以下は、戦争研究所(ISW)の8月29日付ウクライナ情勢評価報告から、ウクライナ軍攻勢に関する記述を引用し、それに日本語訳をつけたものである。なお、記事中の地図は、報告書記載のものとISWインタラクティヴ・マップの画像(一部加工)を使用している。
日本語訳:
8月29日、ウクライナ軍はドネツィク州バフムート周辺とザポリージャ州西部ロボチネ周辺で前進した。8月29日に公開された撮影地点が特定できる動画によって、ウクライナ軍がバフムート南方とロボチネ南東約5kmの地点で前進したことが分かる。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ウクライナ軍はバフムート方面とメリトポリ方面(ザポリージャ州西部方面)で攻勢作戦を実施したとのことだ。ウクライナ軍タヴリーシク部隊集団のオレクサンドル・シュトゥプン報道官は8月28日、ウクライナ軍がロボチネ内の陣地確保を続けたことと、同軍がこのエリアの地雷除去を進めていることを伝えた。シュトゥプンの報告によると、ウクライナ軍はロボチネ地区にもっと多くの兵力を投入することができ、そして、部隊機動の機会がさらに増すことになるだろうとのことだ。シュトゥプンはまた、ロボチネがトクマクに向かう高速道路付近に位置していることにも触れた。なお、この道路はロシア軍にとって重要な地上連絡線(GLOC)である。あるロシア軍事ブロガーは、ロシア軍がこの地域に相当数の予備戦力を投入し続け、それに加えて、空挺軍(VDV)所属部隊、TOS-1サーモバリック爆薬弾頭多連装ロケット砲システムを投入し続けているという見解を示した。なお、このロシア軍の対応は、ロボチネの陣地が脆弱であることへのロシア軍の懸念を示している可能性が高い。別のロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍はロボチネの集落内で交戦することでウクライナ軍部隊を釘付けにし、ウクライナ軍攻勢の勢いを減じようとしているとのことだ。