎える演出が多々ある』:一部ネタバレになるため、未クリアの人は読み飛ばして下さい。クライヴが勝手に納得し自己整理をつける、ミドが急に泣き始める、クライヴとジルが裸で語り始める、思いの強さで全てを解決する他

  10. 『ゲームでやる必要が無い』:FFにかける思いが強すぎて、ゲームという商業作品としての必要性がない

  11. 『FF14の焼き直し』:FF14担当の第三開発事業本部が開発しているため、類似点が多すぎる

ここまで、良かった点、悪かった点を上げましたが、ここからは評価基準の通りに詳しくお伝え出来ればと思います。


評価:ストーリー、キャラクター(ネタバレ注意)

結論から言うと、『大衆向け・王道を目指し作られた深みの無い作品』です。

物語の簡単な説明は以下の通りです。

  • 主人公:クライヴが弟:ジョシュアの仇である火のドミナントを追う復讐劇から始まります。

  • これは、序盤でシドの協力があり、呆気なく自身が火のドミナント、そして弟:ジョシュアが生存していることが発覚します。

  • そして、火のドミナントを追う過程で知った「ベアラーが虐げられている現実」に違和感を覚え、死後に『人が人として生きられる場所』の実現を目指す。

  • その実現として、大地からエーテルを吸い上げ、黒の一帯を広げ続ける原因であるマザークリスタルを破壊し、魔法による差別を無くす物語へと変貌。

  • 最終的には人を創造した神、アルテマを『人が持つ想いの力』で撃破し、クライヴが魔法に関連するもの(ドミナント、ベアラー、クリスタル)を消し去った新たな世界を創立する。

プレイ済みの方なら分かると思うのですが、プロットがしっかりと組まれており、終始一貫したストーリーになっています。
やはり、大衆向けに作られているだけあり、構成がキッチリ、簡潔で素晴らしかったと思います。

しかし、ここで筆者が違和感を覚えたのは、プロットが最終的には『大衆向け・王道だけを考えて作られたストーリー』と受け取られるような作りとしてリリースされたことです。

こう受け取った理由としては、

  1. ストーリーがキャラ同士の繋がりではなく、ストーリーの繋がりで展開される

  2. アクティブタイムロアに加えて、ヴィヴィアンレポート、ストーリー中のヴィヴィアンによる世情説明と、終始ストーリーに対して関心を向けさせる作りになっている

  3. 上記の理由から過去回想なども殆どなく、青年期→壮年期をキャラとの会話や少しのサブクエからしか分からず、5年後という時間経過がストーリーの説得性以外で役に立っていなかった

  4. ゲーム上仕方がないが、5年の年月を経た後に急速に進むマザークリスタルの破壊に違和感があり、着地点だけを目指していたように受け取れた

これらの理由より、筆者は『全てストーリーのため』と受け取りました。
(「外読みが必要なのは馬鹿だから」とか言われそう笑)

そのため、それぞれのキャラが「中世ファンタジーストーリーのため」というところに帰着しており、個性や愛着を感じれなかったです。

逆にいうと、リアルを求めた結果なので映画であればリアリティを感じれて良かった思います。
しかし、あくまで『ゲーム作品であって、映像作品ではない』です。

ゲーム作品のキャラクターは、映像作品よりも、プレイヤーが好み、共感できるような作りにするべきです。
主人公を操作する以上、そこに没入感が無ければ主人公を動かす必要が無い
と考えます。

やはり、『ストーリーのために動いているキャラ』感が強すぎました。
他にも筆者が個人的に気になった点を挙げてみます

  1. カットシーンが多すぎて冗談抜きで眠くなる。最後にアルテマVSバハムート、イフリート、フェニックスでは本当に眠くなって危なかったです

  2. クライヴの言動に一貫性を感じない。終わった後で「具体的にどこ?」と言われると些細すぎて思い出せないのですが、それくらい些細なズレがクライヴに起きていたと考えました

  3. クライヴの声に特徴があまりなく、叫んだり泣いたりすると声一緒?ってなってしまう。映画畑の声優さんなので勿論上手なのですが、ゲームにあまり合うようには感じませんでした。

  4. クライヴが立ち直るのに納得の行くシーンがなく、勝手に自己整理し立ち直る

  5. ミドが急に泣くシーンが2回ほどあるが、ミドの登場が限定的で共感できない

  6. 灰の大陸沿岸部でジルとクライヴが月を仰ぎながら語るが、恥部を隠しながらする真剣な話が頭に入ってこない

  7. 国家の滅亡理由がどれも幼稚(アナベラが高貴な血族を産み、ヴァリスゼアを統一したいためロザリア崩壊、アルテマによりザンブレクとウォールドが崩壊、クライヴとジルが乗り込んできて鉄王国が崩壊、恋敵のためにダルメキアが崩壊)

  8. 『想いの力』『自我』など抽象的なものに頼っている

  9. アルテマが神なのに弱すぎ

これらの複合的な要素によって、暗く描いてる世界が少し薄っぺらくも見え、可哀想...と、なり難かったです。
国家滅亡の理由が幼稚というのには異論がある人もいらっしゃると思いますが、少なくとも私はそう感じてしまいました…

結果的に『初心者には良いけど普段からゲームをやっている層には受けない作り』になっていると感じました。


これは個人的になのですが、FF14に酷似していたと思います。(筆者は6.0 ハイデリン・ゾディアーク編までクリアしております)

「第三開発事業本部」が開発でプロデューサー:吉田さん、イシュガルドまで担当のシナリオ: 前廣さん、他諸々同じため仕方ないが無いと言えば仕方が無いのですが...

