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NGなコスト削減~多言語マーケティング材料を作るにあたって

海外進出するのに欠かせないのが良質のマーケティング材料なのですが、時々NGな節約をしてしまっている企業をみかけます。

何がNGかというと・・・例えば翻訳です。

こちらはあるキッチン用品メーカーの英独カタログです。ドイツで開催された見本市で配布されていました。

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商品はとてもオリジナリティがあり、スタッフの感じもよく、英語訳も自然なのですが、ドイツ語訳が不自然でした。たとえば「やかん(Kettle)」と「電気ポット(Wasserkocher)」を混同してしまっていたり、「〇〇(メーカー名)のやかんシリーズがあなたの生活の質を向上させます」といった妙に大げさな表現になっていたりしていました。

前者の単語ミスなどは、ネイティブではない翻訳者が辞書を頼りに翻訳したのだと思います。二つの単語は確かに意味的には似ていますが、現地での認識は異なります。単なる言葉の翻訳では不十分 ー ”文化翻訳” が必要なのが、こういう部分です。

もちろん、現地の言語によるカタログはないよりはあった方がいいのですが、このようなミスがあるとプロフェッショナルな印象にかけてしまうのは避けられません(特に自社の主要商品の一つが、現地語で正しくなんと呼ばれているかを把握していないと、あまり良い印象は持たれません)。

特にヨーロッパは2、3か国語が公用語の国もありますし、EU圏内はモノの流通が自由なので、多言語商品パッケージが標準です。ですからどのメーカーも、翻訳は当然プロやネイティブに任せています。競合他社がわんさかいる市場の中、自社製品を選んでもらうべく、どこもマーケティングには非常に力をいれています。正しい翻訳でマーケティング材料を作ることは、基本中の基本なのです。

目先のコスト削減を目的としているせいか、こうした罠に陥っている企業を時々見かけます。しかしわずか数万円の費用を節約したことで、自社製品の魅力を正しく理解してもらえず、競合他社に負けてしまったら、その損害は数万円どころではなくなってしまいます。なので、最低でもネイティブによる校正は必要だといえます。

今回例に出させていただいたカタログには、ほかにも色々改善できるのになと思う点があるのですが、それは次回、動画にでも撮って投稿したいと思います。海外進出に興味のある方、多言語マーケティング材料をお作りのデザイナーさんなど、良かったらご覧くださいね。


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