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【SNS投稿和訳】動画で見るロシア軍の戦術行動上の過失(Emil Kastehelmi氏)

フィンランドのOSINT分析者で軍事史家のエミール・カステヘルミ氏がX(旧Twitter)上で、ウクライナでの戦闘を撮影した動画から、ロシア軍戦術行動の不適切な戦術行動を抜き出し、それを解説しています。

このカステヘルミ氏によるXでの連続投稿(日本時間2024年1月8日02:04)を日本語に翻訳したのが、このnote記事になります。

なお、この記事は、原文に添付された動画を見ることが内容理解の前提になりますが、動画をnote記事内に埋め込むことができませんでした。そのため、以下の方法で動画を参照してください。

  1. 記事中のX投稿リンクをクリック(タップ)し、X上で見る

  2. 画像をクリック(タップ)すると、ブラウザに動画のみが再生されますので、それを見る


日本語訳:

数日間ほど、このとても興味深い動画がソーシャル・メディア上で流れている。以下にこの動画を見たうえでの見解をいくつか示す。

1.ロシア軍はこの動画の以前に同じエリアでの攻撃を試みており、1個戦車中隊の半数近くを失っている。何らかの理由で、ロシア軍は今回は違った結果になると信じている。

※動画リンク画像(https://video.twimg.com/ext_tw_video/1744034224586285056/pu/vid/avc1/540x540/hD4MsmsI7lx64Ruy.mp4?tag=12)

2.先頭の戦車をズームアップしてみても、この戦車の地雷除去装備の右側が100%適切に作動しているのかどうかは、よく分からない。

3.また、この戦車は地雷の帯のなかに進んでいるようだ。これらの地雷はまったく隠されておらず、地面に急いで置かれたばかりのものだ。

4.もう少し広い範囲でみると、対戦車地雷であると思われる別のむき出しの地雷の列のなかに、先の戦車とは別の破壊された車両を確認することができる。

ロシア軍がそれでもそこにまっすぐ突っ込んでくるのなら、あらゆる地雷を隠蔽しておく必要はない。また、ロシア側のこのような行動を目撃するのは、初めてのことではない。

5.この最初の戦車は遺棄される。そして、4番目の車両が攻撃を受ける。だが、動画がカットされているため、起こっていることを正確にみることはできない。残りの車両はまだとどまっており、その間に歩兵が降車している。

この状況は、ウクライナがドローンを使って第二撃を加える助けになっている。

※動画リンク画像(https://video.twimg.com/ext_tw_video/1744035166601797632/pu/vid/avc1/720x720/274yktXAehuyFLld.mp4?tag=12)

6.このBMPは攻撃に耐えているが、その喜びは束の間のことだった。なぜなら、このエリアにはかなり多くの地雷があるからだ。

また、ウクライナ軍の兵士たちはロシア軍車両への射撃を始めている。おそらく、すでに混乱をきたしている敵に対して、もっともっと多くのパニックを引き起こそうとしているのだろう。

そして、この仕事を締めくくったのが、クラスター弾頭だ。

※動画リンク画像(https://video.twimg.com/ext_tw_video/1744036793022820352/pu/pl/vXVOQRevnEtHkmAS.m3u8?tag=12&container=fmp4)

7.この戦闘を撮影した二つ目の動画に、ウクライナ軍が対歩兵戦闘をどのように始めているのかが示されている。

ロシア軍の一部は互いに集まり固まってしまい、散らばろうとしなかったため、ウクライナ軍の格好のターゲットになってしまっている。このウクライナの戦術がいかに機能しているかを、この動画は示している。

※動画リンク画像(https://video.twimg.com/ext_tw_video/1744037277011976192/pu/vid/avc1/320x320/UxUtr2gfvQaS8R-u.mp4?tag=12)

8.ロシア兵のなかには他の者より頭の回転が速い者もいる。例えば上の動画の00:13時点で画面左上隅に映っている兵士は、塹壕へと移動しており、空からの脅威を探そうとし始めている。この兵士は近づいてくるドローンを撃ち落とそうとしているが、ドローンに命中させることはできていない。

※動画リンク画像(https://video.twimg.com/ext_tw_video/1744039581731745792/pu/vid/avc1/540x540/B_J96sDy1KX81wj8.mp4?tag=12)

9.ウクライナ軍の地雷、砲兵、航空偵察そして直接射撃火器はロシア軍の攻撃を待ち構えており、それとは反対に、攻撃成功のチャンスが得られるような方法で、ウクライナ側の防衛に影響を及ぼすロシア軍の能力は、とても限られていたようだ。

10.この状況になかに、ロシア側の奇襲の要素はまったく存在しない。この攻撃はウクライナ軍に予想されており、効果的に迎え撃たれた。

なお、指摘しておかなければならない点として、この動画が示しているのは、ここでの出来事の一部分に過ぎないということだ。一方、ロシア軍がどこか別のところで、大きな成功を収めたことは示されていない。

11.適切な訓練を受けていたら、それがこの状況において死傷者を減らす一助になったかもしれない可能性もある。だが、ロシア軍は自軍が何に攻撃されているのかが分かっていない可能性が大きく、混乱を招いているのは無能力さであり、行動ははじめから合理性を欠いている。

動画:@Aerobomber_UAより。

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