似ていると思った点を列挙してみます。
記憶違いがありましたら申し訳ありません。

  1. 全体的に暗い話

  2. ストーリーの途中で世情説明が入る

  3. アルテマがアシエンのように序盤はプレイヤーが分からないような謎の単語を発ながら国を操作している

  4. 砂の家→石の家にように、暁の血盟と同じように進む(ミンフィリアとシドの役割など)

  5. 想いの力など絆のような『見えない力』を多用している

  6. 攻撃予兆など、戦闘表現

  7. リスキーモブ、LBなどの要素

もちろん同じような構成を取ってる作品もあると思うのですが、個人的にはシナリオは同じ人だから仕方ないのですが、システム面ではドラクエ10→ドラクエ11の流用のような印象を受けました。
(あそこまで酷くはないですが)

また、プロデューサーの吉田直樹さんは、ファミ通インタビューでは以下のように話されています。

吉田P「攻撃予兆だけを見て「『FF14』に似ている」と判断されるのは、我々としても心苦しくて……。『FF14』を遊んだことがないプレイヤーも多いでしょうし、彼らが疎外感を受けないようにというのはPRのキーワードでもあります。」

【FF16インタビュー】吉田直樹氏&高井浩氏&前廣和豊氏が目指した最強の『FF』とは。風評を“ゲームの中身で覆す”

もちろんFF14を遊んだことないプレイヤーの方が多いでしょうし、当然なのですが、FF14プレイヤーからは違和感のある作品だと感じます。

しかし、筆者は鬱作品、暗い作品が好きな上に涙脆いため、叔父さんと再開するシーン、最後に月を見て泣くジルなどでは泣きそうになりました...。あと、やはりゲームでは音楽の力って偉大ですね。米津玄師さんの「月を見ていた」鬼リピート中です。(FF16でも若干ロス気味)

エンディングでは生存説と死亡説の両方が囁かれていますが、個人的にはクライヴは生存し、ジョシュアは死亡している考えています。(後述します)

とはいえ、エンディングを終えると不思議とキャラに愛着が湧いていたので、問題はプレイ中にそれが出来ていない点ですね。


評価:ゲームシステム(ステータス、装備含め)

結論から言うと、『快適なリアルタイムアクションとしては最高だが、それゆえに初心者向けなゲームシステム』でした。

今作から『本格リアルタイムアクションゲーム』に進化しました。
その上で、ネットでは以下の様な声が多数聞こえました。

・デビルメイクライから重量感を無くした感じがFF16のアクション
・スクエニはFF病よりもアクション病
・マジでデビルメイクライなんだよな

Twitter、ゲーム板より

また、これに関してはGameWatchのインタビュー記事で触れられていました。

質問:今回、バトルセクションにカプコンさんで「Devil May Cry」などを作られていた鈴木良太さんが加わっていますよね。鈴木さんがチームに入られたことで、チームに対して与えた影響とかはありますか?

吉田P:
めちゃくちゃ大きかったです。クライヴの全てのアクションバトルは、彼の指揮下で作られています。

「ファイナルファンタジーXVI」吉田直樹プロデューサーインタビュー

当然関わった作品で大きな影響を与えていた優秀な開発者が、リアルタイムアクションを作成すると似てしまうのは致し方ありませんね。

筆者としては、JRPGである所以であるターン制、アクティブタイムバトルから抜け出すのは大きな一歩として賛成です。
しかし、ここで問題なのはリアルタイムアクションというシステムを採用した上で、どれだけ楽しく拡張できるかです。

今回のバトルシステムで足りないと感じた点を以下に挙げます

  1. 単調で同じ行動を繰り返すだけ

  2. 武器、防具、アクセサリーの種類が少なく、ストーリーが進むごとに少しずつ取引所、鍛冶屋に追加されるだけ

  3. アクセサリーが3枠しか設けられず、ギル、経験値、アビリティポイント増加のアクセサリーを付けると、アビリティ強化のアクセサリーが付けられなくなる

  4. ステータスが見せかけでしかない

  5. 後半に獲得できる召喚獣に魅力がない

  6. マジックバースト、パリィが死に機能

1、2、3は言わずもがな、やってる時に全員思ったのではないでしょうか?
また、4もステータスに関して気にする部分が一切ありませんでしたね。ストーリーを進めて上がるレベルだけで最後まで行けるので…

5については賛否あると思いますが、割と序盤で手に入るガルーダはウィルゲージを削りやすく使い勝手がいいですし、タイタンのパンチは攻撃力が高いです。(体感)

途中まで使ってたらアビリティポイントの振り直しが可能といえども、「慣れているしどれも似通ってるアビリティだから別に変えなくていいや!」となり、一回試して戻すなんて人も多いのではないのでしょうか?

