とうもろしやズッキーニ!夏野菜で作るクイックブレッド
このコラムは単行本『パンのトリセツ』(誠文堂新光社)を参照にしつつ進めていきます! 本を持っていない方でも楽しめますし、本を持っていれば、なお役立つようになっています。
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「クイックブレッド」ってご存知ですか? クイックブレッドとは、パン酵母(イースト)の代わりに、ベーキングパウダーやベーキングソーダ(重曹)を使って膨らませたパンのことです。混ぜて焼くだけ、発酵の時間がいらないので「クイックブレッド」。アイリッシュソーダブレッドやコーンブレッド、アメリカンマフィンなどが、その仲間です。『パンのトリセツ』でも、パンラボの池田さんが、パンの定義(117ページ)で、軽く説明してくださっています。
私はクイックブレッドの中でもコーンブレッドを一番よく作ります。冷凍庫にパンがないときに作っているのですが、普段はとうもろこしの粉(コーングリッツ)しか使いません。でも、夏の、生のとうもろこしが出回る時期だけは、生のとうもろこしもたっぷり焼き込んで作ります。『パンのトリセツ』では、パンの作り方までは掲載できなかったので、とうもろこしの季節が終わる前に、ご紹介しなくては!と思った次第です。池田さんが前記事に載せていらっしゃった「自家製クリームチーズ」もよく合いますよ。さらに、はちみつをかけてもおいしいです。では、早速作っていきましょう。
コーンブレッドを作る
とうもろこし(生)……1本
無塩バター または 有塩バター*……50g
卵……2個
きび砂糖……50g
プレーンヨーグルト……200g
薄力粉……150g
コーングリッツ……100g
ベーキングパウダー……小さじ2
塩……小さじ1/3 または 小さじ1/5*
型について/
家にある型で気軽に作れるのがいいですよね。このレシピの総容量は約850mlです。この量が入って2cmほど余裕がある型なら、どんな型でも使用できます。今回は100均ショップ セリアで購入したブラウニーの型(21×21×高さ3.5cm)で作りました。ステンレスなどの金属の場合は、クッキングシートを敷き、耐熱陶器やガラスの型の場合は、型の内側にバターまたはマーガリンを塗っておきましょう。最も注意すべきことは、焼き時間です。オーブンを180℃で30分にセットし、30分焼いてから、写真の焼き色を参考にして、焼き色が足りないようなら、5分ないし10分ずつ焼いていきましょう。
材料について/
① 私のコーンブレッドのレシピは「明治のブルガリアヨーグルト(現在400g)を半量使って作る/コーンブレッドを2回作れば使い切れる」というところから他の配合を決めました。ブルガリアヨーグルトはさっぱりめでキリッとした酸味があるので、いい風味に仕上がります。
② 生のとうもろこしは、1本のグラム数に制限がありません。2本使って作ったこともありましたが(写真 ↓|1本分を生地に混ぜ込み、1本分をトッピングしました)、焼き時間がだいぶん長くなり(180℃で1時間40分)、コーンスープをかためたような濃厚な味になりました。
③ 材料表の*のところに注目してください。無塩バターって、なかなか冷蔵庫に常備されてないですよね。ですから、無塩バターを使った場合(塩の量 小さじ1/3)と有塩バターを使った場合(塩の量 小さじ1/5)の塩の量の両方を明記しています。
パン同様、冷凍保存もできます(のちほど詳しくご説明します)。では、早速作っていきましょう。
1 / とうもろこしの実を切り出します。一番簡単なのが半分に切り、断面を下にして立て、芯に沿ってナイフを下ろすやり方です。私のやり方は少し違っていて、写真のように、実の両側にナイフを奥の方まで入れ、できるだけ粒のまま押し切りする方法です。切り出した実はお皿に入れておきます。
2 / 小さい耐熱容器にバターを入れ、ラップで軽くおおって電子レンジ(500W)に40秒かけます。かるくゆすって溶かし、さらに20秒かけ、予熱で自然と溶けるのを待ちます(これは夏場の加熱時間です)。
3 / ボウルに卵を割り入れ、泡立て器でよく溶きほぐします。砂糖を加え、さらによく混ぜます。砂糖はきび砂糖(日新製糖の商品名)が、味に深みが出ておすすめです。なければ、お持ちの砂糖でOKです。
4 / ヨーグルトを加え、かたまりが完全になくなるまでよく混ぜます。最初は混ざりにくいですが、根気強く混ぜるとなじんでいきます。
5 / 粗熱がとれたバターを加え、よく混ぜます。
6 / 別の容器に入れた薄力粉、ベーキングパウダー、塩を合わせ、フォークで空気を含ませるようにしながら混ぜます。
7 / 合わせた粉類の1/3量を、ふるいながらとうもろこしにまぶします。こうすると、とうもろこしが生地の下に沈みにくくなります。
8 / 5のボウルにコーングリッツを加え、泡立て器で混ぜます。
9 / 7と残りの粉類をふるいながら加え、ゴムべらで粉気がなくなるまでサックリと混ぜます。
10 / 型に生地を流し入れ、表面を平らにし、180℃に温めたオーブンで約45分、表面がしっかりきつね色になるまで焼きます。
とうもろこしの一部をとっておいて、こんな風に並べてもかわいいですよ。
11 / 焼き上がったらすぐに表面にラップをかけます。熱で溶けてしまいますが気にせずに全体を覆ってください。こうすると、蒸気で表面がしっとりします。
