いろいろな人が怒る

河原沿いの広場。
何かのお祭りみたい。
寄生獣に出てきそうな、マッチョで白いタンクトップの酔ったお兄さん。
何かに遭ったらしく、怪我をしてる。
組んだ左腕に、割ったビール瓶でえぐったような輪っか状の傷。
顔は腫れて、無数の切り傷。
歯がボロボロとこぼれ落ちる。
病院に持っていけるように拾おうとするけど、砂利に紛れて見つからない。
お兄さんが、怒りと悔しさ、あきらめの混ざった顔でボソボソと言う。
「俺もう、ここ嫌だなぁー」


場面転換


何かの催し物会場。
一緒に来ていたのに、はぐれてしまったMさんがみつかった。
夏物の喪服のような、全身黒ずくめの服。
鋳物のガーデンテーブルと4脚の椅子。
Mさんはその椅子に座り、隣の椅子に小さなポーチを置いている。
「2人で来たのに、どうしてひとりにされたのかしら。携帯で電話してくれたっていいのに。」
笑顔だけど、声は明らかに怒ってる。
謝って、空いてる椅子の脇にいき、座っていいかとたずねる。
どうぞといわれて、座る。
たまたま知り合いがいて、話をしていて見失った、携帯電話を無くしてしまった、と、はぐれた理由を説明する。


場面転換


老女のような顔をした5-6歳の子供。
油性マジックで「34才」と書いたダンボール板を、胸の前で持って立ってる。
10代前半の兄らしき子がその横で、野太く大人っぽい大声を上げる。
これからふたりで出し物を始めるらしい。
人が集まりはじめて、一緒にいた人を見失う。


場面転換


小さな街。
にぎやかな祭りの夜。
どこか奇妙な神輿と山車が、狭い路地をくまなく練って廻ってる。
男たちは、興奮を超えて狂乱しているように見える。
後ろからくる山車をよける。


場面転換


混雑した高層ビルの正面玄関を入る。
何か気になる女性とすれ違う。
目で追っていたら彼女が振り向いて、僕の左手首をつかむ。
「私のこと分からなかった?」
温(おん)ちゃんだ。
知らない人だけど、前から知っている気もする。
真っ黒で艶のある、前髪パッツンのショートボブ。
華奢な体。
黒いタンクトップにオリーブ色のブッシュパンツ。
男物のデニムジャケット、肩と胸に大きめのタトゥ。
ゲームかアニメの主人公みたい。

温ちゃんに連れられて、7-8階建てくらいのビルの屋上へ。
雨水のたまったプールに鉄錆が浮いてる。
一息つきたくて地べたに座る。
前にいた女性2人組のひとりが、笑いながらスマホで僕を撮ってる。
お尻に違和感。
アポロのような、小粒のチョコが詰まった袋を尻で踏んづけてた。
チョコは袋から飛び出て散乱。
その様子がおかくて撮った、と女性が言う。
チョコの脇には使いこまれたスマホが一台。
数年前まで僕が使っていたのと同じ型の頑丈なもの。
緑のカナブンのようなメタリックなカラーが印象的。

ヤンキー?半グレ?のような若い兄さんたちが6-7人やってきた。
そのうちの、日焼けした、上半身裸の金髪の兄さんが、すごい剣幕で何かまくしたてながら、プラスティック製の赤いバットを振り回して近づいてくる。
踏んづけたチョコは彼の物みたい。
どうなるかわからないけど、ここは素直に謝ろう。
怒りが落ち着いたら弁償しよう。
埃っぽい床に額をつけて、土下座して謝る。

静かになった。
スマホも兄さんの物かとたずねようと顔を上げる。
兄さんたちの姿がない。
屋上から降りてペントハウスに入る。
こざっぱりした30代前後の男女5-6人が、ゆったり談笑してる。

目のパッチリした、ペントハウスの主人らしき女性。
頬くらいで切った茶色いウェーブ髪。
光沢のある黒のロングドレス。
顔すれすれまで寄ってくる。
彼女の胸が手に当たる。

屋上でのことを彼女に話すと、所狭しと植物のならぶ温室に案内される。
彼女が他の女性と話し始めた。
手近な植物を観て待っていると、右手の指と甲がチリチリ、ジンジンする。
見ると、蛆をもっと小さくしたような何かの幼虫が、カメムシの卵のようにところどころに集まって、皮を食い破ってる。
あせる。
左手の指で虫をむしり取る。
虫が増えて、チリチリジンジンが増す。
むしればむしるほど、虫は増えて、痛みが増す。
これはやばい。さらにあせる。
主人は他の人と話し続けてて声をかけられない。
やばい!!!

おわり


かなり焦って、逃げるように目覚めた。
3時45分だった。
送信したメールの文章をあとで心配する時のようなモヤモヤが、胸に残っていた。

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