6はストーリーフォーカスでは特に顕著です。そもそもストーリーフォーカス向けに作ってないと言われればそこまでなのですが、戦闘でのQTEを▫︎とR1だけにするならパリィやマジックバーストをしなければいけない、などの演出を入れるなどもう少し工夫があっても良かったと感じました。

総合的にみて、やはりこちらもストーリーのために作られた大衆的なバトルシステムでビルド要素がかなり少ないです。

最終的に『ストーリーのため、大衆的作品のため、初心者向けのため』に落ち着いてしまい、普段からゲームをプレイしている人はアクションフォーカスモードでも物足りない部分が多かったのではないでしょうか?


評価:FFシリーズである必要があったか

結論から言いますと、『FFシリーズである必要性がなかった』です。

FF要素が召喚獣、クリスタル、と具体的に挙げようにもパッと出てくるものがなく、簡単にFFである必要性ある…?となります。

FF16を幅広い世代に受ける、大衆向けの入り口作品として完成されているのでこのような印象になりました。

また、「ゲームオブスローンズじゃん」「映画でやれよ!」という声も聞きましたが、映像作品で良いじゃんとは筆者も思いました笑

もしかすると、召喚獣やクリスタルなどのFF要素を削って置き換え、新規大型IPとして出していれば高評価だったのでは…と思ったり思わなかったり…


まとめ

最初に申し上げました通り、評価は79点→83点』です。
筆者としては、気持ち増して82〜5点を付けたかったのですが、正当評価として79点とさせていただきました。

ストーリーを重厚にした補填Varもやってみたいです。
もっと書きたいことが沢山あるのですが、この辺で…

タイトル通り、超良くもなければ悪くもない。
←ー傑作 名作 秀作 良作 佳作 凡作駄作 愚作ーーとした時、 秀作と言ったところでしょうか。

ゲーム初心者、RPG初心者、ストーリー物初心者にオススメする作品としては満点に近いと思うので、ぜひ皆さんもプレイしてみてください


生存説と死亡説

前述の通り、「個人的にはクライヴは生存し、ジョシュアは死亡している」と考えています。

理由は以下の通りです

  1. ジョシュア死亡シーンは、下手にボカさずしっかり死んでいたため

  2. ジョシュア死亡時に、死んでいないのにクライヴがあそこまで泣く理由がない

  3. フェニックスは死を覆せないとクライヴがシドの墓の前で言っていた

  4. クライヴは最後片手だけ石化していたが、ジョシュアと違い明確な死亡シーンがない

  5. ジルが月を見上げ、隣の惑星が赤く点滅し消えて泣くシーンがあるが、示唆しているのがクライヴとは限らず、ジョシュアの可能性が残っている

  6. 最終決戦前のサブクエで、剣ではなく筆を握ってみれば?みたいなのがあったため、ジョシュアの名前を借りて本を執筆したと考えられる

これらの理由から、クライヴは生存し、ジョシュアは死亡していると考えています。
ここで突かれるのが、「ジルが泣いてたシーンに説明がつかない」というところなのですが、そもそもサブクエ、最後の本の描写がある時点で、生存と死亡どっちの線も残しておこうというのが丸見えなので、この議論は不毛なのですが…。

個人的には主人公やヒロインが死亡するエンドが大好きなので、死亡説を推したいのですが、上記の理由からクライヴ生存説が有力だと思います。

また、4gamerのインタビューではディレクター:高井さん、シナリオ:前廣さんはこのように語っています。

4Gamer:例えば数年後に,「FFXVI-2」みたいなものを生み出す余地がないくらい綺麗に収まったということですか?

髙井氏:作り出そうと思えば,おそらく作り出せるとは思います。世界観をすごく作り込んだので,新しい物語を受け止める土壌はきっちりありますから。ただ……それは誰かに任せたい(苦笑)。

前廣氏:お話的には,本当に全部出しましたね。髙井の言うように世界観は時間をかけて構築したものがありますけれど,お話としてはFFXVI-2は難しいでしょう。

髙井氏:今回のFFXVIとしての物語は,綺麗に終わっていると思います。

前廣氏:本当にきちんと終わらせましたから。

[インタビュー]「FINAL FANTASY XVI」は,プレイヤー全員にエンディングを観てほしいと思える仕上がりに。開発のキーパーソン3名が語る,その魅力とは

シナリオ:前廣さんの「本当にきちんと終わらせましたから。」というのは、『魔法、ベアラー、ドミナントが消滅し、クライヴの旅が終わった』と勝手に解釈させていただきました。

FF16-2は作れることには作れるみたいですが、この物語のエンディングには蛇足すぎるので絶対にやらない方がいいでしょう笑

個人的にはみたくもありますが…



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