冷凍保存する
1 / 完全に冷めたコーンブレッドを好みの大きさに切ります。今回はブラウニー型を使ったので、ブラウニーのように正方形にカットしました。
2 / ラップでしっかり包みましょう。小さめのラップがあると便利です。
3 / ジッパーつきのバッグに入れて、冷凍庫へ。
*コーンブレッドは2週間から1ヶ月冷凍保存できます。
*食べるときは、ラップのまま電子レンジ(500W)で、30秒~1分(写真の厚さ2cmのコーンブレッドだと30秒)温めてから、ラップを外し、オーブントースターで表面が少しカリッとなるまで焼きましょう。
ズッキーニブレッドを作る
ズッキーニブレッドと聞いて驚く方も多いと思いますが、アメリカのクイックブレッドの本には必ず載っている定番です。ズッキーニも夏野菜なので、紹介しようと思い立ち、八百屋やスーパーマーケットをまわったところ、先日の長雨で、ズッキーニ不足が起きていました。ズッキーニ不足が解消されたら、ぜひ作ってみて下さいね。私のズッキーニブレッドのレシピは、コーンブレッドの応用なので、配合や作り方は、基本同じです。ズッキーニは、キャロット・ラペのように細長くすりおろして、生地に加えます。
ズッキーニ……1本(約150g)
くるみ……50g
無塩バター または 有塩バター*……50g
卵……2個
きび砂糖……50g
プレーンヨーグルト……200g
薄力粉……100~150g
グラハム粉(粗挽き)……50~100g
ベーキングパウダー……小さじ2
塩……小さじ1/3 または 小さじ1/5*
型について/
ズッキーニブレッドも総容量は約850mlと考えていいでしょう。ズッキーニブレッドの方は、最も一般的なパウンド型17.5×8×高さ6cmを2個使いました。パウンド型1個で作りたい場合は、20×8×高さ7.5cmのものが必要になってきます。
材料について/
① ズッキーニのグラム数は守ってください。ズッキーニの量が多いとバナナを入れ過ぎたバナナブレッドのようにういろう化してしまいます。あと、おろし方も、キャロット・ラぺを作るときのようなおろし方で。
② コーングリッツの代わりにグラハム粉(粗挽き)を使っています。粗挽きであれば、ライ麦粉でもOKです。ザックリとした口当たりにしたい場合は、グラハム粉100g+薄力粉150g、あまりザックリさせたくない場合は、グラハム粉50g+薄力粉200gに。この範囲の中で、グラハム粉と薄力粉の合計が250gになればよいので、グラハム粉80g+薄力粉170gといった配合でもOKです。
③ シナモン、オールスパイス、カルダモンパウダーなどを加えてもOKです。量は各小さじ1/2くらいで。
では、作っていきましょう。
1 / 型にクッキングシートを敷きます。
2 / ズッキーニはよく洗って皮をむき、すりおろします。このように繊維を崩しながらおろせるスライサーをお持ちでない方は、包丁でせん切りにしましょう。包丁の場合、繊維までは壊れないので、口当たりが多少違ってくると思います。
3 / くるみを刻みます。刻んだときの大きさは好みですが、私は、かけらのくるみとかたまりのくるみが混在した写真くらいの大きさが好きです。
4 / 小さい耐熱容器にバターを入れ、ラップで軽くおおって電子レンジ(500W)に40秒かけます。かるくゆすって溶かし、さらに20秒かけ、予熱で自然と溶けるのを待ちます(これは夏場の加熱時間です)。
5 / ボウルに卵を割り入れ、泡立て器でよく溶きほぐします。砂糖を加え、さらによく混ぜます。砂糖はきび砂糖(日新製糖の商品名)が、味に深みが出ておすすめです。なければ、お持ちの砂糖でOKです。
6 / ヨーグルトを加え、かたまりが完全になくなるまでよく混ぜます。最初は混ざりにくいですが、根気強く混ぜましょう。
7 / 粗熱がとれたバターを加え、よく混ぜます。
8 / ズッキーニは加える直前に、キッチンペーパーで軽く水分をとります。
9 / ズッキーニとくるみを7に加え、ゴムべらでよく混ぜます。
10 / 別の容器に入れた薄力粉、グラハム粉、ベーキングパウダー、塩を合わせ、フォークで空気を含ませるようにしながら混ぜます。スパイスを加える場合はここで一緒に合わせておきます。
11 / 10を9にふるいながら加え、粉気がなくなるまでサックリと混ぜます。
12 / 1の型に生地を流し入れ、180℃に温めたオーブンで50~60分焼きます。真ん中に竹串をさし、生焼けの生地がついてこない&しっかり焼き色がついていれば、焼き上がりです。
13 / 焼き上がったら、これにはラップをかけません。粗熱がとれるまで型に入れたまま冷ましましょう。粗熱がとれたら、型から出し、ケーキクーラーの上で冷まします。
14 / 完全に冷めたズッキーニブレッドを好みの厚さに切ります。今回は8等分(厚さ2cm)にスライスしました。これもラップでしっかり包み、ジッパーつきのバッグに入れれば、コーンブレッドと同じくらいの期間、冷凍保存できます。リベイクの仕方も同じです。
ほんのり甘いズッキーニブレッドには、池田さんが前記事に載せていらっしゃった「自家製クリームチーズ」を塗ってからの、ベリー系のジャムがよく合います。あとミネストローネなどのトマト系のお料理にも!
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