Russian Offensive Campaign Assessment, July 15, 2024, ISW ⬇️
ウクライナ最新世論調査
◆ 戦争研究所(ISW)報告書の一部日本語訳
最近実施されたウクライナ国内の世論調査によって、ウクライナの全面的な降伏というロシア側の要求を、ウクライナの人々の幅広い層が拒絶していることが分かる。このことは、戦争終結に関するクレムリンの要求がまったく理不尽なものであり、ウクライナ国内において広く受け入れられるものではないことを、まざまざと示している。ウクライナ・メディア「今週の鏡(Dzerkalo Tyzhnya)」が、ウクライナの「ラムズコウ・センター」に委託した世論調査結果を、7月15日に発表した。この世論調査によって分かったことは、現在ウクライナ統治下にある地域も含めたドネツィク・ルハンシク・へルソン・ザポリッジャ4州からウクライナは撤退しなければならないというプーチンの発言を、回答者の83%が拒絶しているということだ。また、この世論調査によれば、ウクライナ憲法に中立的かつ非同盟で核を保有しないという立場を明記することにウクライナは同意すべきではないと、回答者の58%が答えているとのことだ。プーチンは2024年6月に、ウクライナ東部と南部(ロシアが現在占領していない領土の含む)に対するロシアの領有権をウクライナが認めること、ウクライナが「非軍事化」すること、「和平」交渉開始の前提としてウクライナがNATOに加盟しないことを誓約することを要求した。プーチンが示す極端な条件はウクライナの降伏に等しく、これは、ロシア側が提示した以外の条件に基づく真摯な交渉に、プーチンが引き続き興味をもっていないことを示している。クレムリンの報道官ドミトリー・ペスコフは最近のことだが7月14日に、NATOは「ロシアの主たる懸念」への配慮に欠いていると非難した。なお、この7月14日というのは、NATOが、ウクライナのNATO加盟への展望を発表した日である。そして、NATOのこのような振る舞いは、ウクライナにおける戦争に関する交渉の土台が存在しないことを示唆するものだと、ペスコフは主張した。ウクライナの全面的な降伏を和平交渉の合理的な前提条件としてプーチンが示していることはまた、理にかなった交渉条件に対する国際的な認識をロシアにとって有利な方向にシフトさせることで、ウクライナ自身による法に則した交渉姿勢に対して、国際的な支持を集めようとするウクライナ側の取り組みを、損なおうとする試みの一部でもある。なお、このウクライナ側の取り組みは国際法に基づいたもので、国際法によって裏打ちされているものである。ウクライナが「理にかなった」要求を拒否し続けていると主張するロシア側の継続的な取り組みは、ウクライナの正当な国境が1991年以来、国際法によって認められているにもかかわらず、まるでウクライナが理不尽な行動主体であるかのように示そうとする意図で行われている。
◆ 報告書原文の日本語訳箇所(英文)
◆ ウクライナ世論調査に関する報道
◆ 7月14日のペスコフ露大統領府報道官の発言に関する報道