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外国では珍しい?日本独特のEメール習慣

多くの外国企業にはあまりなじみのない、 日本独特のEメール習慣。
皆さん、なんだと思われますか?

普段から外国企業と取引されている方は、思い当たる節があるかもしれません。

それは、

cc(コピー)の宛先が多いこと。

・・・時には十数人がccに入っているケースもあったりします。

日本の皆さんなら、基本「全員に返信」しますよね。
でも、外国企業とメールのやり取りをすると、返信を受け取る際、かなりの確率でccのメンバーが抜け落ちてしまいます。再度ccに関係者を入れて返信すると、その返信に対してまたccが抜けている…。

なので、ccに入れる人数が多いほど、少々面倒な手間が発生していまいます。

では、なぜ外国企業の多くは「全員に返信」をしないのでしょうか?
目次

責任の所在と「和」の捉え方

それには「責任の所在」と「和」の捉え方、が関わってきます。

日本では多くの場合、そのテーマに関わるメンバーをもれなくccに入れますよね。たとえそのメールを逐一読んでいない人が多くても。

目的の一つは当然「情報の共有」ですが、それだけではなく、「情報を共有する」ことでグループの一員であることをお互いに確認しあい、「あなたをメンバーとして気にかけている」ことを示しあう、そんな意味合いもあると思います。

なので、ccにうっかり誰かを入れ忘れてしまうと、「◎◎さんが抜けちゃったから、返信の時にいれておいて」という気の遣い方をするのが日本人ではないでしょうか。これが、日本式の「和」の捉え方ではないかと思います。

外国企業の「和」の捉え方は、少し違います。
ドイツを例にとって、ちょっと違った「和」の在り方をご紹介してみます。

(ちなみにここでいう“外国企業”は、経験上私たちが知っているヨーロッパと北米で、必ずしもすべての国や企業に当てはまるわけではないことはお含みおきください^^)

ドイツ風「和」の在り方

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ドイツでは、基本的に案件ごとに担当者が決まっており、その案件に関わる決断は、メールを実際にやりとりしている人がとることが多いです。「メールの宛先=責任者」という構図です。

ccに他者が入ってくるのは、例えば担当者が該当案件を上司にエスカレートする場合、何かトラブルがある場合、あるいは休暇等に入るので同僚に引き継ぐ場合、などがあり得ます。日本では単なる「情報共有」のために㏄に入れることがよくありますが、こちらでは㏄ の人が何らかのアクションを起こす可能性が高い場合です。

単なる「情報共有」を目的に多くの人を㏄に入れてしまうと、「情報共有ありがとう」ではなく、逆に迷惑がられてしまいます。自分がアクションをとる必要のない案件・状況に関して、自分の時間をとられたくないからです。

メールを受信するということは、「読む義務」が発生するということです。「メールの宛先=責任者」なので、彼らはメールを受信すると「自分がやるべきことは何だろう」と自分の役割・アクションポイントを探そうとします。

一日10通、20通、あるいはもっと届く可能性がある情報共有メールに貴重な仕事時間を割かれたくないので、「単なる情報共有なら㏄に入れないで」などと言われてしまうこともあります。

「できるだけ皆で議論し皆で決定すること」を「和」と捉える日本に対し、「個々の責務を明確にしあうことで効率よく協働する」が「和」という、異なる「和」の捉え方が背景にあるのだと思います。

コミュニケーションのズレを感じたら?

コミュニケーションのズレを感じた時は、例えば「日本ではこういう習慣なので、いつも全員返信にして下さい」と一言伝えましょう。一回で理解してくれない時、相手がすぐに忘れてしまう時は、その都度伝えましょう。

日本では当たり前のことでも、まずはきちんと伝えることが大切です。そうすると、そのうちこちらのやり方を理解し、慣れてくれます。

また、お互いの文化の違いやコミュニケーションの仕方の違いを意識しておくと、「これはしょうがない」とある意味寛容な気持ちになったり、「日本ではこうなので、こうしてくれませんか」と伝えてみようという気持ちになったりします。そして、やり取りの上での行き違いやストレスを軽減できます。

人間はついつい自国を基準に考えてしまいがちですが、同朋の間では必要のないこうしたステップも、スムーズな異文化間コミュニケーションには不可欠だったりします。

そうすることで、異文化間の「和」を作っていけるのではないかと思います。

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