以下は、戦争研究所(ISW)の9月13日付ウクライナ情勢評価報告から、その記述の一部を引用し、それに日本語訳をつけたものである。なお、使用した地図は、報告書原文に掲載されているものを利用した。それ以外の画像には、引用元URLを付記した。
日本語訳:
9月13日、ウクライナ軍はクリミアのロシア占領下セヴァストポリにミサイル攻撃を実施し、ロシア軍揚陸艦1隻、キロ級潜水艦1隻と港湾施設に損傷を与えた。ウクライナ軍戦略コミュニケーション局の声明によると、ウクライナ軍はロシア占領下セヴァストポリのロシア海軍アセットと港湾施設に対するミサイル攻撃を実行したとのことだ。ウクライナ国防省情報総局のアンドリー・ユソウ報道官は、複数発の巡航ミサイルによって、ロシア国営船舶修理施設セヴモルザヴォドを攻撃し、それに加えて、揚陸艦1隻と潜水艦1隻も攻撃したと語った。なお、両艦船はともに修復不能な状態であるとユソウは説明した。ロシア国防省は、セヴモルザヴォド船舶修理施設を狙ったウクライナ軍巡航ミサイル10発のうち7発の迎撃に成功したと主張した。その一方で、ウクライナ軍ミサイルが修理中の艦艇2隻に当たったことも認めた。9月13日公開の撮影場所が特定できる動画に、セヴァストポリ港の乾ドックでの爆発が映っている。9月12日公開の衛星画像で乾ドック内にいるロプーチャ級揚陸艦1隻とキロ級潜水艦1隻が確認でき、9月13日公開の衛星画像は、ウクライナ軍のミサイル攻撃によりこの2隻が破壊された可能性の高さを示している。ウクライナ軍南部作戦管区報道官ナタリア・フメニュク海軍大佐は、攻撃の間、そこにロシア軍のミサイル母艦はいなかったと語った。その一方で、どの潜水艦が乾ドック内に存在していたのか、ウクライナ情報部はまだ分かっていないとも述べた。2隻の艦艇は破壊されているように見えるが、そうであるなら、ロシア軍による破片や残骸等の処理の完了まで、乾ドックが使用不能状態になる可能性は高い。また、残骸等の処理に、相当の時間がかかる可能性もある。乾ドック以外でセヴモルザヴォドの修理施設が被った損害の程度は、はっきりとしていない。また、ロシア占領下クリミアにあるロシア黒海艦隊の主要修理施設の一つへのダメージは、それがいかなるものであっても、ロシア海軍アセットに対してウクライナ軍がさらに攻撃を行った際、波及的影響を及ぼすことになる可能性が高い。
日本語訳:
9月13日、ウクライナ軍がザポリージ州西部とバフムート周辺での反攻作戦を継続するなか、同軍はザポリージャ州西部で前進した。また、バフムート周辺での前進も報告されている。9月12日公開の撮影場所が特定できる動画により、ウクライナ軍がザポリージャ州西部ロボティネ(オリヒウ南方12km)の南方でわずかに奪還地を広げたことが分かる。9月13日のウクライナ軍参謀本部の報告によると、ウクライナ軍はロボティネ付近で何らかの部分的成功をおさめ、それに加えて、バフムート方面のクリシチーウカ(バフムート南西7km)付近、アンドリーウカ(バフムート南西10km)付近、クルディウミウカ(バフムート南西13km)付近においても、何らかの部分的成功をおさめたとのことだ。