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【SNS投稿和訳】エミール・カステヘルミ氏:ウクライナ軍クルスク攻勢の最新情報(日本時間2024年8月9日02:58投稿)

上記リンク先から始まる一連のX投稿は、フィンランドの軍事史家でOSINTアナリストであるエミール・カステヘルミ氏によるウクライナ戦況報告で、具体的には、現在も続くウクライナ軍のクルスク州進撃作戦に関する最新情勢報告とその評価になっています。

以下は、このカステヘルミ氏の連続投稿を日本語に翻訳したものになります。なお、記事中の画像は、カステヘルミ氏の投稿に添付されているものを使用しています。


日本語訳

クルスク攻勢の最新情勢:

ウクライナ軍はすべての方向でさらに進撃した。同軍は少なくともスジャ[Sudzha]を部分的に制圧しており、コロネヴォ[Koronevo]~リリスク[Rylsk]方面に向かって進撃中である。

より小規模な分遣部隊が、スジャとリゴフ[Lgov]を結ぶ道路上の地域で行動中だ。

ウクライナ側支配地域が実際にどれほどの広さをもっているのか、両陣営ともに確固たる支配ができていない地域、つまり、いわゆるグレーゾーンになっている地域がどこなのか、ということに関してはよく分かっていない。地図で示した評価は控えめなもので、これに加えてウクライナ軍が新たに村落を制圧している可能性もある。OPSEC[作戦保全措置]は依然としてかなり厳しい。

ウクライナ軍部隊の一部は、ロシア軍守備隊の浮足立った状態につけ入ることができた。そして、リゴフに向かってさらに北進した。ロシア軍がいまだに状況を完全にコントロールできていない可能性は極めて高く、もっと多くの地域がウクライナ軍の手に落ちる場面をこれからも目にする可能性がある。

ロシア軍はさらなる侵入、たとえばフルヒウ[Hlukhiv]からリリスクに向けてのような侵入に神経をとがらせている。ウクライナがこの状況をもっと活用していこうと欲し、もっと多くの戦力を投入する用意を整えている場合、ごく近いうちに、新たな方面から、さらなる攻撃が行われることになるはずだ。

ウクライナ側の作戦行動は戦略予備戦力を用いて行われているが、東部の状況は依然として極めて厳しいままだ。私見だが、私は今でもクルスク方面のことを懸念している。というのも、上述のことが引き金になって起こる可能性のある悪いシナリオが想定できるからだ。

クルスク作戦は貴重な予備戦力を消耗させており、ほかの地区が現在抱えている問題の解決にはならない。ウクライナは今のところ、かなり規模の大きな中核的居住地区を占領できておらず、一方でロシア軍はコロネヴォの正面でウクライナを食い止めることができている。

ウクライナは両側面を広げることなしに、これ以上、北進し続けることはできない。ウクライナが長期にわたって占領地を保持しようとしているのなら、狭い突出部というものは適切なものではない。時間もまた、ウクライナ軍に不利に働いている。なぜなら、ロシア軍が永遠に浮足立っていることはないからだ。

たとえば、作戦の結果が国境周辺の一握りの村落や小都市だけの制圧に終わったとして、そのような作戦に予備戦力を使うことになるなら、戦争全体という大きな絵のなかで見た場合、その作戦は特に成功したものとは考えられない。これはまさに、ロシア軍のハルキウ州北部での作戦と同じことだ。

だが、これまで述べてきたように、依然としてさまざまなシナリオが想定でき、ウクライナがクルスクに向かってさらに前進できるのなら、もっと明るいシナリオも想定し得る。少なくとも情報空間において、ロシア軍は屈辱的な敗北を喫しており、メディアはウクライナ側の成功に再び注目している。

私たちのブラック・バード・グループは情勢を注意深く追跡し続けており、毎日、複数の情報更新を行っている。

以下、私たちのチーム制作のインタラクティブ地図 ⬇️


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