Russian Offensive Campaign Assessment, August 12, 2024, ISW ⬇️
ロシア領クルスク方面戦況
◆ 戦争研究所(ISW)報告書の一部日本語訳
クルスク州の前線をロシア軍が安定化させているという軍事ブロガーの最近の主張にもかかわらず。ウクライナ軍はクルスク州内でさらに前進している模様だ。8月11日に複数のロシア軍事ブロガーは、クルスク州におけるウクライナ軍の攻勢行動は活発さを失っていると主張した。一方で、クレムリンに後援されている有名軍事ブロガー・アカウントの一つは8月12日にこれらの主張に反論し、ロシア軍は情勢の安定化ができておらず、その理由の一端に貧弱なC2[指揮統制]があると指摘した。伝えられた情報によると、ウクライナ軍はクルスク州西部への新たな進入を開始したとのことだ。具体的な場所として、スロボドカ・イワノフカ[Slobodka-Ivanovka](スーミ市から北西方向で国境から2km離れた地点)付近、テトキノ[Tetkino](スロボドカ・イワノフカ南方の国境沿い)付近があげられており、また、ゴルディーフカ[Gordeevka]、ウスペンカ[Uspenka]*、ヴィクトロフカ[Viktorovka]の各周辺(すべてスーミ市北方の国境沿いでコレネヴォ[Korenevo]の南方)の名もあがっている。ロシア側情報筋の主張によると、ウクライナ軍はスロボドカ・イワノフカ、ウスペニフカ[Uspenivka]*、ヴィクトロフカを制圧したとのことだ。ロシア軍事ブロガーは、スナゴスト[Snagost](コレネヴォの南方)付近とクレミャノエ[Kremyanoye](スナゴストの東方)付近で戦闘が続いたと主張し、ウクライナ軍がコレネヴォを迂回する意図で、コレネヴォの北方と南方で攻撃を続けていると主張した。撮影地点特定可能な動画によって、ウクライナ軍が最近、クレミャノエ区画内及びジュラヴリ[Zhuravli]東方で前進したことが分かる。また、クレムリンに後援されている軍事ブロガー・アカウントの一つは、ウクライナ軍がジュラヴリ北方で、オブシチ・コロデズ[Obshchy Kolodez](コレネヴォから北東方向で国境から30km離れた位置)に向かって前進したと主張した。撮影地点特定可能な別の動画によって、最近、ウクライナ軍が、おそらくはカウチュク[Kauchuk]方面での1個大隊規模の機械化部隊による地上攻撃の際に、セメノフカ[Semenovka](リゴフ[Lgov]の南方で国境から約24km離れた地点)の北方と南方にある森林地帯で前進したことが分かる。だが、ウクライナ側の正確な前進範囲は不明である。
8月12日に公開された撮影地点特定可能な動画によって、ウクライナ軍が最近、スジャ区画内とザオレシェンカ[Zaoleshenka](スジャの西方)区画内北部で行動していたことが分かる。また、ロシア軍事ブロガーは、ウクライナ軍がスジャとスパリノエ[Spalnoye](スジャから南東方向)を制圧したと主張した。8月12日公開の別の撮影地点特定可能な動画には、ギリ[Giri](スジャから南東報告で国境から13km離れた地点)区画内北部で行動するウクライナ軍車両と、ギリ区画内中心部でウクライナ軍を待ち伏せ攻撃するロシア軍が撮影されており、このことから、ウクライナ軍が少なくとも一時的には、この集落内に進入したことが分かる。だが、ウクライナ軍がこの地域での展開地点を維持できているかどうかは不明だ。ロシア国防省は、ロシア軍がボルキ[Borki](スジャから南東方向)付近でウクライナ側の攻撃を撃退したと主張しており、このことはウクライナ軍が西からギリ区画内に進入した可能性の高さを示唆している。8月12日に公開された撮影地点特定可能な動画によって、ウクライナ軍が最近、ダリノ[Darino](スジャから北西方向で国境から3km離れた地点)区画内で行動していたことが分かる。ロシア側情報筋の主張によると、ウクライナ軍はまた、装甲車両の支援のもとで、グライヴォロン[Grayvoron]の北西方向に位置するスーミ州内の地点から、ベルゴロド州のコロティロフカ[Kolotilovka]付近とプリレシエ[Prelesye]付近から、グライヴォロン南方のベジメノ[Bezymeno]付近から、それぞれ越境進入を行ったとのことだ。
*注:いずれもウスペノフカ[Uspenovka(Успеновка)]の誤記である可能性がある。
※ISW参照の情報源等を確認する場合は、報告書原文の後注[12]~[22]のURLにアクセスしてください。
◆ 戦争研究所 ウクライナ戦況インタラクティブ地図
◆ 報告書原文の日本語訳箇所(英文)
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